- 2025年7月10日
【痩せ型でも危険】「痩せているのに脂肪肝」はなぜ?隠れた原因と、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)への進行リスク

「私、決して太っているわけではないのに、健康診断で脂肪肝を指摘されたんです…なぜ?」
もしかしたら、あなたも同じような疑問と不安を抱えているのではないでしょうか? 「痩せているから大丈夫」という思い込みは、実は非常に危険です。近年、痩せ型の方にみられる脂肪肝が注目されており、その背景には、一般的に知られている脂肪肝とは異なる隠れた原因があることがわかってきています。
このブログでは、「太っていないのになぜ脂肪肝になるのか」というあなたの疑問にピンポイントでお答えし、その原因と、特に注意すべきリスクについて専門医がお伝えします。
「太っていないのになぜ?」痩せ型脂肪肝の隠れた原因

「痩せているのに脂肪肝」と診断される方には、以下のような原因が考えられます。
1. 過度なダイエットや偏った食生活
一見健康的に見える痩せ型の方でも、極端な食事制限や偏った食生活、あるいは過度な「ながら食べ」などで、栄養バランスが大きく崩れていることがあります。特に、タンパク質が不足すると肝臓での脂肪代謝がうまくいかなくなったり、急激な体重減少が肝臓に負担をかけ、一時的に脂肪が蓄積されやすくなったりするケースがあります。
2. 筋肉不足による代謝低下
体重が少なくても、筋肉量が極端に少ない「隠れ肥満」のような状態である場合も要注意です。筋肉は体内で最も多くのエネルギーを消費する組織の一つです。筋肉量が少ないと基礎代謝が低下し、摂取したエネルギーが消費されにくくなります。その結果、脂肪として肝臓に蓄積されやすくなることがあります。
3. 遺伝的・体質的要因
生活習慣に大きな問題が見当たらなくても、遺伝的な要因や体質的に脂肪を肝臓に蓄積しやすい方がいらっしゃいます。例えば、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい体質)が背景にある場合、血糖値のコントロールがうまくいかず、それが肝臓への負担となり脂肪蓄積につながることがあります。
痩せ型の脂肪肝は、肥満型よりも「NASH」に要注意!

「痩せているから大丈夫」という考えは、特に「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」のリスクにおいて非常に危険です。
一般的なイメージとは裏腹に、痩せ型の脂肪肝は、肥満型の脂肪肝に比べて炎症を伴うNASHに進行しやすいという重要な事実が指摘されています。NASHは、肝臓に脂肪だけでなく炎症と線維化(肝臓が硬くなること)が生じている状態で、放置すると肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあります。
肥満型では、脂肪が全身に分散して蓄積される傾向があるのに対し、痩せ型の場合は、限られた脂肪が肝臓に集中して蓄積されやすく、これが炎症を引き起こしやすい一因とも考えられています。体型に安心し、「自分は大丈夫だろう」と見過ごしてしまうことで、知らないうちに肝臓病が進行してしまうことになりかねません。
あなたの脂肪肝の「質」を知ることが何よりも大切

だからこそ、体型に惑わされず、ご自身の脂肪肝の「質」を正確に知ることが何よりも大切です。自己判断は避け、必ず専門医による詳細な検査を受けましょう。
特に重要なのは、以下の検査です。
- 超音波(エコー)検査: 肝臓の脂肪の蓄積具合だけでなく、肝臓の形や状態、炎症の兆候などを視覚的に確認します。
- 血液検査: 肝機能の数値(AST, ALT, γ-GTPなど)に加えて、炎症や線維化の度合いを示す特殊なマーカー(例: IV型コラーゲン7S、ヒアルロン酸、M2BPGiなど)を調べることで、肝臓がどの程度ダメージを受けているかを把握します。
当院院長は超音波専門医です

当院の院長は超音波専門医として、長年の経験と専門知識を活かし、患者さんの肝臓の状態を精緻に診断しています。超音波検査は、肝臓の脂肪の状態や硬さを非侵襲的に評価できる非常に有効な手段です。
「痩せているのに脂肪肝」という診断に戸惑いや不安を感じているなら、ぜひ一度、当院にご相談ください。あなたの脂肪肝の隠れた原因とリスクを、当院で一緒に探り、最適な治療方針を見つけていきませんか?
当院では、Curonを利用したオンライン事前相談も受け付けております。お気軽にご利用ください。