• 2025年5月24日

肝硬変によるつらい腹水。「手遅れ」「死ぬ前」と諦める前に。幹細胞による肝臓再生医療という選択肢

「日に日にお腹が張ってきて、息苦しいほどの腹水…」
「医師からは厳しい宣告を受け、もう手遅れなのではないか…」
「このまま症状が悪化し、死ぬのを待つしかないのだろうか…」

肝硬変と診断され、特につらい腹水の症状に見舞われ、医師から「手の施しようがない」といったニュアンスを伝えられたとき、多くの方が深い絶望感と「もう終わりだ」という恐怖に苛まれることでしょう。ご家族もまた、愛する人の苦しむ姿を前に、なすすべもない無力感に打ちひしがれているかもしれません。しかし、本当に全ての希望が絶たれたわけではありません。

「手遅れかもしれない」
「死ぬ前に何かできることはないのか」

そう切実に情報を探しているあなたにこそ知ってほしい、先端医療の可能性がここにあります。それが「幹細胞による肝臓再生医療」という選択肢です。

この記事では、まず肝硬変と腹水の恐ろしさ、そして従来の治療法ではなぜ「手遅れ」と感じてしまう状況があり得るのかを解説します。その上で、そのような厳しい状況に一筋の光を灯す可能性のある幹細胞治療について、その仕組みや期待できる効果、さいとう内科クリニックでの取り組みを詳しくご紹介します。


1.「手遅れ」と感じる肝硬変と腹水の恐怖:なぜ希望を失いそうになるのか

進行した肝硬変(非代償性肝硬変)とは?

肝硬変が進行し、肝臓の機能が著しく低下して、もはや体の要求に応えられなくなった状態を「非代償性肝硬変」と呼びます。この段階では、黄疸、重度の腹水、むくみ、出血しやすい、意識障害(肝性脳症)といった、生命を直接脅かすような深刻な症状が次々と現れてきます。

腹水がもたらす耐え難い苦痛と生命への影響

特に「腹水」は、患者様にとって非常につらい症状です。お腹の中に大量の水が溜まることで、

  • お腹がパンパンに張り、見た目も大きく変化する
  • 内臓が圧迫され、食事がとれない、吐き気がする
  • 横隔膜が押し上げられ、息苦しい、呼吸が困難になる
  • 体が重く、動くことすら億劫になる
  • 腹水に細菌が感染し、命に関わる腹膜炎を起こすリスクがある

など、QOL(生活の質)を著しく低下させるだけでなく、栄養状態の悪化や感染症のリスクを高め、直接的に生命予後にも関わってきます。

従来の治療法の限界と「これ以上は…」という壁

進行した肝硬変や難治性の腹水に対して、従来の治療法(利尿薬、アルブミン投与、腹水穿刺など)は、一時的な症状緩和にはなっても、肝臓そのものの機能を回復させるものではありません。何度も腹水を抜いているうちに体力が奪われ、栄養状態も悪化し、治療の選択肢が徐々に狭まっていく…そのような状況に、「もう打つ手がない」「手遅れだ」と感じてしまうのは無理もないことかもしれません。


2. 肝硬変の基礎知識:原因と進行のメカニズム

肝硬変は、肝臓に慢性的な炎症が続くことで、肝細胞が壊れては修復されるという過程を繰り返すうちに、硬い「線維」組織が増えて肝臓全体が硬く変化してしまう病気です。この線維化が進むと、肝臓のしなやかさが失われ、血液の流れが悪くなり、正常な機能が果たせなくなります。

原因は様々で、B型・C型肝炎ウイルス、長年の過剰な飲酒(アルコール性肝疾患)、肥満や糖尿病など生活習慣病に関連する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)、自己免疫の異常などが挙げられます。


3. 肝硬変の症状:初期のサインから末期の苦しみまで

肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、初期の「代償性肝硬変」では自覚症状がほとんどありません。しかし、進行して「非代償性肝硬変」になると、黄疸、腹水・浮腫、出血しやすくなる、手のひらが赤くなる(手掌紅斑)、胸にクモのような形の血管が浮き出る(くも状血管腫)、意識が朦朧とする(肝性脳症)、そして冒頭で述べたような腹水の苦しみなど、多彩で深刻な症状が現れます。


4. 従来の肝硬変・腹水治療とその限界点

従来の治療は、原因となっているウイルスを排除したり(ウイルス性肝炎の場合)、アルコールを断ったり(アルコール性肝疾患の場合)といった原因療法と並行して、出現している症状を和らげるための対症療法が中心です。

腹水に対しては、塩分制限、安静、利尿薬の投与、アルブミン製剤の点滴、お腹に針を刺して直接腹水を抜き取る「腹水穿刺吸引術(TA P)」などが行われます。食道や胃にできた静脈瘤の破裂を防ぐための内視鏡治療や、肝性脳症に対する食事療法・薬物療法も重要です。

しかし、これらの治療法は、進行した肝硬変そのものを治癒させ、硬くなった肝臓を元の状態に戻すものではありません。特に非代償期に入り、従来の治療ではコントロールが難しくなった腹水や繰り返す合併症に対しては、根本的な解決策とはなり得ず、多くの患者様やご家族が「もうこれ以上の治療法はないのか」という壁に直面します。肝移植は唯一の根治的治療法とされていますが、ドナーの問題、手術の侵襲、費用、年齢制限など、誰もが受けられる治療ではありません。

だからこそ、「手遅れかもしれない」と感じる状況でも、諦めずに新しい可能性を探ることが重要になるのです。


5. 新たな希望の光「幹細胞治療」:諦めるのはまだ早い

従来の治療法では限界があった進行した肝硬変、特に治療抵抗性の腹水などでお悩みの方々にとって、再生医療の一つである「幹細胞治療」が新たな希望をもたらす可能性を秘めています。

幹細胞治療とは?~身体の再生能力を利用する先端医療~

幹細胞とは、私たちの体の中に存在し、さまざまな種類の細胞に変化する能力(分化能)と、自分自身を複製する能力(自己複製能)を併せ持つ特殊な細胞です。この幹細胞を体外で培養し、再び体内に戻すことで、傷ついた組織や臓器の修復・再生を促し、失われた機能の回復を目指すのが幹細胞治療です。

なぜ幹細胞が肝硬変・腹水に効果が期待できるのか?

肝硬変に対して幹細胞治療を行うと、投与された幹細胞は、炎症を抑える作用、線維化を抑制・改善する作用、そして残っている肝細胞の再生を促す作用など、多角的な効果を発揮することが研究で示されています。

これにより、

  • 硬くなった肝臓の組織がいくらかでも柔軟性を取り戻す
  • 肝臓の炎症が鎮まる
  • 残存する肝細胞の機能が向上する
  • アルブミンの産生能力が改善し、腹水が溜まりにくくなる といった効果が期待され、結果として腹水の減少、全身状態の改善、QOL(生活の質)の向上が見込めるのです。

さいとう内科クリニックにおける幹細胞治療の特徴について

さいとう内科クリニックでは、患者様ご自身の細胞を用いた幹細胞治療を提供しております。

  • ご自身の細胞を用いるため、拒絶反応やアレルギーのリスクが極めて低いと考えられます。
  • 身体への負担を考慮した治療計画を提案いたします。
  • 経験豊富な専門医による丁寧なカウンセリングと治療説明を重視しています。
  • 細胞の取り扱いに関しては、厳格な管理体制のもとで行われます。

6. 「死ぬ前」にできること、そして未来への希望:幹細胞治療の流れと注意点

「もう時間がないかもしれない」と感じている方にとって、幹細胞治療がどのような流れで行われるのか、すぐに始められるのかは重要な関心事でしょう。

治療の適応とカウンセリング

まずは専門医による詳細な診察とカウンセリングを行い、現在の肝硬変の進行度、全身状態、合併症の状況などを総合的に評価し、幹細胞治療の適応があるかどうかを慎重に判断します。治療のメリットだけでなく、考えられるリスクや限界についても十分にご説明し、患者様とご家族にご納得いただいた上で治療に進みます。

幹細胞の採取・培養・投与プロセスについて

一般的に、幹細胞治療は以下のような流れで行われます。

  1. 幹細胞の採取: 患者様ご自身の体(例:脂肪組織や骨髄など)から幹細胞を採取します。採取方法は、用いる幹細胞の種類によって異なります。
  2. 幹細胞の培養: 採取した幹細胞を専門の施設にて、治療に必要な数まで増やします。これには2か月程度の期間を要します。
  3. 幹細胞の投与: 培養した幹細胞を点滴などで体内に戻します。

治療後の経過と期待されるQOLの改善

治療効果の現れ方には個人差がありますが、投与後数週間から数ヶ月かけて、徐々に体調の変化を感じられる方が多いです。腹水のコントロールが容易になったり、全身倦怠感が軽減したり、食欲が出てきたりといったQOLの改善が期待されます。定期的な診察と検査で、治療効果と安全性を確認していきます。


7. 患者様とご家族の事例:幹細胞治療による著しい改善例:非代償性肝硬変の患者様より

当クリニックにて幹細胞治療を受けられた非代償性肝硬変(Child Pugh 13点)の患者様より、素晴らしい経過のご報告をいただきました。治療前は極度の体力低下により、外出もままならない状態でしたが、2024年8月に行った幹細胞点滴治療後、わずか2週間ほどで目覚ましい変化が現れ始めました。

主な改善点

  • 驚きの回復力!歩行も困難だった状態から、階段の上り下りや外出が可能に。
  • 日常生活がご自身で! 書類作成やお片付けもスムーズに。
  • 長年の悩みだった肝性脳症も、治療後は一度も発生していません。

特に、治療前は「もう無理だ」と仰っていた患者様が、治療後は意欲的なご様子になられたことは、私たちにとっても大きな喜びです。

今回の治療では、6月の脂肪組織採取から8月の幹細胞点滴、その後の経過観察に至るまで、重篤な副作用や合併症は一切確認されておりません。

当クリニックでは、今後も患者様に寄り添いながら、幹細胞治療の可能性を追求してまいります。


8. つらい腹水、肝硬変でも「手遅れ」と諦めないで。未来を拓く幹細胞治療という選択肢を

肝硬変、そしてそれに伴うつらい腹水。

「もう手遅れだ」「死ぬのを待つしかない」…そう感じてしまうほどの厳しい状況は、確かにあるかもしれません。しかし、現代の医療は常に進歩しています。

従来の治療法では限界があったとしても、幹細胞治療は、失われた肝機能の回復とQOLの改善に新たな光を当てる可能性を秘めた治療法です。もちろん、全ての方に劇的な効果が現れるわけではありませんし、万能の治療法でもありません。しかし、諦める前に、一度その可能性について専門医に相談してみる価値は十分にあります。

あなたやあなたの大切なご家族が、再び笑顔を取り戻し、より良い日々を送れるようになるために、さいとう内科クリニックは、患者様一人ひとりに寄り添った医療の提供を目指してまいります。どんな些細なことでも構いません。まずは当院までお気軽にご相談ください。

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