- 2026年2月5日
【肝臓病専門医が語る】格闘家・高須将大さんに学ぶ「諦めない治療」と肝臓を救う「筋肉」の力

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
23歳という若さで肝臓がんステージ4を宣告されながら、不屈の精神でリングに復帰し、現在はがん患者のサポートも行っている格闘家・高須将大さんの歩みは、私たちに多くの教訓を与えてくれます。
今回は、高須さんの事例から学ぶ「沈黙の臓器」の真実と、「筋肉を維持することが、いかに肝臓の休息と回復に直結するか」という医学的メカニズムをお伝えいたします。
1.若年層でも他人事ではない「肝臓がん」と「沈黙のSOS」

高須将大さんのケースで最も衝撃的なのは、プロ格闘家として心身を鍛え上げていた23歳の若さで、10cmを超える巨大な腫瘍が見つかったことです。
気づけない恐怖
肝臓は機能の3分の2が失われるまで悲鳴を上げません。高須さんも発覚前は「少し疲れやすい」と感じる程度で、病気だとは微塵も思っていませんでした。
目標が命を繋ぐ
再発により余命3ヶ月の状態から生還を遂げた背景には、体質に合った治療の選択と、「もう一度リングに立ちたい」という強い目標、そして共に歩む主治医の存在がありました。
2.筋肉の維持が肝臓の「休息時間」を増やすメカニズム

高須さんは現在、パーソナルジムを経営し、運動を通じた健康づくりを提唱しています。実は、筋肉を鍛え、維持することは肝臓にとって「最高の休息」になります。
解毒の肩代わり
肝臓は有害なアンモニアの解毒を担っていますが、筋肉もアンモニアを一時的に取り込んで処理する力を持っています。
肝臓のメンテナンス時間を創出
筋肉がアンモニア処理を「手伝う」ことで、肝臓は夜間に自身の細胞修復や疲労回復に専念できるようになり、ゆっくり休むことが可能になります。
糖の消費センター
筋肉は体内で最大の糖消費組織です。筋肉量を保つことで血糖値が安定し、肝臓が余った糖を中性脂肪として溜め込む「残業」を減らすことができます。
3.脂肪燃焼と肝臓保護を助ける「BCAA」の賢い摂取法

筋肉の維持と脂肪燃焼の鍵を握るのが、必須アミノ酸であるBCAA(ロイシン・イソロイシン・バリン)です。
【成分の役割】
| ロイシン | 筋肉合成のスイッチを入れ、筋肉の分解を防ぎます。 |
| イソロイシン | 筋肉への糖の取り込みを促し、エネルギー化をサポートして脂肪燃焼を助けます。 |
| バリン | 筋肉の分解を抑え、疲労感を軽減します。 |
【具体的な摂取のポイント】
鶏むね肉だけでなく、青魚(サバ・イワシ)、大豆製品(豆腐・納豆)、卵、脂肪の少ない赤身肉(牛・豚)にも豊富に含まれています。
特に青魚には肝臓の脂肪代謝を促進するオメガ3脂肪酸が、大豆製品には肝再生を助けるレシチンが含まれており、相乗効果が期待できます。
4.肝臓病専門医が提案する「次の一手」

高須さんのように「時間は有限である」ことを意識し、早い段階で適切なケアを始めることが大切です。
当院では、標準治療に加えて、自力での回復が難しい進行した肝硬変に対し、自身の脂肪由来幹細胞を用いた「肝臓再生医療」を提供しています。幹細胞が肝臓の炎症を鎮め、肝臓がさらに硬くなるのを抑え、ひいては硬くなった組織(線維化)の改善を促すことで、肝機能の数値改善や倦怠感の軽減、QOL(生活の質)の向上をサポートします。
まとめ:肝臓と筋肉は「店長と頼もしいアルバイト」です。

肝臓という店長が一人で全ての仕事を抱え込めばパンクしてしまいますが、筋肉というアルバイトをしっかり育てておけば、彼らが「掃除(解毒)」や「レジ打ち(糖消費)」を代わりに行ってくれます。その隙に店長は仮眠をとり、工場のメンテナンス(再生)ができるのです。
「もう手遅れだ」と諦める前に、まずは肝臓病専門医にご相談ください。遠方の方にはオンラインでの事前相談(Curon)も実施しております。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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