• 2025年7月8日

なぜ私の脂肪肝は治らないの?食事や運動を頑張っても改善しない3つの理由と、専門医が提案する「次の一手」

「健康診断で脂肪肝を指摘されてから、食生活に気をつけ、運動も頑張っているのに、なぜか数値が良くならない…」
「むしろ、だんだん悪くなっているような気がする…」

もしあなたが今、そんな焦りや挫折感を抱えているなら、そのお気持ち、非常によく分かります。真面目に努力しているのに結果が出ないと、「もしかして、自分の肝臓はもう治らないのではないか」と不安になりますよね。

でも、諦めるのはまだ早かもしれません。あなたが「治らない」と感じるのには、いくつかの理由が考えられます。そして、その理由を知ることが、「次の一手」を見つけるための第一歩になります。

このブログでは専門医の視点から、なぜあなたの脂肪肝が頑張っても改善しないのか、その可能性のある3つの理由をお伝えします。


頑張っているのに治らない?脂肪肝が改善しない3つの理由

食事制限や運動といった自己流の努力が報われないと感じるのには、主に以下の3つの理由が考えられます。

自己流の改善策が、あなたの肝臓に合っていない可能性がある

脂肪肝の基本的な改善策として、食生活の見直しや運動が挙げられます。しかし、インターネットや雑誌で得た情報だけで自己流の対策を行っている場合、それがあなたの肝臓の状態や体質に必ずしも合っていない可能性があります。

例えば、単純に食事量を減らすだけでなく、糖質や脂質のバランス、摂取タイミング、さらには腸内環境の改善など、多角的なアプローチが必要な場合も少なくありません。また、運動も「ただ体を動かす」だけでなく、脂肪燃焼に効果的な種類や強度、継続方法があります。

専門家のアドバイスなしに自己流で続けると、効果が出にくいだけでなく、かえって体に負担をかけてしまうリスクも考えられます。

当院では、肝臓専門医である院長が、患者さまの血液検査データから栄養バランスの改善点を読み取り、適切な栄養バランス、摂取タイミングになるようオーダーメイドで説明させて頂いております。

気づかぬうちに「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」に進行している可能性

「脂肪肝」と一口に言っても、大きく分けて2つのタイプがあります。

  • 単純性脂肪肝: 肝臓に脂肪が蓄積しているだけの状態。生活習慣の改善で元に戻る可能性があります。
  • 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:ナッシュ): 単純性脂肪肝からさらに進行し、肝臓に炎症や線維化(肝臓が硬くなる変化)が起きている状態。

多くの人が「脂肪肝」として認識しているのは単純性脂肪肝ですが、実はNASHに進行しているケースが少なくありません。NASHは、放置すると肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあり、自覚症状がほとんどないまま進行することが多いため、「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の中でも特に注意が必要です。

あなたがどんなに食事や運動を頑張っても数値が改善しない、あるいは悪化していると感じるなら、それは単純な脂肪肝ではなく、すでに肝臓に炎症や線維化が起きているNASHに移行している兆候かもしれません。

遺伝的・体質的要因が影響している可能性

食事や運動を徹底してもなかなか改善しない脂肪肝の中には、遺伝的な要因や生まれ持った体質が関与しているケースもあります。例えば、特定の遺伝子型を持つ人は、そうでない人に比べてNASHに進行しやすいといった研究も進んでいます。

このような場合、一般的な生活習慣の改善だけでは、十分な効果が得られにくいことがあります。ご自身の努力不足だと感じてしまうかもしれませんが、そうではない可能性も考慮に入れるべきです。


脂肪肝の放置は危険信号!専門医が提案する「次の一手」

あなたの脂肪肝が「治らない」と感じる時、最も重要な「次の一手」は、自己判断を辞め、専門医による正確な診断を受けることです。まずは、消化器内科や肝臓専門医を受診し、詳細な検査を受けましょう。特に、以下の検査は肝臓の状態を詳しく把握するために役立ちます。

  • 超音波(エコー)検査: 肝臓の脂肪の蓄積具合や、形、炎症の有無を視覚的に確認します。
  • 肝硬度測定(shear wave elastographyなど): 肝臓の硬さ(線維化の程度)を数値で測ることができ、NASHへの進行度合いを評価する上で非常に有効です。当院では、肝臓の線維化の進展がないか、もしあればどの程度進展しているのかしっかりと評価しています。
  • 血液検査: AST, ALT, γ-GTPなどの肝機能数値だけでなく、肝線維化マーカーなども詳細に調べ、総合的に判断します。

これらの検査によって、あなたの脂肪肝がどの段階にあるのか、NASHに進行しているのか、線維化が進んでいるのかなど、正確な診断が得られます。それに基づいて、あなたに本当に合った治療計画を立てることが、改善への近道となります。


もし線維化が進んでいても諦めないで!「再生医療」という未来の選択肢

もし、検査の結果、すでに肝臓の線維化(硬さ)が進み始めていると診断されても、諦めるのはまだ早いと言えます。

肝臓の線維化は、かつては不可逆的(元に戻らない)と考えられていましたが、医療の進歩により、近年は再生医療が新たな選択肢として注目されています。幹細胞を用いた再生医療は、損傷した肝細胞の修復や再生を促し、肝臓の炎症を抑えることで、線維化の進行を抑制したり、場合によっては改善したりする可能性が期待されています。

これは、あなたの肝臓が持つ本来の力を引き出し、未来の選択肢を広げる可能性のある治療法です。

「頑張っているのに、なぜ…」という長年の不安や疑問を抱え込まずに、まずは専門医に現状を話してみませんか?

当院では、Curonを利用したオンライン事前相談も受け付けております。あなたの脂肪肝が治らない理由、そして未来に向けた「次の一手」について、一緒に考えていきましょう。


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