• 2026年4月8日

脂肪肝のサプリメントで肝臓の数値が下がらない方へ。肝臓病専門医が教える「次の一手」とは

健康診断で肝臓の数値(ALT、AST、γ-GTPなど)の高さを指摘され、市販の「脂肪肝向けサプリメント」や「ウコン」などを飲み始めたという方は非常に多くいらっしゃいます。しかし、数ヶ月続けても数値が改善せず、「このままで大丈夫なのだろうか」と不安を抱えていないでしょうか。

サプリメントは手軽な選択肢ですが、それだけで根本的な解決に至らないケースは多々あります。今回は、日本肝臓学会の肝臓病専門医の視点から、サプリメントに限界を感じている方が次に取るべき「医学的なアプローチ」についてお伝えします。

サプリメントだけでは脂肪肝が改善しない、もう一つの怖い理由

ドラッグストアやインターネットで「脂肪肝 サプリ」と検索すると、実に多くの商品がヒットします。しかし、サプリメントで数値が下がらない場合、以下のような理由が考えられます。

進行した炎症に追いついていない

単なる脂肪の蓄積にとどまらず、すでに肝臓内で強い「炎症」が起きている場合、栄養補助だけでは炎症を鎮めることは困難です。

すでに「線維化」が始まっている可能性

肝臓は沈黙の臓器です。数値の変化が乏しい裏で、肝臓が硬くなる「線維化(肝硬変への入り口)」が静かに進行しているケースがあります。

【重要】サプリメント自体が肝臓の「毒」になっているリスク

実はこれが最も怖い落とし穴です。サプリメントは普通の食品とは異なり、特定の成分が高い濃度で濃縮されています。そのため、弱っている肝臓で解毒・処理する際に多大な負担(残業)を強いることになります。良かれと思って飲んだサプリメントが原因で「薬剤性肝障害」を引き起こし、逆に肝臓の数値を悪化させているケースも少なくありません。

放置するとどうなる?MASH(マッシュ)の怖さ

「お酒を飲まないから大丈夫」と脂肪肝を放置するのは大変危険です。近年、アルコールを原因としない脂肪肝から進行する肝炎が急増しています。これまで「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」と呼ばれていましたが、現在は「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」という新しい名称に変更されています。

MASHが進行すると、肝臓の細胞が壊れて線維成分が蓄積し、やがて肝臓全体がガチガチに硬くなる「肝硬変」へと移行します。一度肝硬変にまで進行してしまうと、現在の標準治療では元の柔らかい肝臓に戻すことは非常に難しくなります。だからこそ、「サプリで肝臓の数値が下がらない」と気づいた今の段階で、正しい医学的介入を行うことが重要です。

肝臓病専門医が教える根本的な「次の一手」

サプリメントに限界を感じた方は、自己判断での対策を一旦ストップし、以下のステップへ進むことをお勧めします。

1.肝臓病専門医による正確な診断と「肝硬度測定」

まずは肝臓病専門医による精密な検査を受けましょう。血液検査だけでなく、腹部超音波(エコー)検査を行うことで、肝臓にどれくらい脂肪がついているかを直接目で見て確認できます。

さらに当院では、キヤノンメディカルシステムズ社の超音波診断装置(Aplioシリーズ)を導入しており、通常の腹部エコー検査の一連の流れで「肝硬度測定(Shear Wave エラストグラフィ:SWE)」を行うことが可能です。

【肝硬度測定(エラストグラフィ)とは?】

超音波技術を応用し、肝臓の硬さ(線維化の度合い)をカラーマップと数値で精緻に診断する検査です。検査時間は通常のエコー検査にプラスして2〜3分程度で、事前の絶食など一般的なエコー検査の準備のみで受けていただけます。

【肝硬変への進行リスクを示す数値(m/s)の目安】

組織の硬さをせん断波の伝搬速度(m/s)で表示します。原因疾患(MASHやウイルス性肝炎など)によって多少変動しますが、段階別の一般的な目安は以下の通りです。

  • F0〜F1(正常〜軽度): 約 1.3〜1.5m/s 以下
  • F2〜F3(中等度〜高度): 約 1.6〜2.1m/s
  • F4(肝硬変): 約 2.2m/s 以上

このように、精度の高い装置で「現在の肝臓の硬さ」を数値化して明確に把握することが、適切な治療の第一歩となります。

2.医学的根拠に基づいた栄養・食事指導

サプリメントに頼る前に、日々の食事から肝臓の修復に必要な栄養素を摂ることが基本です。例えば、イカやタコなどの魚介類や貝類に含まれる「タウリン」は肝機能の改善をサポートする重要な成分です。

当院の院長は、肝硬変の深刻な合併症である肝性脳症の研究において、血清タウリン値が治療効果の改善に深く関与することを国際的な医学誌で報告しています。

(出典論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224

こうした専門的な知見に基づき、タウリンを意識することに加え、野菜から先に食べる「ベジファースト」や、良質なタンパク質(鶏むね肉や大豆製品など)を1食20gこまめに摂ることも大切です。当院では、患者様お一人おひとりの状態に合わせた科学的根拠のある栄養指導を行っています。

3.新たな治療選択肢「肝臓再生医療」

もし検査の結果、すでに肝炎が重症化していたり、肝硬変へと進行しつつある状態であった場合、一般的な標準治療だけでは回復が難しい現実があります。そうした際の「次の一手」として、現在注目されているのが幹細胞を用いた「肝臓再生医療」です。

患者様ご自身のお尻の皮下脂肪から採取した幹細胞を培養し、点滴で体内に戻すことで、硬くなった肝臓の炎症を抑え(抗炎症作用)、線維化の進行を抑制・改善し、組織の修復を促す効果が期待されています。

実際に当院で肝臓再生医療を受けられた患者様の中で、半年から1年かけて肝臓の炎症が改善していくケースをご報告させていただいております。また、黄疸や腹水、足のむくみ、倦怠感といった症状の改善がみられるケースもあり、患者様に喜んでいただいております。

肝臓再生医療では、ご自身の細胞を使うため拒絶反応のリスクが極めて低く、安全性が高いのも大きな特徴です。当院では、肝臓病に特化した再生医療を行っており、高い専門性を担保しております。

自己流のケアから専門的な治療へシフトしましょう

サプリメントは魔法の薬ではありません。「肝臓の数値が下がらない」という結果は、あなたの肝臓からのSOSサインです。手遅れになる前に、肝臓病専門医のサポートを受けながら根本的な肝機能改善に取り組みましょう。

今の治療に「限界」を感じて諦めていませんか?

日々の診療の中で、「これ以上、今の標準治療だけでは肝機能を回復させることが難しい」と告げられ、流れに身を任せて諦めかけている患者様を数多く診てきました。

しかし、まだできることは残されているかもしれません。

さいとう内科クリニックでは、標準治療ではカバーしきれない進行した肝炎・肝硬変の患者様を少しでもサポートしたいという強い思いから、新たな治療選択肢として「幹細胞を用いた肝臓再生医療」を提供しています。

「もう打つ手がないのだろうか」と一人で抱え込まず、まずは肝臓病専門医にご相談ください。遠方の方やご来院が難しい方でも、ご自宅からお話しいただける「オンライン事前相談(Curonを利用)」を受け付けております。

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。