- 2026年2月4日
【肝臓病専門医が解説】座っていても脂肪が燃える体へ!痩せない原因「脂肪肝(MASLD)」と代謝復活の秘訣

「食事制限も運動も頑張っているのに、どうしても体重が減らない……」
もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、その原因は「代謝のエンジン」である肝臓にあるのかもしれません。
近年、お酒を飲まない人や女性の間でも、肝臓の代謝機能を著しく低下させる「脂肪肝(MASLD)」が急増しています。
今回は、エネルギー消費の主役である「基礎代謝」と、肝臓を整えることで手に入る「痩せやすい体」のメカニズムをお伝えいたします。
1. 代謝は「脂肪を燃やすエンジン」
私たちの体には、蓄積した脂肪を燃料として燃やすエンジンが備わっています。これを「エネルギー代謝」と呼びますが、大きく分けて3つの種類があります。
| 基礎代謝 (約60%) | じっとしている時や寝ている時でも、心臓を動かしたり体温を維持したりするために使われる、生命維持に最低限必要なエネルギー。 |
| 活動代謝 (約30%) | 運動や家事、仕事などで体を動かすことで消費されるエネルギー。 |
| 食事誘発性熱産生 (約10%) | 食べたものを消化・吸収する際に消費されるエネルギー。 |
驚くべきことに、エネルギー消費の大部分(6割)は、激しい運動ではなく「基礎代謝」が占めています。つまり、効率よく痩せるためには、この基礎代謝というエンジンの出力を上げることが不可欠なのです。
2. 代謝工場の主役は「肝臓」

基礎代謝を司る重要な臓器、それが「体の化学工場」と呼ばれる肝臓です。
肝臓は、食事から摂った栄養をエネルギーに変換して貯蔵し、必要な時に供給するという、代謝の根幹を担っています。
しかし、肝臓に脂肪が過剰に蓄積して「脂肪肝」の状態になると、この代謝機能が著しく低下します。肝臓がフォアグラのように脂ぎってしまうと、脂肪を燃やすための「エンジン」がスムーズに回らなくなり、結果として「何をしても痩せない体」になってしまうのです。
3. 急増する「脂肪肝(MASLD)」の脅威

かつて脂肪肝は「お酒の飲み過ぎ」や「太った男性」の病気というイメージでしたが、現在はその常識が変わっています。
2023年、世界の肝臓学会では、お酒を飲まない人の脂肪肝を「MASLD(マッスルディー:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」と呼ぶことが決定しました。
これは、脂肪肝の本質が単にお酒の問題ではなく、食べ過ぎや運動不足による「代謝の異常」にあることが明確になったためです。
特に注意すべきは、痩せ型であっても筋肉量が少ない「隠れ肥満」の方や、過度なダイエットでタンパク質不足になっている方です。こうした方々は、見た目は細くても肝臓が脂肪でいっぱいの「脂肪肝」に陥りやすく、代謝力が激落ちしている可能性があるのです。
4. 肝臓の「代謝力」を復活させる3つの習慣
肝臓は非常に再生能力が高い臓器です。正しい習慣を取り入れることで、代謝のエンジンを再び力強く回すことができます。
「ゆる糖質オフ」と「果糖」の制限

白米やパン、麺類などの炭水化物を少し控えめにしましょう。特にジュースや甘いお菓子に含まれる「果糖(フルクトース)」は、ほぼ肝臓でのみ代謝されるため、摂りすぎるとダイレクトに中性脂肪に変わり、肝臓に蓄積してしまいます。
「筋肉」を育てて肝臓を休ませる

筋肉は体内で最もエネルギーを消費する組織です。また、鶏むね肉などに含まれるBCAA(分岐鎖アミノ酸)は、筋肉の合成を助けるだけでなく、肝臓の解毒作業を筋肉が肩代わりしてくれるため、肝臓を休ませ、代謝機能を回復させることに繋がります。
「ベジファースト」と「ゆっくりよく噛む」

食事の最初に緑色の野菜を食べることで血糖値の急上昇を抑え、インスリンの過剰分泌(脂肪蓄積の原因)を防ぎます。また、一口30回以上よく噛んでゆっくりと食べることで、満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを防ぐことができます。
5. 「もう治らない」と諦める前に

脂肪肝を放置すると、炎症を伴うMASH(マッシュ)へ、さらには肝臓がカチカチに硬くなる肝硬変へと進行するリスクがあります。一度肝硬変になってしまうと、従来の食事・運動療法だけでは元の状態に戻すことは困難とされてきました。
私たちは、肝臓病専門医として、肝硬変となり途方に暮れている方にとって最善の治療をご提案できるようにしたいと常に考えています。当院では保険診療による標準治療を並行して行いつつ、患者様ご自身の細胞を用いた「肝臓再生医療(幹細胞治療)」という最新の治療もご提供しています。
幹細胞の力を利用することにより、肝臓の慢性的な炎症を鎮め、そして肝臓がこれ以上硬くならないようにし、ひいては硬くなった組織(線維化)の修復も促すことで、低下した肝臓の代謝機能の回復やQOL(生活の質)の向上を目指しています。

「ダイエットがうまくいかない」「肝臓の数値が気になる」という方は、一人で悩まず、まずは肝臓病専門医にご相談ください。あなたの肝臓のエンジンを、再び力強く動かすためのお手伝いをさせていただきます。
基礎代謝の向上は、いわば「エンジンのメンテナンス」と同じです。 質の良い燃料(食事)を選び、適度にエンジンを回し(運動)、肝臓病専門医による定期的な点検(健康診断)を受け、必要と判断されれば治療を受けていただくことで、一生ものの「痩せ体質」を手に入れましょう。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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