• 2026年3月11日

【肝臓病専門医が解説】「沈黙の臓器」の中身はどうやって見る?超音波・CT・MRI検査の役割

こんにちは。神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「肝臓の数値が悪いと言われたけれど、お腹は痛くないし……」

「肝臓がんや脂肪肝って、どうやって見つけるの?」

肝臓は肋骨の奥に守られているため、皮膚の上から直接見ることはできません。また、「沈黙の臓器」と呼ばれる通り、かなり進行するまで自覚症状が出ないのが特徴です。

だからこそ、私たち肝臓病専門医は「画像検査(超音波・CT・MRI)」という“医療の目”を使って、肝臓の中で何が起きているかを正確に読み解きます。

今回は、肝臓の病気をどうやって見つけ出しているのか、その裏側にあるメカニズムと最新技術についてお話しします。


1.なぜ「造影剤」を使うとガンが見つかるのか?

肝臓がんの診断には、造影剤を使ったCTやMRI検査が非常に有効です。これには、肝臓ならではの面白い「血液の流れ」が関係しています。

【正常な肝臓】

主に腸からの栄養を運ぶ「門脈(もんみゃく)」という静脈から、ゆっくりと血液を受け取っています(約70%)。

【肝臓がん】

正常なルートではなく、酸素を運ぶ「動脈」から、勢いよく血液を奪い取って成長します。

この性質を利用し、造影剤を点滴して撮影すると、以下のような現象が起きます。

  1. 早いタイミング: がんの部分だけが動脈血を受けて「白く」染まる。
  2. 遅いタイミング: 造影剤が抜けていき、がんの部分が「黒く」抜ける。

この「染まり抜け(ウォッシュアウト)」という現象を確認することで、わずか1cm程度の小さながんであっても、高い確率で見つけ出すことができるのです。


2.「硬さ」や「脂肪」も画像で測れる時代

画像検査の進化は、がんの発見だけではありません。

当院に相談に来られる方に多い「脂肪肝」や「肝硬変」の状態も、体に針を刺すことなく画像だけで詳しく評価できるようになっています。

エラストグラフィ(硬さの測定)

MRIや超音波を使って、肝臓がどれくらい硬くなっているか(線維化の進行度)を数値化します。肝硬変への進行リスクを知るための非常に重要な検査です。

脂肪の定量化(脂肪肝の測定)

「MRI-PDFF」や「超音波減衰法」といった最新技術により、肝臓に何パーセント脂肪が溜まっているかを具体的に推定できます。

これにより、「なんとなく脂肪肝ですね」ではなく、「脂肪が〇〇%溜まっていて、硬さはこれくらいです」と、明確な数値で病状をお伝えできるのです。

※画像だけで判断が難しい特殊なケースでは、直接組織を採取する「肝生検」を行うこともあります。


3. 画像で見えた「ダメージ」をどう治すか

画像検査によって、ご自身の肝臓が「脂肪で埋もれている(脂肪肝)」のか、あるいは「傷ついて硬くなっている(肝硬変・線維化)」のかが分かります。

もし、検査の結果、肝臓の線維化が進んで「肝硬変」に近い状態だと分かった場合。

これまでは「進行を遅らせる」ことしかできませんでしたが、現代医療には「再生医療(幹細胞治療)」という選択肢があります。

画像検査で見つかった「硬くなった組織」に対し、ご自身の幹細胞を投与することで、炎症を鎮め、修復を促す治療です。

「画像を見てショックを受けた」という方こそ、そこが治療のスタートラインです。

当院では、高度な画像診断の知識に基づき、標準治療から再生医療まで、あなたの肝臓の状態に合わせた最適なプランをご提案します。

健康診断で肝臓の数値がひっかかった方は、放置せずに一度詳しい検査を受けに、当院までお越しください。

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。