• 2025年2月22日
  • 2025年10月7日

【肝硬変の再生医療】治療法の種類と期待できる効果

近年、再生医療の進歩により、肝硬変に対する新たな治療法として幹細胞治療が注目されています。これまで肝硬変の治療は、生活習慣の改善や薬物療法が中心であり、進行した場合には肝移植が唯一の根治療法とされていました。しかし、幹細胞治療をはじめとする再生医療の発展により、肝硬変の進行抑制や肝機能の改善が期待されています。今回は、肝硬変に対する再生医療の治療法の種類や期待できる効果を詳しく解説します。


肝硬変とは?再生医療が求められる理由

肝硬変は、慢性的な炎症や肝細胞の損傷が続くことで、肝臓が硬くなり(線維化)、正常な機能を果たせなくなる疾患です。進行すると、腹水や黄疸、肝性脳症などの重篤な合併症を引き起こし、肝不全や肝がんのリスクが高まります。

従来の肝硬変治療では、症状の進行を抑えるための薬物療法や食事療法、生活習慣の改善が中心でした。しかし、一度線維化した肝臓を元に戻すことは難しく、最も進行したケースでは肝移植が唯一の選択肢とされてきました。

そこで登場したのが、幹細胞治療をはじめとする再生医療です。幹細胞の持つ自己修復能力を活用し、肝臓の再生を促す新たなアプローチが期待されています。


肝硬変に対する再生医療の種類

再生医療には、さまざまなアプローチがありますが、肝硬変に対する主な治療法として、以下の3つが注目されています。

1. 幹細胞治療(細胞療法)

幹細胞には、損傷を受けた組織を修復する能力があり、肝硬変の進行を抑えるだけでなく、肝細胞の再生を促す可能性があります。幹細胞治療には以下の方法があります。

1)間葉系幹細胞(MSC)療法

間葉系幹細胞は、骨髄や脂肪組織、臍帯血などから採取され、肝臓の炎症を抑えたり、線維化を軽減したりする働きがあります。投与された幹細胞は肝臓に移行し、炎症抑制因子や成長因子を放出することで、肝細胞の修復を促します。

期待される効果

  1. 肝臓の線維化の進行を抑える
  2. 肝細胞の修復・再生を促進する
  3. 免疫調整作用により炎症を抑制する

2)骨髄由来幹細胞療法

骨髄から採取した幹細胞を静脈内または肝動脈内に投与し、肝機能の改善を目指す治療法です。自己骨髄細胞を使用するため、拒絶反応が起こりにくいのが特徴です。

期待される効果

  • 肝臓の再生能力を高める
  • 肝不全の進行を遅らせる
  • 生活の質(QOL)の向上

2. バイオ人工肝臓(Bioartificial Liver System)

バイオ人工肝臓は、人工透析の技術を応用し、患者様の血液を肝細胞を固定した装置に通すことで、一時的に肝機能を補助する治療法です。現在、ブタ肝細胞やヒト幹細胞由来の肝細胞を用いたバイオ人工肝臓の開発が進められています。

期待される効果

  • 急性肝不全や重症肝硬変の症状緩和
  • 肝移植までの橋渡し治療
  • 肝機能の回復をサポート

3. 脱細胞化臓器骨格を用いた肝臓再生(Bioengineered Liver)

脱細胞化臓器骨格とは、動物由来の肝臓から細胞成分を除去し、患者様自身の幹細胞を移植することで、新たな肝組織を作り出す技術です。まだ臨床研究の段階ですが、将来的にはドナー不足の問題を解決する可能性を秘めています。

期待される効果

  • 肝移植に代わる新たな治療法としての確立
  • 免疫拒絶反応のリスクを低減
  • 患者様自身の細胞を活用した個別化医療

幹細胞治療の実績と今後の可能性

これまでの研究では、肝硬変患者に幹細胞を投与することで、肝機能の改善や肝線維化の抑制が認められた例が報告されています。

例えば、B型肝炎ウイルスによる肝硬変患者様53名を対象とした臨床研究では、骨髄幹細胞の移植により、肝機能が改善し、肝がんの発症リスクが低下したという結果が得られました。また、間葉系幹細胞の静脈投与によって、肝硬変患者のアルブミン値の改善や腹水の減少が見られたという報告もあります。今後は、幹細胞の投与方法や培養技術の向上により、さらに効果的な治療法の確立が期待されています。


従来、肝硬変の治療は進行を抑えることが中心でしたが、再生医療の進歩により、肝機能の回復を目指す治療が現実的になりつつあります。特に幹細胞治療は、安全性が高く、肝臓の再生能力を引き出す有望な治療法として期待されています。

しかし、まだ研究段階の治療法も多く、実用化にはさらなる臨床試験が必要です。今後の研究成果によっては、肝移植に代わる新たな選択肢として、多くの患者様に希望をもたらす可能性があります。

肝硬変の治療に関心がある方は、専門医と相談し、自身に適した治療法を検討することが大切です。再生医療の進展により、肝疾患治療の未来が大きく変わる日も近いかもしれません。


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