- 2026年3月12日
【肝臓病専門医が解説】夜になると体が痒い…それ、内臓からのサインかも?皮膚の乾燥・湿疹との見分け方

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
「夜、布団に入ると体が痒くて眠れない」
「皮膚には何もできていないのに、全身がムズムズする」
このような原因不明のかゆみに悩まされていませんか?
かゆみというと、虫刺されやかぶれなどで皮膚が赤く腫れたり、ブツブツとした発疹がでたりするものをイメージされる方が多いでしょう。こうしたかゆみには、皮膚のトラブルに分類されるものがほとんどです。
しかし、見た目には異常がない「皮膚以外に原因のあるかゆみ」も存在します。
今回は、皮膚の乾燥や湿疹とは異なる「内臓からくる危険なかゆみ」の見分け方と、その背後に隠れている恐ろしい疾患について、肝臓病専門医が詳しくお伝えいたします。
1.発疹がないのに痒い「皮膚掻痒症」とは?

古くから「皮膚は内臓の鏡」と称されてきました。これは、皮膚の病気には内臓の病変に関係が深いものがあるということを意味しています。内臓病変と関係する皮膚病変をデルマドローム(dermadrome)といいます。
もし、皮膚に目に見えるような発疹や病変(湿疹、じんましんなど)がないにも関わらず、強いかゆみを感じる場合、それは「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」かもしれません。
特に皮膚掻痒症は、夜間、寝る前にかゆみが強くなりやすい傾向があります。これは、体温の上昇、副交感神経の優位、意識が覚醒していることなどが影響していると考えられています。
「ただの乾燥だろう」と放置していると、実は体の内側で重大なトラブルが起きている可能性があります。
2.【要注意】肝臓病からくるかゆみの5つの特徴

皮膚に目立った異常がみられないにも関わらず、かゆみがある場合には、肝臓病など内臓機能に問題が隠れている可能性があります。
肝臓病によるかゆみは、肝臓で作られる胆汁の流れが悪くなることで、胆汁の成分が皮膚に過剰に蓄積することで起こると考えられています。また、体の中の“オピオイド”と呼ばれる物質が関係しているという研究結果もあります。
肝臓病によるかゆみには、以下のような特徴があるといわれています。ご自身の症状と照らし合わせてみてください。
- 見た目に異常がなくてもかゆい: 虫刺されやアトピーのように赤みや腫れ、発疹といった見た目の変化がなく、はたから見てどこがかゆい部分なのか分かりづらいという特徴があります。
- かいてもかいてもかゆみが治まらない: 刺激を与えても和らぐことがなく、常にかゆみが伴うため大きな不快感につながります。
- 全身にあらわれる: 特にお腹や背中、手足全体を中心に、体の至る所にかゆみが生じます。
- かゆくて眠れない: 寝ている時に目が覚めるほどの不快感であり、睡眠に支障をきたす方も少なくありません。
- 一般的なかゆみ止めが効きにくい: 市販のかゆみ止めでは、症状を緩和することができません。抗ヒスタミン薬が肝臓病のかゆみに効くことはあまり期待できません。
3.肝臓だけじゃない!かゆみを引き起こすその他の内臓疾患

全身に掻痒を生じる汎発性皮膚掻痒症は、肝障害、腎不全などの基礎疾患に伴うことが多いと報告されています。
- 慢性腎不全: 腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物や毒素が十分に排出されず、血液中に溜まります。これらの物質がかゆみを引き起こすと考えられています。
- 糖尿病: 糖尿病では、高血糖が長く続くことで末梢神経に障害が生じたり、皮膚が乾燥しやすくなったりすることでかゆみが起こることがあります。
- 甲状腺疾患: 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)や甲状腺機能低下症(橋本病など)でもかゆみが見られることがあります。
- 悪性腫瘍(がん): 皮膚掻痒症が、悪性腫瘍(がん)の初期症状として現れることがあります。これを悪性腫瘍随伴性掻痒と呼びます。
4.今すぐできる、かゆみを和らげる日常生活の対策

肝臓病などによる強烈なかゆみへの明確な対処法は、残念ながら確立されていません。しかし、以下の工夫で症状をある程度和らげることができます。
- 患部を冷やす: 患部を冷たい水で濡らしたタオルや、氷・保冷剤で冷やして緩和させましょう。
- 入浴は「ぬるめ」で「短時間」: 熱すぎるお湯は皮膚のバリア機能を損ない、乾燥を招きやすいです。38~40℃程度のぬるめのお湯にしましょう。10~15分程度を目安に、短時間で済ませましょう。
- お風呂上がりの即保湿: 入浴後は、すぐに(タオルで水分を拭き取ってから数分以内が目安)保湿剤を全身に塗布しましょう。
- 肌に優しい衣類を選ぶ: 綿や絹などの天然素材で、肌触りが良く吸湿性の高いものを選びましょう。
5. まとめ:異常なかゆみは「沈黙の臓器」からのSOS

肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、病気が隠れていても痛みや苦痛を感じることはほとんどありません。だからこそ、原因不明のかゆみは病気のサインとして非常に有効です。
「皮膚には何もできていないのに、全身が猛烈に痒い」
「市販のかゆみ止めを塗っても全く効かない」
このような症状が続く場合は、単なる乾燥肌やアレルギーと自己判断せず、肝臓や腎臓などの内臓にトラブルが起きていないか、早めに専門医の診察を受けることが大切です。
当院では、肝臓病専門医による精密な検査を行っております。「もしかして肝臓かも?」と不安に思われた方は、手遅れになる前にぜひ一度ご相談ください。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
-
- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。