• 2025年12月1日
  • 2025年12月6日

肝臓が悪い時の危険なサインとは?顔色、皮膚のかゆみ、腹水…。「沈黙の臓器」のSOSを見逃さないで

「なんだか最近、体がずっとだるい」
「周りから『顔色が悪い』『土色だ』と言われるようになった」
「お酒を飲んだ後、右脇腹(肝臓のあたり)が重くて痛い気がする」

このような原因不明の体調不良を感じて、「もしかして肝臓が悪いのでは?」と不安に思っている方はいませんか?

肝臓は、体内の化学工場とも呼ばれる重要な臓器ですが、非常に我慢強いため「沈黙の臓器」と呼ばれています。多少のダメージでは全く症状を出さないため、自覚症状が出た時には、病気がかなり進行してしまっているケースが少なくありません。

この記事では、肝臓病専門医が、肝臓が発する危険なSOSサインと、そのサインが出た時にどうすべきかを詳しく解説します。


1.なぜ肝臓は「沈黙の臓器」なのか?

肝臓は、代謝、解毒、胆汁の生成など、生命維持に不可欠な500以上の機能を担っています。これほど多くの仕事ができるよう、肝臓は非常に「予備能力」が高く、再生能力も強い臓器です。

また、肝臓の内部には「痛み」を感じる神経(痛覚神経)がありません。

そのため、脂肪が溜まったり(脂肪肝)、少し炎症が起きたり(肝炎)している程度では、一切自覚症状が出ないのです。これが、肝臓病の発見が遅れがちな最大の理由です。


2.見逃さないで!肝臓が悪い時の危険なサイン(セルフチェック)

以下に挙げる症状は、肝臓の機能がかなり低下し、我慢の限界を超えて発せられる「SOSサイン」です。一つでも当てはまる場合は、すぐに肝臓病専門医に相談してください。

黄疸(おうだん)

  • 症状: 皮膚や、目の白目の部分が黄色っぽくなる。
  • 原因: 肝機能が低下し、本来は便として排出される「ビリルビン」という黄色い色素が血液中に溢れ出してしまうためです。尿の色が濃い(茶色っぽい)場合も注意が必要です。

顔色・皮膚の変化(顔色 土色・顔が黒い)

  • 症状: 顔色が黒ずむ、土色になる。皮膚が乾燥し、カサカサになる。
  • 原因: 肝機能の低下により、ホルモンバランスが崩れたり、メラニン色素が沈着しやすくなったりするためです。

皮膚のかゆみ

  • 症状: 全身、特に背中や手足に我慢できないほどの強いかゆみが出る。
  • 原因: 肝臓で処理しきれなかった胆汁酸という物質が皮膚に蓄積し、神経を刺激するためと考えられています。

腹水(ふくすい)とむくみ

  • 症状: お腹がカエルのように張り、体重が急激に増える(腹水)。足のすねを指で押すと、へこんだまま戻らない(むくみ)。
  • 原因: 肝硬変が進行し、肝臓が「アルブミン」というタンパク質を作れなくなることで、血管内の水分が外に漏れ出してしまうためです。

手のひらや胸の異常

  • 手掌紅斑(しゅしょうこうはん): 手のひら、特に親指と小指の付け根(膨らんだ部分)が異常に赤くなります。
  • クモ状血管腫: 首元や胸、肩などに、クモが足を広げたような形の小さな赤い血管腫が現れます。

肝性脳症(かんせいのうしょう)の兆候

  • 症状: ぼーっとする、判断力が鈍る、場所や時間がわからなくなる、昼夜逆転する、羽ばたくような手の震えが出る。
  • 原因: 本来、肝臓で解毒されるはずのアンモニアなどの有害物質が脳に達し、神経を障害するためです。肝硬変が進行した場合に見られます。

3. 「肝臓の痛み」は本当にある?

「肝臓が痛い」と感じる場合、厳密には肝臓そのものが痛んでいるわけではありません。前述の通り、肝臓の内部には痛覚神経がないからです。

では、なぜ右脇腹(肝臓のある位置)が痛んだり、重く感じたりするのでしょうか。

原因1:肝臓の「膜」が伸びている

肝臓は「グソリン鞘(しょう)」という薄い膜に包まれています。急性肝炎や脂肪肝などで肝臓が急激に腫れると、この膜が引っ張られて、痛みや圧迫感として感じられます。

原因2:胆のうや胆管の問題

肝臓のすぐ下には「胆のう」があります。感じている痛みが、実は胆石や胆のう炎による痛みである可能性も非常に高いです。

原因3:他の臓器や筋肉の問題

胃や十二指腸、あるいは肋骨や筋肉の痛みを「肝臓の痛み」と勘違いしている場合もあります。

いずれにせよ、「右脇腹の痛み・違和感」は、肝臓かその周辺臓器の異常サインであることに変わりありません。絶対に放置しないでください。


4.これらのサインが出たらどうすべきか?

もし、これらの症状が一つでも当てはまったら、どうすればよいのでしょうか。

答えは一つです。「すぐに肝臓病専門医を受診する」ことです。

これらの症状は、病気の「初期症状」ではありません。残念ながら、肝臓の機能がかなり低下した「進行した状態」で現れるサインです。

「お酒をやめれば治るかも」「サプリメントで様子を見よう」といった自己判断は、手遅れにつながる最も危険な行為です。

肝臓病専門医を受診すれば、血液検査、腹部エコー(超音波)検査、肝臓の硬さを測る検査(Shear wave elastographyなど)を行い、肝臓が今どのような状態にあるのか、原因は何なのかを正確に診断することができます。


5. まとめ:本当の早期発見は「症状が出る前」の健診

肝臓が悪い時のサインについて解説してきましたが、最も重要なことをお伝えします。

肝臓病の本当の早期発見は、「症状」が出てからでは遅すぎます。

肝臓病は、症状がない「脂肪肝」や「慢性肝炎」の段階で発見し、治療を開始することが何よりも重要です。そのためには、症状がなくても年に一度の健康診断(血液検査、腹部エコー検査)を必ず受けてください。

もし、すでに腹水や黄疸などの症状が出て不安に思われている方も、決して諦めないでください。現在は、肝硬変の進行を抑える治療や、症状を緩和する治療法が進歩しています。当院では、肝臓病専門医の立場から、他の様々な疾患に対する再生医療は一切行わず、あくまで肝疾患に特化した再生医療をご提供しています。

肝臓からのSOSサインを見逃さず、そしてサインが出る前に、あなたの肝臓を守る行動を始めてください。

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
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