• 2026年1月5日

【肝臓病専門医が解説】「休肝日」は本当に必要?

肝臓の修復力を引き出し、一生お酒を楽しむための新常識

1月はお正月や新年会で飲酒する機会が増え、「そろそろ休肝日を作らなきゃ」と焦る方も多いのではないでしょうか。一方で「毎日少しなら大丈夫」「休肝日なんて意味がない」という声も耳にします。

肝臓病専門医の視点から結論を申し上げますと、休肝日は医学的に見て「必要」です。しかし、単に日数を空ければ良いというわけではなく、大切なのは肝臓が自らを修復できる「環境」を整えてあげることです。

今回は、最新の医学的知見に基づいた「正しい肝臓の休み方」と、ダメージが蓄積してしまった肝臓を救うための最新医療についてお伝えいたします。


1.なぜ「休肝日」が不可欠なのか?

肝臓は「生体の化学工場」であり、アルコールの解毒以外にも代謝や胆汁生成など500以上の仕事をこなしています。

肝細胞の修復時間を確保する

アルコールを分解する過程では有害な活性酸素が生じ、肝細胞に炎症が起きます。毎日飲み続けると修復が追いつかず、アルコール性肝炎に直結します。

数値の改善

実際に、週に数日の完全な休肝日を設けることで、肝臓のダメージを示すγ-GTPやALT(GPT)の数値が改善したという報告があります。

全身の回復

休肝日は肝臓だけでなく、睡眠の質の改善、むくみの軽減、自律神経の安定など全身のメンテナンスに役立ちます。


2.理想的な頻度と「20g」のルール

日本肝臓学会などが推奨する理想は「週2日以上」の休肝日です。肝細胞のダメージを修復するには時間が必要なため、できれば連続した2日間を休ませるとより効果的です。

また、飲む日の「適量」を守ることも重要です。

  • 1日の目安: 純アルコール20〜25g程度(ビール中瓶1本、または日本酒1合)。
  • ドカ飲みの危険: 休肝日があるからといって、他の日に大量に飲む「ビンジドリンキング(一気飲み)」は、肝臓を攻撃する因子を一気に増やし、細胞を破壊するため極めて危険です。

3.最新の視点:飲酒頻度よりも「週の総量」が鍵

近年の専門医の見解では、無理に休肝日を設けてその反動で飲み過ぎるくらいなら、1週間単位でアルコールの総量をコントロールするという考え方も合理的だとされています。

  • 週の総量を管理する: 1日の適量が20gであれば、週に140g〜150g以内に収めるようメリハリをつけます。週末に予定があるなら、平日はセーブして「週の総量」を上回らないようにします。
  • 死亡リスクの上昇: 休肝日を作らず、週に450g(ビール中瓶22本分相当)以上の多量飲酒を続ける男性は、適切に休肝日を作っている人に比べて死亡リスクが1.8倍になるというデータもあります。

4.無理なく休肝日を続ける「環境づくり」

「意志の力」だけでお酒を我慢するのは難しいものです。専門医が推奨するコツは以下の通りです。

  • ストックを置かない: 冷蔵庫にあると手が伸びるため、「飲む分だけその日に買う」仕組みにします。
  • 代替飲料の準備: 炭酸水やノンアルコール飲料、ハーブティーなどで「飲む行動」を置き換えます。
  • 即・歯磨き: 夕食後すぐに歯磨きを済ませることで、心理的に「飲まないモード」へ切り替えます。
  • 翌朝の快適さを実感する: 目覚めの軽さや胃もたれのなさを実感することが、最大のモチベーションになります。

5.すでに肝硬変へと進行してしまった方へ:再生医療の可能性

長年の飲酒習慣により、すでに肝硬変へと進行してしまった場合、従来の食事療法や薬物療法だけでは、硬くなった組織(線維化)を元に戻すことは困難とされてきました。

しかし、当院では患者様ご自身のお尻の脂肪から採取した幹細胞を用いる「肝臓再生医療」という新しい治療法を提供しています。

  • 治療の仕組み: お尻から採取したごく少量の脂肪から幹細胞を取り出し、培養して点滴で体内に戻します。
  • 期待できる効果: 幹細胞が肝臓の炎症を抑え、線維化の抑制や残存する肝細胞の修復を促します。これにより、アルブミン値の改善、腹水や肝性脳症の改善、倦怠感の軽減など、QOL(生活の質)の向上が期待できます。
  • 当院の強み: 肝臓病専門医が肝臓病に特化して再生医療を行う、国内唯一のクリニックです(2026年1月現在)。肝臓病に特化して再生医療を行っているため、肝臓病以外の疾患に対する再生医療は一切行っておりません。

まとめ:肝臓はあなたの人生を支える「フィルター」です。

肝臓に汚れが詰まって動かなくなる前に、週に2日の休息と適切なメンテナンスを与えてあげましょう。

もし健康診断で肝臓の数値が気になったり、お酒を飲むと以前より疲れやすさを感じたりしているなら、それは肝臓からのSOSかもしれません。放置せずに、まずは肝臓病専門医へご相談ください。遠方の方には、オンラインでの事前相談も受け付けております。肝臓病で苦しんでおられる患者様にとって、希望の光となり続けられるよう、そして、この肝臓再生医療の分野をリードしていけるよう、引き続き精進してまいります。

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109