- 2025年12月8日
【沈黙の臓器からのSOS】肝臓の硬さ(線維化)をチェック!「エラストグラフィー検査」で肝硬変リスクを数値化する

「肝機能の数値は少し高いけれど、特に症状がないから大丈夫」
「脂肪肝と言われたけれど、運動すれば治るだろう」
このように考えて、肝臓の異常を放置していませんか?肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、症状が出たときにはすでに肝硬変や肝がんへと進行しているケースも少なくありません。

特に重要なのは、肝臓の「硬さ(線維化)」です。さいとう内科クリニックでは、肝臓の未来を守るために、超音波エラストグラフィー検査(肝硬度測定)による、肝臓の硬さの正確なチェックを強く推奨しています。
1.肝硬度測定(エラストグラフィー検査)とは?

肝硬度測定は、超音波(エコー)を用いて肝臓の硬さを非侵襲的(体に負担をかけずに)に評価する検査です。
従来の検査との違い
以前は、肝臓の線維化の程度を正確に把握するためには、肝臓の組織を採取する肝生検が必要でした。しかし、肝生検は入院が必要で、肝臓に針を刺すというリスクを伴うため、簡単に行える検査ではありません。また、肝生検では、肝臓全体のおよそ5万分の1程度の肝臓の線維化を評価しているにすぎません。
肝硬度測定は、腹部エコー検査の延長で施行でき、痛みや放射線被ばくの心配もなく、わずか3分程度で完了します。さらに、肝硬度測定では、肝臓全体のおよそ500分の1程度の肝臓の線維化を評価できます。
検査の仕組みと利点
肝硬度測定では、超音波を用いて肝臓の硬さ(肝硬度)の近似値を求めます。
- 肝線維化の定量評価:肝臓の硬度は、肝線維化の進行度を反映しており、この検査により任意の箇所の硬さの程度を数値で表すことが可能です。
- 非侵襲的かつ安全:日常検査から装置を変えることなく検査できます。
- 経過観察に最適:硬さが数値化されることで、ダイエットの成果や治療効果がわかりやすく、患者さんのモチベーションアップにもつながります。当院では部位を変えて5回測定し、その平均値を計算しています。
2.なぜ肝臓の「硬さ」を知ることが重要なのか?

肝臓が硬くなる(線維化が進行する)ことは、肝臓病の深刻化を示すサインです。
脂肪肝の進行リスクの評価
現在、日本では成人の約30%が脂肪肝と言われています。脂肪肝は、肥満や糖尿病の合併、アルコール摂取などにより生じることが多いですが、放置すると肝硬変や肝がんへと移行する可能性があります。
特に、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)(以前は非アルコール性脂肪肝炎:NASHと呼ばれていました)に進行すると、肝臓に炎症と線維化が起き、肝硬変の発症は、脂肪肝の程度とは関係なく、肝硬度のみに関連があると言われています。
「肝臓の硬さ」つまり「肝臓の線維化」こそが、肝硬変や肝がんへの危険な道のりの入り口に立っているかどうかの重要な指標なのです。
肝臓の線維化が進行すると
肝臓の線維化が進行すると、肝機能に支障をきたし肝不全が進むことや、肝がんのリスクが高まることがわかっています。進行期(非代償性肝硬変)では、黄疸、腹水、むくみ、肝性脳症、食道胃静脈瘤破裂といった命に関わる深刻な症状が現れます。
3.肝硬度測定をおすすめする方

以下のリスク要因を持つ方は、ご自身の肝臓の線維化の程度を把握するために、エラストグラフィー検査を検討してください。
- 脂肪肝やMASLD/MASHと診断された方:脂肪肝は肝線維化のリスクを高めます。
- 慢性肝炎ウイルス(B型・C型)に感染歴のある方:ウイルス感染は肝線維化のリスクを高めます。
- アルコール性肝疾患の疑いがある方:過度な飲酒は肝臓にダメージを与え、線維化を進行させます。
- 糖尿病や肥満などの生活習慣病をお持ちの方:肝線維化のリスクを高める可能性があります。
- 肝機能異常(AST, ALTなど)を指摘された方:肝臓の状態を詳しく知る必要があります。肝機能異常が持続すれば、肝線維化のリスクを高める可能性があります。
さいとう内科クリニックでは、腹部エコー検査で脂肪肝や慢性肝炎のエコー像が認められる方には、肝硬度測定も一緒に行うことが多いです。特に予約する必要はありませんので、肝臓の病気が気になる方はお気軽にご相談ください。
4. 肝臓病専門医による精密診断と再生医療という新たな希望

肝硬度測定は、針を刺す痛みや放射線被ばくなどもなく、肝疾患のリスク評価に最適な検査法の一つです。当院では、この肝硬度測定結果と血液検査結果(肝機能・肝線維化関連指標)を複合的に考慮し、より良い医療を提供しています。
当院の専門性

さいとう内科クリニックの院長は、日本肝臓学会 肝臓病専門医であり、日本超音波医学会 超音波専門医として、質の高いエコー検査と精緻な診断を提供しています。
従来の治療の限界と再生医療の可能性
一度硬くなった肝臓の線維化を根本的に改善する保険適用の治療薬は、残念ながらまだ存在しません。これが標準治療の「限界」です。
肝硬変が進行し、「もう治らない」と諦めてしまう状況に対し、当院では幹細胞を用いた肝臓再生医療という新しい治療アプローチを提供しています。
幹細胞治療は、従来の治療法とは異なり、肝臓の炎症を改善し、線維化の進行を抑制・改善する可能性を秘めています。これにより、肝機能の数値の改善や、倦怠感の軽減、腹水やむくみ、肝性脳症のコントロール、それらによるQOL(生活の質)の向上などが期待されます。
「肝硬変の症状がいっぱいいっぱいになる前の段階」で再生医療を検討することが、肝硬変の進行を遅らせ、QOLの維持・向上につながる可能性を飛躍的に高めます。しかし、たとえ肝硬変の進行期(非代償性肝硬変)へと病気が進んでいたとしても、今までの当院での肝臓再生医療によるデータからみて、上記のような様々な改善効果がみられるケースがあり、将来性のある治療法であると考えております。
ご自身の肝臓の「硬さ」を知り、早期に予防や治療につなげるために、ぜひ一度さいとう内科クリニックにご相談ください。当院では、Curon(クロン)を利用したオンラインでの事前相談も受け付けております。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 携帯電話:080-7097-5109
