- 2025年12月1日
- 2025年12月3日
【肝臓を休ませる新常識】鍵は「筋肉」にあり!脂肪肝・疲労回復を促すBCAAの驚くべきメカニズム

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、ダメージを受けても自覚症状が出にくく、気づいた時には病気が進行していることが多い、非常に我慢強い臓器です。現在、日本人の成人の3人に1人が脂肪肝と推計されており、これを放置すると、肝炎(MASH)を経て肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあります。
全身の「化学工場」であり「フィルター」である肝臓を守るためには、生活習慣の見直しが不可欠ですが、その鍵となるのが「筋肉」と、そこに含まれる栄養素なのです。
1.肝臓の疲労を軽減する「筋肉の解毒作用」

肝臓は、アルコールや薬物、体内で発生した老廃物などの有害物質を分解・無毒化する「解毒作用」を担っています。特に、タンパク質の代謝によって生じる「アンモニア」は有害物質の一つであり、通常は肝臓で処理されますが、量が増えると肝臓に大きな負担がかかります。
ここで重要な役割を果たすのが筋肉です。
- 筋肉には、アンモニアを一時的に取り込んで処理する力があります。
- 筋肉がこのアンモニア処理を手伝うことで、肝臓は夜間に疲労回復や解毒に専念する時間を確保でき、ゆっくりと休むことができるのです。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)を摂取し、筋肉を維持・育成することは、肝臓の「休息時間を増やす」ことにつながります。
2. 脂肪燃焼と疲労回復を助けるBCAAのトリプルパワー

筋肉の合成や代謝を上げるために重要な成分がBCAA(Branched Chain Amino Acids)です。これは、ロイシン、イソロイシン、バリンという3つの必須アミノ酸の総称で、食事から摂取する必要があります。
特に鶏むね肉にはBCAAが豊富に含まれており、脂肪燃焼スープの具材としても活用が推奨されています。
| BCAAの成分 | 主な働き | 肝臓・体への効果 |
| ロイシン | 筋肉を作るスイッチ(mTOR)を活性化。 | 筋肉の合成をスタートさせ、筋肉の分解を防ぐ。特にタンパク質を摂っても筋肉がつきにくい40代以降に頼もしい。 |
| イソロイシン | 筋肉に糖を取り込みエネルギー化。 | 脂肪燃焼をサポートし、糖をエネルギー源として利用し、血糖値を安定させる。 |
| バリン | 筋肉の分解を防ぐ「守り役」。 | 集中力の低下や疲れやすさに関わる疲労感を軽減すると考えられる。 |
肝硬変の治療においても、血中のBCAA低下は筋肉量の減少や肝性脳症に関与するため、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤の補充が薬物療法として用いられることがあります。当院の院長は、神戸大学病院に勤務していた時に、BCAA製剤が肝機能の悪化を食い止める作用があることについても、とても興味を抱き、研究に没頭していました。
3. 肝臓を守るために今日からできること
BCAAの摂取だけでなく、肝臓を労わり脂肪肝を改善するためには、食事と運動、そして早期発見が大切です。
- 食事と生活習慣のポイント

- 良質なタンパク質の確保: 肝臓の修復・再生のため、鶏むね肉の他にも、青魚(オメガ3脂肪酸が脂肪代謝を促進)や大豆製品(低カロリーで脂肪代謝をサポート)など、良質なタンパク質をバランス良く摂取しましょう。
- 糖質・脂質の賢いコントロール: 果物やジュースに含まれる果糖や、白米・パンなどの白い炭水化物、動物性脂肪やトランス脂肪酸の過剰摂取は控えましょう。
- 「笑い」と「コーヒー」の力: 毎日20分以上笑うことは内臓脂肪の減少と肝機能の改善に繋がります(作り笑いでもOK)。また、1日1~2杯のコーヒーは、クロロゲン酸の作用で肝臓の炎症を抑える効果が期待できます。
- ゆっくり食べる習慣: 早食いは血糖値の急上昇を招き、脂肪肝のリスクを高めます。一口30回ほど噛んで、ゆっくり食べることを意識しましょう。
- 休養: 横になる姿勢は、肝臓への血流を1.5倍に増やすため、肝臓の修復・再生につながります。
- 運動の習慣化

筋肉は体内で最もエネルギーを消費する組織です。
- 有酸素運動: 脂肪燃焼のため、ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分程度、週3回以上から始め、慣れてきたら週に合計250分の中〜高強度運動を目指しましょう。
- 筋力トレーニング: スクワットや腹筋などの簡単な筋トレを週2~3回取り入れると、基礎代謝が上がり、脂肪が燃えやすい体になります。
4. 肝臓の数値が改善しない場合は肝臓病専門医に相談を
肝臓は症状が出にくいため、ALT値が30 U/Lを超えたら医療機関への相談が推奨されています。
もし、ご自身で食事や運動を頑張っているにもかかわらず、肝機能の数値(AST, ALT, γ-GTPなど)が改善しない、あるいは悪化していると感じる場合は、自己判断せずに肝臓病専門医の診断を受けましょう。すでに脂肪肝炎(MASH)や肝硬変へ移行している兆候かもしれません。

当院の院長は日本肝臓学会の肝臓病専門医であり、肝臓の状態を精緻に診断するために、血液検査に加え、痛みなく安全に肝臓の脂肪の蓄積具合や肝臓の硬さ、肝がんの有無などを評価できる腹部超音波(エコー)検査も重視しています。

すでに肝硬変と診断されている方でも、「もう治らない」と決して諦めないでください。
当院では充実した標準治療に加え、患者様ご自身のお尻の脂肪組織から採取し培養して増やした幹細胞による肝臓再生医療という新たな治療も提供しています。当院は、肝臓病専門医が肝臓病に特化して再生医療を行っている日本で唯一のクリニックです(2025年12月現在)。
肝臓病に関する不安や疑問がある方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。遠方の方や来院が難しい方のために、Curon(クロン)を利用したオンライン事前相談も受け付けております。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
-
- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
