- 2026年1月6日
【肝臓病専門医が教える】肝臓を救う「タンパク質」摂取の黄金ルール。なぜ“こまめ”に食べることが重要なのか?

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
私たちの肌、爪、髪、そして肝臓などの臓器はすべてタンパク質からできています。特に「生体の化学工場」である肝臓にとって、タンパク質は製品(アルブミンなど)を作るための不可欠な材料です。
今回は、最新の栄養医学の知見に基づき、肝臓の代謝を復活させ、痩せやすい体を作るための「正しいタンパク質の摂り方」をお伝えいたします。
1.鉄則は「1食20g」を“こまめ”に摂ること

タンパク質は一度にたくさん摂れば良いというわけではありません。
「20gの壁」を知る
人間が一度に吸収できるタンパク質量は、約20gが限界だといわれています。例えば、夕食にステーキをドカ食いして1日分を補おうとしても、体は吸収しきれず、余った分は脂肪として蓄積されるか、未消化物として腸内環境を悪化させる原因になります。
「3食+α」で供給を絶やさない
1日の推奨量は、成人男性で65g、女性で50g(18〜64歳)です。これを朝・昼・晩に分け、1食あたり約20gを目安に摂取することが、筋肉や臓器の修復を効率よく進める秘訣です。忙しい日は牛乳やヨーグルト、プロテインバーなどの間食も活用しましょう。
2.理想のバランス「3:5:2」で代謝を復活

日本人の多くは「タンパク質2:炭水化物6:脂質2」という割合で食事を摂っていますが、脂肪肝(MASLD)を改善し、代謝を復活させるにはこのバランスを見直す必要があります。
比率をシフトする
理想は、「タンパク質3:炭水化物5:脂質2」の割合です。
「隠れ糖質」に注意
お米を減らすよりも、ジュース、エナジードリンク、菓子パン、甘い調味料に含まれる「液状の糖質(果糖ぶどう糖液糖)」を避けることが重要です。これらは血糖値を爆上げし、肝臓にダイレクトに脂肪を溜め込みます。
3. 動物性タンパク質を優先すべき理由
肝臓の修復や、栄養を運ぶ「トラック」であるアルブミンを合成するには、アミノ酸バランスが完璧な「動物性タンパク質」が非常に効率的です。
アミノ酸スコア100を目指す

クロマグロ、豚ひれ肉、全卵などはアミノ酸スコアが100であり、体内で無駄なく活用されます。
ビタミン・ミネラルの強い味方

タンパク質は、ビタミンAや鉄を運んだり、鉄や銅を貯蔵したりする役割も担っています。タンパク質不足の状態では、どんなに高価なサプリメントを飲んだとしても、栄養素が目的地まで運ばれず無駄になってしまうのです。
3.肝臓を休ませる「筋肉」への投資:BCAAの力

肝臓病専門医として特におすすめしたいのが、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を意識した摂取です。
筋肉の解毒作用
通常、有害なアンモニアは肝臓で解毒されますが、筋肉にもアンモニアを処理する力があります。
BCAA(ロイシン・イソロイシン・バリン)
鶏むね肉などに豊富なBCAAは、筋肉を作るスイッチを入れ、筋肉の分解を防ぎます。筋肉を維持することは、肝臓の解毒作業を肩代わりすることになり、結果として肝臓を休ませること(肝活)に繋がります。
食事改善で結果が出ない方へ:肝臓再生医療の可能性

「良質なタンパク質を摂り、運動もしているのにアルブミン値が上がらない」「倦怠感が抜けない」という方は、製造工場である肝臓そのものが線維化(硬化)し、材料を加工する能力を失っている可能性があります。
当院では、自身の細胞を用いた「肝臓再生医療(幹細胞治療)」という治療法を提供しています。
期待できる効果
投与された幹細胞が肝臓の炎症を鎮め、硬くなった肝組織の改善を促すことで、摂取したタンパク質が再び効率よくエネルギーやアルブミンの合成に使われるよう、工場の基礎から立て直します。
まとめ:タンパク質は「鮮度が命の建築資材」です。

体という建物は、毎日少しずつ作り替えられています。一度に大量のレンガ(タンパク質)が届いても、職人(肝臓の吸収能力)は捌ききれません。「3食こまめに、質の良いレンガを届けること」。そして、もし職人が疲弊して工場が壊れかけているなら、肝臓再生医療という最新の修理チームを呼ぶことを検討してください。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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