- 2025年7月8日
「肝移植しか道はない」と言われた方へ。移植待ちの間に検討したい「肝臓再生医療」という選択肢

「肝硬変の末期で、もう肝移植しか道はないと言われた…」
「でも、ドナーは見つかるのか?年齢的に、体力的に、移植は受けられるのだろうか…」
もしあなたが今、このような厳しい現実に直面し、不安を抱えているのなら、この記事が新たな希望の光となるかもしれません。
肝硬変は、肝臓の慢性的な炎症によって線維化が進み、肝臓が硬くなってその機能を失っていく疾患です。進行すると、唯一の根治治療が「肝移植」であるという現実があります。しかし、肝移植には「ドナー不足」という大きな課題があり、さらに患者様の年齢や体力的な問題から、誰もが受けられる治療ではありません。
今回は、肝移植を検討されている方へ、その待機中に直面する課題と、「肝臓再生医療」が提供する新たな可能性について、専門医の視点からお伝えします。
移植待機中に直面する厳しい現実:肝機能の維持と体力低下の防止

肝移植が必要と診断された後、多くの患者様が直面するのは「移植までの長い待機期間」です。この期間は、ご自身の肝臓が耐え忍び、少しでも良い状態を保つことが非常に重要になります。
移植を待つ間、肝機能の悪化や合併症の進行を防ぎ、移植手術に耐えられる体力を維持することは、非常に困難な課題です。肝硬変が進行すると、黄疸、腹水、倦怠感、むくみ、さらには肝性脳症(精神的な混乱)などの症状が現れ、日常生活にも大きな影響を及ぼします。こうした症状がさらに体力を奪い、移植への道を遠ざけてしまうことも少なくありません。
従来の薬物療法や食事療法は、症状の緩和や進行の抑制が主な目的であり、線維化して硬くなった肝臓を根本的に元の状態に戻すことは難しいとされてきました。
移植への橋渡し(ブリッジ治療)、あるいは移植回避の可能性

このような移植待機中の厳しい状況において、「肝臓再生医療」が新たな選択肢として注目されています。
肝硬変に対する再生医療では、主に「幹細胞」を活用します。幹細胞は、様々な細胞に分化する能力と、炎症を抑え、傷ついた組織の修復・再生を促す特性を持っています。
この幹細胞治療が、肝移植を待つ患者様にとって、以下のような可能性をもたらすと考えられています。
- 肝機能の悪化防止・改善: 肝臓に到達した幹細胞は、損傷した肝組織に働きかけ、肝細胞の再生と修復をサポートします。これにより、肝機能の悪化を防ぎ、場合によってはASTやALTなどの数値改善、ひいてはアルブミン値の上昇やむくみの改善など、肝機能の維持・改善に繋がる可能性があります。
- 移植までの「橋渡し(ブリッジ治療)」: 肝機能の維持・改善によって、体力を温存し、より良い状態で肝移植に臨むための一助となることが期待されます。
- 移植回避の可能性: 幹細胞治療によって肝臓の線維化が改善し、肝機能が回復することで、結果的に肝移植を回避できるケースもゼロではない、という希望も提示されています。
もちろん、再生医療は現時点では医療保険の適用外であり、その効果には個人差があります。しかし、従来の治療では難しかった肝臓の線維化の改善に繋がる可能性を秘めていることは、大きな意味を持ちます。
ドナー(ご家族)への負担がないという最大のメリット

生体肝移植は、健康なご家族(ドナー)にも大きな手術負担を強いることになります。しかし、再生医療は、患者様ご自身の細胞(例えば脂肪細胞から採取した幹細胞)を使用するため、ドナーを必要としません。
これは、患者様ご本人だけでなく、支えるご家族にとっても精神的、肉体的な負担を大きく軽減できるという、再生医療の最も大きなメリットの一つと言えるでしょう。ご家族に心配をかけたくない、という思いを持つ方にとっても、安心して検討できる治療法です。
「移植しかない」と諦める前に、未来の選択肢を増やすために

「肝移植しかない」という言葉を聞いて、絶望を感じているかもしれません。しかし、医療は常に進化しています。
肝臓再生医療は、線維化が進んだ肝臓を回復させる可能性を秘めた、新しい治療法です。移植までの期間をより良い状態で過ごすための「ブリッジ」として、あるいは、ご自身の肝臓の力を引き出し、未来の選択肢を増やすための手段として、検討する価値は十分にあります。
「もう打つ手はない」と諦める前に、ぜひ一度、あなたの肝臓の力を引き出し、未来の選択肢を増やす可能性のある肝臓再生医療について、私たち専門医にご相談ください。
さいとう内科クリニックでは、再生医療に関するオンライン事前相談(Curonを利用)も受け付けております。お気軽にお問い合わせください。