• 2025年10月17日

MASH・脂肪肝を撃退!専門医が教える「肝臓をいたわる食事術」

何を減らし、何を食べればいい?

「健康診断で脂肪肝を指摘され、まずは食事から見直そうと思ったものの、具体的に何を食べれば良いのか分からない…」

「脂肪肝だから、とにかく油っこいものを控えればいいの?」

このように考えている方は、実は少なくありません。しかし、MASHや脂肪肝の改善には、ただ漠然とカロリーを減らすだけではなく、何を減らし、何を積極的に食べるかという「食事の質」が非常に重要になります。

今回は、日々の食事で肝臓をいたわるための具体的な方法について、専門医の視点から詳しく解説します。


  • 誤解していませんか?脂肪肝の本当の敵は「脂肪」より「糖質」

「脂肪肝」という名前から、脂質の多い食事が一番の原因だと思われがちですが、実はそれ以上に注意すべきなのが「糖質」の摂りすぎです。

ご飯やパン、麺類などの主食はもちろんですが、特に危険なのがジュースや果物、お菓子に含まれる「果糖(フルクトース)」です。果糖は、肝臓で直接、中性脂肪に変換されやすいため、気づかないうちに肝臓に脂肪を溜め込む大きな原因となります。

「果汁100%ジュースだから健康的」「食事の締めにはお菓子や果物」といった習慣が、実は肝臓に負担をかけている可能性があるのです。


【第2章】要注意!肝臓に負担をかける食べ物リスト

肝臓を守るために、まずは日々の食事から以下のものを少しずつ減らす意識を持ちましょう。

甘い飲み物やお菓子、果物

ジュース、缶コーヒー、炭酸飲料、菓子パン、スナック菓子、果物など。これらに含まれる果糖や精製された砂糖は、中性脂肪の温床です。

白い炭水化物

白米、食パン、うどんなど。玄米や全粒粉パンに置き換えるだけでも効果的です。

飽和脂肪酸・トランス脂肪酸

バター、生クリーム、ソーセージなどの動物性脂肪や、マーガリン、ショートニングを含む加工食品は控えめにしましょう。


【第3章】積極的に摂ろう!肝臓が喜ぶ食べ物リスト

逆に、肝臓の機能を助け、炎症を抑える働きのある食べ物もあります。ぜひ積極的に食生活に取り入れてみてください。

青魚(サバ、イワシ、サンマなど)

良質な脂質である多価不飽和脂肪酸(EPA、DHA)が豊富で、肝臓の炎症を抑える効果が期待できます。

大豆製品(豆腐、枝豆など)

良質なたんぱく質源であり、肝臓の再生を助けます。

緑黄色野菜・ナッツ類(かぼちゃ、アボカド、アーモンドなど)

抗酸化作用のあるビタミンEが豊富で、肝臓の細胞が傷つくのを防ぎます。

きのこ類・海藻類

豊富な食物繊維が、糖質の吸収を穏やかにしてくれます。

コーヒー

近年の研究で、コーヒーを飲む習慣が肝臓の保護に役立つ可能性が報告されています。(※砂糖やミルクの入れすぎには注意)


【第4章】明日からできる!食事改善3つの簡単テクニック

いきなり全てを変えるのは大変です。まずは以下の3つの簡単なルールから始めてみませんか?

「ベジファースト」を徹底する

食事の最初に野菜や海藻、きのこ類を食べましょう。食物繊維が血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。

甘い飲み物を「水」か「お茶」に変える

これだけでも、一日の糖質摂取量を大幅に減らすことができます。

夜9時以降は食べないと決める

夕食は就寝の3時間前までに済ませるのが理想です。夜遅い食事は、エネルギーとして消費されず脂肪として蓄積されやすくなります。


MASHや脂肪肝の治療において、食事療法は内服治療と共に効果的な基本治療です。しかし、自己流の極端な食事制限はかえって栄養不足を招き、肝臓の状態を悪化させてしまうこともあります。

ご自身の状態に合った、無理なく続けられる食事プランを立てることが何よりも大切です。当院では、肝臓病専門医による診断・治療はもちろん、血液検査結果に基づいて個別での栄養指導もしっかりと行っております。

「何から始めたら良いか分からない」「一度、専門家のアドバイスを受けてみたい」という方は、どうぞお気軽に私たちにご相談ください。

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