• 2025年10月6日
  • 2025年10月7日

【肝臓病専門医が監修】肝移植の「地域格差」が深刻化する未来へ、今こそ標準治療と再生医療の「両軸」で肝硬変の壁を打ち破る

皆さま、こんにちは。

さいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「いつまでこの生活が続くのだろう」

こんな先の見えない不安、治療を支えてくれる家族への申し訳なさ…。肝硬変と診断された方、そしてそのご家族は、だるさや腹水といった身体的な辛さだけでなく、こうした精神的な重圧とも日々闘っておられます。

日本肝臓学会 肝臓病専門医として患者様と向き合う中で、私はこの厳しい現実を何度も目の当たりにしてきました。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出た時には肝硬変という深刻な状態になっていることも少なくありません。そして、末期の肝硬変・肝不全に対する唯一の根治治療は「肝移植」であるという、厳しい現実があります。

しかし近年、その最後の砦ともいえる肝移植を取り巻く状況が大きく変化し、全国の肝臓病医療において看過できない深刻な課題が浮上しています。


1.なぜ?広がる脳死肝移植の「地域格差」と「質の危機」

現在、脳死肝移植の実施が、東京大、京都大、九州大などの特定の大学病院に集中している状況が明らかになっています。なぜなら、脳死肝移植は高度な外科技術を持つ執刀医だけでなく、多数の専門スタッフからなるチーム医療と特殊な設備が不可欠であり、その体制を24時間維持できる施設が国内でも限られているためです。

読売新聞の調査によると、2023年1月から2025年8月までの2年半余りの期間で実施された全315件の肝臓移植のうち、上位5施設で全体の6割にあたる196件が占められており、移植医療の偏りが顕著です。

一方で、全国23の脳死肝移植実施施設のうち、3施設ではこの期間に一度も移植を実施していません。このような長期にわたり実績のない施設では、いざという時の手術に対応できるチーム全体の技術や連携の維持が困難になるため、今後、手術の質の担保が難しくなることが懸念されています。

かつて理想とされた「日本全国どこに居住していても安全に肝移植を受けられる」体制が、今、揺らいでいるのです。

参考)Yahoo! 脳死肝移植、3大学病院で2年半ゼロ…一部施設に臓器受け入れ要請が集中し断念のケースも


2.標準治療の「限界」とは何か

肝硬変の治療は、原因疾患への治療と、症状を和らげる対症療法(腹水に対する利尿剤、肝性脳症に対する薬など)が中心となります。

しかし、これらはあくまで症状をコントロールするための治療であり、肝硬変の根本的な原因である「線維化(せんいか)」、つまり硬くなってしまった肝臓の組織そのものを柔らかくし、元の機能的な状態に戻すための保険適用の治療薬は、残念ながらまだ存在しません。

これが、標準治療の「限界」です。私自身、肝臓病専門医として長年診療に携わる中で、「今ある標準治療では、一度硬くなった肝臓を柔らかくすることはできず、機能の回復には限界がある」という現実を痛感してきました。

だからこそ、肝移植の地域格差が広がる今、移植に頼る前の新たな選択肢として、幹細胞点滴による肝臓再生医療に注目が集まるタイミングだと切に考えます。


3.当院の誓い:「標準治療+再生医療」の両軸でのサポート

当院は、肝硬変患者様の「もう治らない」と諦めてしまう状況に対し、新たな光を提供したいという想いから、肝臓再生医療を行っております。私たちの治療の基本的な考え方は、以下の「両軸体制」です。

当院では、保険診療による標準治療をしっかりと行いつつ、肝臓再生医療を合わせて行うことで、肝移植に移行しないように、そして、肝移植に移行するまでの期間を延長できるようにしていきたいと切に考えています。

再生医療がもたらす可能性

当院の幹細胞点滴治療は、患者様ご自身の細胞を使うため拒絶反応のリスクが極めて低く、硬くなった肝臓の線維化の改善や、QOL(生活の質)の向上が期待できます。

特に「肝移植しか道はない」と言われた方にとっては、移植までの期間を良い状態で過ごすための「橋渡し」としての役割や、移植自体を回避できる可能性も提示しています。

ご家族の心身の負担を軽減する選択肢

生体肝移植の場合、健康なご家族(ドナー)にも大きな手術負担とリスクを強いることになります。ご自身の健康な身体にメスを入れることへの恐怖、そして万が一のリスクを考えると、ドナーとなるご家族もまた、計り知れない精神的葛藤を抱えることになります。

当院の幹細胞治療はドナーを必要としないため、ご家族の身体的・精神的な負担を大きく軽減できるという最大のメリットがあります。


4.諦めずに、まずは専門医にご相談ください

肝臓病は症状がいっぱいいっぱいになる前の段階で再生医療を検討していただくことが、進行を遅らせ、QOLを維持・向上させる可能性を飛躍的に高めます。

肝硬変や肝不全と診断され、「もう打つ手はない」と絶望されているかもしれません。しかし、医療は日々進化しており、再生医療という新たな希望の光が差し込み始めています。

当院では、日本肝臓学会 肝臓病専門医である院長 斉藤雅也が、患者様一人ひとりの病状を詳細に評価し、標準治療と再生医療を組み合わせた最適な治療をご提案いたします。

遠方にお住まいの方や、すぐに来院が難しい方のために、Curon(クロン)を利用したオンライン事前相談を全国から受け付けております。ご本人様だけでなく、ご家族からのご相談も歓迎いたします。

あなたの未来への希望を、私たちさいとう内科クリニックと共に育んでいきませんか。

さいとう内科クリニック 078-967-0019 ホームページ