- 2026年1月5日
【肝臓病専門医からの警鐘】「お酒を飲むと太る」は本当?体重増加の裏に潜む「脂肪肝」の恐怖と、肝臓からのSOS

「お酒を飲むと太る」
よく耳にする言葉ですが、実際のところはどうなのでしょうか?
「お酒自体はエンプティカロリー(栄養がない)だから太らない」という説もあれば、「いや、おつまみで太る」という説もあります。
実は、医学的な視点、特に「肝臓」の専門医の視点から見ると、アルコールと肥満には「カロリー以上の深い関係」があります。
今回は、お酒を飲むとなぜ太りやすくなるのか、そのメカニズムと、沈黙の臓器・肝臓が発する「小さなSOS」についてお伝えいたします。
1. お酒で太る本当の理由:肝臓が「脂肪燃焼」をストップさせる
結論から言うと、アルコールを摂取することは、体を「脂肪を溜め込みやすいモード」に切り替えるスイッチを押すことになります。
アルコールは1gあたり約7kcalと高カロリーですが、栄養素をほとんど含みません。しかし、問題はカロリーだけではありません。
肝臓は、アルコールが入ってくると、それを「毒」とみなし、最優先で分解しようとします。その間、本来行われるべき「食事から摂った脂肪の燃焼」や「体脂肪の分解」が後回し(抑制)されてしまうのです。
つまり、お酒を飲んでいる間、あなたの肝臓は「脂肪燃焼工場」から「アルコール解毒工場」へと変わり、燃やされなかった脂肪はそのまま肝臓や内臓に蓄積されていきます。これが、お酒で太る、そして「脂肪肝」になる最大のメカニズムです。
2. 体重だけじゃない!「脂肪肝」の知られざるリスク

「最近お腹が出てきたけど、体重はそこまで増えていないから大丈夫」と思っていませんか?
実は、体重が増えていなくても肝臓に脂肪が溜まっている「隠れ脂肪肝」の可能性があります。
アルコール性脂肪肝
長期間の飲酒により、肝臓に中性脂肪が蓄積した状態です。放置して飲み続けると、肝炎、そして肝硬変へと進行するリスクがあります。
痩せ型でも危険
筋肉量が少ない「隠れ肥満」の人や、タンパク質不足の食事をしている人は、代謝が落ちており、痩せていても肝臓に脂肪が溜まりやすいことがわかっています。
近年では、アルコールだけでなく代謝異常が関わる脂肪肝をMASLD(マッスルディー)と呼び、将来的に肝がんなどの深刻な病気につながるリスクとして警戒されています。
3. 見逃してはいけない!肝臓からの「小さなSOS」

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり悪くなるまで自覚症状が出ません。しかし、皮膚や体調に「小さなSOS」サインを出していることがあります。
- 手のひらの赤み(手掌紅斑): 手のひら、特に親指と小指の付け根が赤くなっている。
- 首や胸の赤い血管(クモ状血管腫): クモが足を広げたような形の赤い血管が浮き出る。
- しつこいかゆみ: 見た目に湿疹がないのに、体の中からくるようなかゆみがある(胆汁の流れが悪くなっている可能性があります)。
- だるさ・疲れやすさ: しっかり寝ても疲れが取れない。
これらのサインがあったら、体重の増減に関わらず、是非一度、肝臓病専門医の診察を受けることを強くお勧めします。
4. 肝臓病専門医が教える「太らない&肝臓を守る」賢い飲み方

お酒を楽しみつつ、肝臓を守るための具体的なポイントをご紹介します。
1.適量は「純アルコール20g」
医学的な適量は、ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合程度です。これを毎日超えると肝臓へのダメージが蓄積します。
2.「割り材」の糖質に注意(果糖の罠)
甘いチューハイやカクテルに使われるジュース(果糖)は、ブドウ糖よりも肝臓で中性脂肪に変わりやすいため、脂肪肝を加速させます。割るなら無糖のお茶や炭酸水を選びましょう。
3.おつまみは「肝臓の修復材料」を選ぶ
アルコールで傷ついた肝臓を修復するには、良質なタンパク質が必要です。枝豆、冷奴(大豆製品)、焼き鳥(鶏肉)、刺身などは、低脂質で肝臓を助ける最高のおつまみです。
4.休肝日を作る
肝臓が脂肪を燃焼する時間を作るため、週に2日以上の休肝日を設けましょう。
まとめ

「飲んだら太る」は、カロリーの問題だけでなく、肝臓の代謝メカニズムによる必然の結果です。
楽しいお酒が、将来の健康を奪うことのないよう、肝臓からのSOSに耳を傾けながら、適量の飲酒と賢いおつまみ選びを心がけましょう。
もし、健康診断で肝臓の数値(AST, ALT, γ-GTP)が高い場合や、上記のSOSサインに心当たりがある場合は、放置せずに肝臓病専門医にご相談ください。当院では、進行した肝臓病に対して、肝臓病専門医の見地から、しっかりとした標準治療を行いつつ、必要に応じて、肝臓再生医療も提供しております。標準治療と再生医療の両輪こそが、進行した肝臓病に立ち向かっていくには最大の武器となりうるものと考えております。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
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