• 2025年3月19日
  • 2025年7月25日

肝硬変が進行した場合の腹水の症状と対策

肝硬変が進行した場合の腹水の症状と対策

肝硬変による腹水の症状とは腹水とは、腹腔内に異常に蓄積された体液のことを指します。通常、腹腔内には少量の液体が存在しますが、肝硬変が進行すると体内の水分バランスが崩れ、大量の腹水がたまることがあります。これにより、お腹の膨満感、圧迫感、呼吸困難、食欲不振などの症状が現れます。

進行した肝硬変における症状の変化

肝硬変が進行すると、腹水の量が増加し、お腹の膨れが顕著になります。また、腹水が原因で横になると呼吸が苦しくなることもあります。体重が急激に増加する、尿の量が減るなどの症状が見られた場合は、腹水の蓄積が進んでいる可能性が高いです。

腹水の一般的な合併症

腹水が大量にたまると、細菌性腹膜炎を引き起こすことがあります。また、腹圧の増加により食道静脈瘤が悪化し、消化管出血を招くリスクもあります。さらに、腎機能低下や低栄養など、他の臓器への影響も深刻です。


腹水の原因

肝機能の低下と腹水の生成

肝硬変が進行すると、肝臓のタンパク質合成能力が低下し、血管内の浸透圧が維持できなくなります。その結果、血液中の水分が血管外へ漏れ出し、腹腔内に蓄積して腹水となります。

ウイルス性肝炎の影響

B型・C型肝炎などのウイルス性肝炎は、肝硬変の主要な原因の一つです。ウイルスによる慢性的な炎症が肝臓の線維化を進行させ、最終的には腹水の発生につながります。

食事と水分制限の重要性

塩分の過剰摂取は、ナトリウムの蓄積を引き起こし、腹水の増加を助長します。そのため、肝硬変の患者は食事療法として減塩を心がけることが重要です。また、適切な水分管理も必要になります。


肝硬変腹水がたまっていくとどうなるか

腹水が進行する仕組み

肝硬変による門脈圧亢進(血流の停滞)が進行すると、血液の循環が悪化し、血液が溜まりやすくなります。これにより、静脈圧が上昇し、血管から水分が漏れ出し、腹水の蓄積が加速します。

合併症との関係性

腹水が増加すると、腎機能の低下を引き起こし、難治性腹水のリスクが高まります。また、消化管出血や肝性脳症などの合併症を併発する可能性もあります。

重篤化する前のサイン

腹水が進行すると、食欲不振、急激な体重増加、尿量の減少、腹部膨満感が顕著になります。これらの症状が現れたら、早急に医療機関を受診することが重要です。


肝硬変のステージ

肝硬変の分類と腹水の進行

肝硬変は、代償性(軽度)と非代償性(進行期)に分類されます。腹水が見られるのは主に非代償性肝硬変の段階です。

ステージごとの腹水の特徴

  • 代償性肝硬変:症状はほとんどなく、腹水も発生しない。
  • 非代償性肝硬変:腹水が出現し、黄疸や肝性脳症などの症状が見られる。

治療の必要性と時期

腹水の進行を防ぐためには、早期の診断と治療が重要です。適切な食事管理と薬物治療を開始し、症状が悪化する前に対応する必要があります。


腹水の診断方法

医師による検査の種類

  • 身体診察:腹部の膨満や波動感をチェック。
  • 血液検査:肝機能の評価やアルブミン濃度の測定。
  • 画像診断:超音波、CTスキャン、MRIを用いて腹水の量や原因を調査。

肝硬変による腹水の治療法

利尿剤による治療

利尿剤(スピロノラクトン、フロセミドなど)を使用し、体内の余分な水分を排出することで腹水を減少させます。

トルバプタン(サムスカ)による治療

トルバプタン(サムスカ)はバソプレシンV2受容体拮抗薬であり、水利尿を促進することで腹水を減少させます。従来の利尿剤とは異なり、ナトリウムを保持しながら水分のみを排出できるため、低ナトリウム血症のリスクを軽減しながら治療を行うことが可能です。利尿剤の効果が不十分な場合や、低ナトリウム血症の合併がある場合に使用が検討されます。

穿刺による腹水の管理

大量の腹水が蓄積した場合、腹腔穿刺(パラセンテシス)を行い、余分な腹水を除去することがあります。

治療法の選択肢

近年では、腹水濾過濃縮再静注法(CART)やTIPS(経頸静脈肝内門脈大循環シャント)などの治療も行われています。


肝硬変の進行と余命

進行度による余命の変化

  • 代償性肝硬変:5年生存率72.3%
  • 非代償性肝硬変:5年生存率37.9%

手遅れになる前の対策

食事管理、適切な薬物療法、定期検診が不可欠です。

死ぬ前のサインとは

黄疸の悪化、意識障害、難治性腹水が現れた場合、終末期に近づいている可能性があります。


腹水と肝性脳症

肝性脳症の症状と影響

意識障害、手の震え、記憶障害など。

予防策と治療法

アンモニアを減らすために、分岐鎖アミノ酸製剤やラクツロース、エルカルチンを使用します。


当院の院長が、エルカルチンによる肝硬変患者さんの肝性脳症の改善効果について、本邦で初めて報告しました。


腹水の合併症について

静脈瘤のリスク

腹圧の増加により、食道静脈瘤が破裂する可能性が高まります。

感染の可能性とその対策

細菌性腹膜炎を予防するため、抗生剤の使用が推奨されます。

その他の合併症

腎不全、電解質異常、低栄養状態などが挙げられます。

腹水が進行する前に適切な治療を受け、生活の質を向上させましょう。


この記事では、進行した肝硬変における腹水の症状と対策について詳しく解説いたしました。 日々の症状にお悩みの方、そしてご家族の皆様にとって、多くの情報に触れ、ご不安や今後の治療へのご期待など、様々な思いをお持ちのことと存じます。

さいとう内科クリニックでは、こうした肝硬変の進行に直面されている患者様のために、肝臓再生医療という新たなアプローチにも力を入れております。

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