- 2025年6月16日
【ご家族の方へ】肝硬変の患者様を支えるために。家族ができること、そして「再生医療」という家族の負担も軽くする選択肢

「日に日に口数が減っていく父のことが心配…」
「食事の塩分管理、これであっているのかしら…」
「何度も同じことを聞かれるけれど、これは病気のせいなの?」
肝硬変と闘う大切なご家族をそばで支えるあなたは、出口の見えないトンネルの中にいるような、尽きない不安と、そして身体的な疲労の中にいらっしゃるかもしれません。ご本人が一番つらいのは分かりつつも、介護するご家族の心労や負担も計り知れないものであることを、私たちは知っています。
このブログでは、そんなご家族の皆様の心が少しでも軽くなるように、そして前向きな一歩を踏み出すきっかけとなるように、今日からできる具体的なサポートのヒントと、新しい治療の可能性についてお伝えします。
家族だからできること

ご家族のサポートは、患者様のQOL(生活の質)を維持し、病状の悪化を防ぐ上で非常に重要です。
1. 食事のサポート:減塩でも美味しく
腹水やむくみを防ぐための塩分制限は欠かせませんが、味がしない食事は食欲を低下させてしまいます。
- 出汁を効かせる: 昆布や鰹節でしっかりと出汁をとると、薄味でも満足感が得られます。
- 香りをプラス: 香味野菜(しそ、みょうが、生姜など)や香辛料(こしょう、カレー粉など)、お酢や柑橘類の酸味を上手に使うと、味にアクセントがつきます。
2. 合併症のサインに気づく
ご本人以上に、ご家族だからこそ気づける「いつもと違う」サインがあります。特に注意したいのが「肝性脳症」です。
- 言動の変化: 時間や曜日が分からなくなる、話の辻褄が合わない、ささいなことで怒りっぽくなる。
- 睡眠リズムの乱れ: 昼間にうとうとし、夜に眠れなくなる(昼夜逆転)。
- 手の震え: 両腕を前に突き出したとき、鳥が羽ばたくように手が不規則に震える(羽ばたき振戦)。
これらのサインは、肝臓で処理しきれないアンモニアなどの有害物質が脳に影響している証拠です。気づいたら、すぐに主治医に相談しましょう。
3. コミュニケーション:心のサポート
病状への不安から、患者様は時に塞ぎ込んだり、イライラしたりすることもあります。そんな時、ご家族は「どう声をかければ…」と悩まれることでしょう。
正論で励ますよりも、まずは「つらいね」「大変だね」と気持ちを受け止め、静かに話を聞いてあげることが、ご本人の安心に繋がります。
「何もしてあげられない…」その無力感について

「本人の苦しみを代わってあげられたら…」
そう願い、何もできない自分を責めてしまうご家族は少なくありません。しかし、決してご自身を責めないでください。
食事に気を配り、病院に付き添い、そばに寄り添う。その一つひとつが、患者様にとってはかけがえのない支えです。あなたの存在そのものが、ご本人が病気と闘う勇気になっていることを、どうか忘れないでください。
そして何より大切なのは、ご家族自身が心と体を休める時間を持つことです。介護者が倒れてしまっては、元も子もありません。
「家族の身体的負担をなくす」という治療の視点

肝硬変の治療が進み、いよいよ「肝移植」が選択肢として挙がってきたとき、ご家族は新たな、そして非常に重い決断を迫られます。
生体肝移植は、非代償性肝硬変における唯一の根治治療とされています。しかしそれは、健康なご家族(ドナー)が自らの体にメスを入れ、肝臓の数分の一を摘出するという、大きなリスクと負担を伴う大手術です。ドナーとなったご家族は、2週間以上の入院、そして社会復帰まで2〜3ヶ月もの療養が必要になることもあります。そして、ごく稀ですが、命に関わるリスクもゼロではありません。
「本人が助かるためなら…」と思いながらも、健康な体に傷をつけることへの恐怖や、術後の生活への不安に苛まれるのは当然のことです。
ここに、私たちさいとう内科クリニックが提供する「肝臓再生医療」という、もう一つの道があります。

この治療法は、患者様ご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、点滴で体内に戻すものです。
つまり、ドナーは必要ありません。
大切なご家族が、手術台に上がる必要はないのです。これは、患者様ご本人の体の負担を最小限にすることはもちろん、「家族の身体的な負担をなくす」という、極めて重要な意味を持つ治療法だと、私たちは考えています。
ご家族だけで、抱え込まないでください

患者様のQOL(生活の質)が少しでも向上すれば、食事や会話が増え、穏やかな時間が増えるかもしれません。それは、そばで支えるご家族の介護負担や精神的なストレスの軽減にも、きっと繋がるはずです。
「本人が治療に前向きではない…」
「話だけでも聞いてみたいけれど、本人を連れて行くのは難しい…」
そのような場合でも、全く問題ありません。まずはご家族だけでお話をお聞かせください。今の状況、不安に思っていること、どんな些細なことでも結構です。専門家と話すことで、少しだけ気持ちが整理できるかもしれません。
さいとう内科クリニックでは、お電話やウェブサイトのお問い合わせフォームはもちろん、全国どこからでもご相談いただけるオンラインでの事前相談も受け付けております。
あなたと、あなたの大切なご家族の未来のために、私たちがいます。一人で抱え込まず、まずはその重荷を、少しだけ私たちに預けてみませんか。ご連絡を心よりお待ちしております。