- 2026年1月12日
【肝臓病専門医が解説】アルブミン値が低いと言われたら?
肝臓からの「SOS」を見逃さないための知識と対策

血液検査の結果で「Alb(アルブミン)」の数値が低いと指摘されたことはありませんか?
「少し低いだけなら大丈夫だろう」と放置されがちですが、実はアルブミンは、あなたの肝臓がどれだけ元気に働いているかをダイレクトに反映する非常に重要な指標です。
今回は、肝臓病専門医の視点から、アルブミンの正体と、数値が低下した際に体に起こるSOSサイン、そして改善に向けた「次の一手」についてお伝えいたします。
1.アルブミンとは?体の中の「ダム」と「運び屋」

アルブミンは、血液中に最も豊富に存在するタンパク質で、血液中の総タンパクの約60〜67%を占めています。最大の特徴は、「100%肝臓(肝細胞)でのみ作られる」という点です。
アルブミンには、生命維持に欠かせない2つの大きな役割があります。
| 血管内の水分を保つ(ダムの役割) | 血管の中に水分を留めておく浸透圧を維持します。 |
| 物質を運搬する(運び屋の役割) | ホルモンやビタミン、薬、微量元素など、体に必要な物質と結合して全身の細胞へ届けます。 |
2.アルブミン値が低い=「肝臓の製造能力」が落ちているサイン

アルブミンの基準値は一般的に3.8〜5.2 g/dL程度とされています。肝臓病の進行度を示す「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」でも、アルブミン値は重要な評価項目の一つです。
数値が低下する主な原因は、肝機能の低下(製造工場のダウン)です。
慢性肝炎から肝硬変へと進行すると、肝臓が硬くなって正常な肝細胞が減り、アルブミンを合成する能力が著しく低下します。特に数値が3.5 g/dL未満になると、肝臓がかなり疲弊している「低栄養状態」や「非代償性肝硬変」の兆候であり、注意が必要です。
3.アルブミンが減ると現れる深刻な症状

数値が低下して「ダム」の役割が果たせなくなると、血管から水分が漏れ出し、以下のような深刻な症状が現れます。
- むくみ(浮腫): 特に足がパンパンに腫れます。
- 腹水: お腹の中に大量の水分が溜まり、圧迫感や息苦しさを感じます。
- 全身の倦怠感: 代謝や運搬機能が落ちることで、十分な睡眠をとっても疲れが取れなくなります。
- 肝性脳症: アンモニアなどの有害物質の処理能力も落ちるため、ぼーっとしたり、手が震えたりすることがあります。
4.アルブミン値を維持・改善するための生活習慣
肝臓の回復力を高め、アルブミン合成を助けるためには、日々の工夫が不可欠です。
良質なタンパク質の摂取

肝細胞の材料となる肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく摂りましょう。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)の活用

筋肉の合成を助け、肝臓の負担を減らす働きがあるBCAAを意識的に摂取することが推奨されます。
食後の「ごろ寝」習慣

食後すぐに横になって30分から1時間程度安静にすることで、立ったり座ったりしている時よりも肝臓への血流量が1.5倍に増え、修復と合成が促されます。
5.「もう治らない」と諦める前に:肝臓再生医療という画期的な治療

一度肝硬変へと進行し、従来の食事・薬物療法だけではアルブミン値が上がらなくなってしまった患者様にとって、唯一の根治治療は肝移植とされてきました。しかし、ドナー不足や身体的負担などの大きな壁があります。
さいとう内科クリニックでは、患者様ご自身のお尻の脂肪から採取した幹細胞を用いる「肝臓再生医療(幹細胞治療)」を提供しています。
| メカニズム | 点滴で投与された幹細胞が、肝臓の炎症を鎮め、硬くなった組織(線維化)の進展抑制ならびに改善を促すことで、残存した肝細胞が再び効率よく働けるようサポートします。 |
| 期待できる効果 | 実際に治療を受けられた患者様の中には、腹水やむくみが軽減し、肝性脳症も改善し、倦怠感も改善したことでQOL(生活の質)が大きく向上し、外出が可能になった事例も報告されています。 |
さいごに

アルブミン値の低下は、沈黙の臓器である肝臓が発している「最後の警告」かもしれません。数値が低いことを「体質だから」と放置せず、まずは肝臓病専門医による正確な診断を受けてください。当院では、このアルブミン値の低下が、肝臓からのとても大切なメッセージだと解釈しています。
当院では、標準治療を基本としつつ、必要に応じて、再生医療という新たな治療を並行して提供しています。あなたの肝臓がいっぱいいっぱいになる前に、未来へ向けた一歩を一緒に踏み出してみませんか?不安な気持ちを一人で抱え込まずに、私たちと二人三脚で病気に対して前向きな気持ちで立ち向かっていきましょう。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
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兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
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