• 2025年12月8日

亜鉛を多く含む食べ物リスト:肝臓の健康を守り、免疫力を高める食事術

「最近、疲れやすい」

「食欲がない」

「味がわかりにくい」

これらの症状に心当たりはありませんか?

実は、それらの不調の背景には、必須微量ミネラルである亜鉛の不足が関わっているかもしれません。

亜鉛は体内で作ることができないため、食事から積極的に摂取する必要があります。亜鉛は、肝臓、骨、筋肉、皮膚など全身に分布し、タンパク質の合成や免疫機能の調節、そして味蕾細胞の生成に不可欠な役割を担っています。

特に肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝機能が低下すると全身倦怠感や食欲不振といった症状が現れますが、これらの症状は亜鉛不足によるものと区別がつきにくい場合があるため、適切な食事管理が非常に重要です。

今回は、亜鉛を効率よく摂取するための食べ物とその工夫についてご紹介します。


1.亜鉛を豊富に含む食品リスト

亜鉛は、主に動物性食品や豆類、種実類に多く含まれており、特に牡蠣の含有量が突出しています。

亜鉛が多く含まれている食品(100gあたり)の目安は以下の通りです。

食品群食品名100gあたりの亜鉛量 (mg)
魚介類カキ13.2
肉類豚レバー6.9
種実類かぼちゃ種7.7
種実類煎りごま5.9
卵黄4.2
肉類牛もも赤肉4.0
藻類焼きのり3.6

【摂取の目安】

30~49歳の方の亜鉛の1日の摂取推奨量は、男性で11mg、女性で8mgです。特に、妊婦や授乳婦、スポーツで発汗量が多い人などは、通常以上に亜鉛が必要とされています。


2. 亜鉛の吸収を高める食べ合わせと、肝臓を守る注意点

単に亜鉛を多く含む食品を食べるだけでなく、その吸収効率を最大限に高める食べ合わせを意識することが大切です。

積極的に摂りたい「吸収を助ける因子」

亜鉛の吸収は、以下の成分によって向上するとされています。

  • 動物性たんぱく質:肉類や魚介類と一緒に摂ることで、亜鉛の摂取効率が上昇します。
  • クエン酸やビタミンC:酸味のある果物や野菜と一緒に摂取することで吸収を助けます。
  • 味噌:味噌も亜鉛の吸収を助ける因子として知られています。

肝臓病患者様が特に注意すべき「吸収を阻害する因子」

亜鉛の吸収を妨げる成分や、亜鉛の排泄量を増やす習慣は、肝臓に負担をかけるため注意が必要です。

  • アルコール:アルコールは体内で分解される際に亜鉛を消費するほか、尿からの亜鉛の排泄を増やします。肝機能に不安がある方は、アルコールの適量(純アルコール20g=日本酒1合以下)を守るべきであり、アルコール性肝障害の場合は断酒が最も重要かつ不可欠な治療となります。
  • フィチン酸:未精製の小麦や穀類、豆類(ごま、大豆、ピーナッツ、とうもろこしなど)に多く含まれ、過剰に摂取すると腸からの亜鉛の吸収を妨げます。
  • 加工食品の添加物:加工食品に多く含まれるポリリン酸なども亜鉛の吸収を阻害することがわかっています。

3. 亜鉛不足のサインが見られたら肝臓病専門医に相談を

亜鉛不足が原因で食欲低下や全身の倦怠感、疲れやすさなどの症状が出ることがありますが、これらは肝機能障害の初期症状と共通しています。

肝臓は「沈黙の臓器」であり、症状が出たときには、すでに脂肪肝から肝硬変へと進行しているケースも少なくありません。特に痩せ型の方でも「隠れ脂肪肝」になっている危険性があり、放置するとMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)を経て肝硬変や肝がんへと進む恐れがあります。そのため、決して自己判断せず、肝臓病専門医による詳細な検査を受けることが不可欠です。

肝硬変と診断されても、諦めないでください

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さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
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