- 2025年8月24日
ガンマGTP(γ-GTP)だけが高い…その原因と改善のためにできること

健康診断の結果を見て、「AST」「ALT」は正常範囲なのに、なぜか「γ-GTP(ガンマGTP)だけが高い」と指摘された経験はありませんか?
多くの方が「お酒を飲まないのに」「そこまで飲んでいないのに」と疑問に感じることでしょう。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、異常があっても自覚症状が出にくい特性があります。だからこそ、健康診断で示されるわずかなサインも見逃さず、その意味を正しく理解することが重要です。
この記事では、γ-GTPが示す意味と、なぜγ-GTPだけが高い場合に注意が必要なのか、そしてその改善のためにご自身でできることや、専門医に相談すべきポイントについて詳しく解説します。
γ-GTPとは?その数値が示すもの
γ-GTPは肝臓の解毒作用に関わる酵素で、肝臓や胆道系の異常を示す数値です。特にアルコールに敏感に反応するため、「お酒をよく飲む人は数値が高くなる」とよく知られています。しかし、γ-GTPの上昇はアルコールだけが原因ではありません。
・アルコールの影響:日常的な飲酒習慣がある場合に上昇しやすくなります。
・脂肪肝:アルコールをあまり飲まない人でも、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む脂肪肝でγ-GTPが上昇することが近年分かってきました。
・胆道系の病気:肝臓で作られた胆汁の通り道(胆管)に異常がある場合(胆石、胆管炎など)で上昇します。肝内胆管に対する自己抗体が胆管内膜を攻撃し、胆管内膜がむくむことにより胆管内腔が狭くなって、胆汁の流れが悪くなりγ-GTPが上昇することもあります(原発性胆汁性胆管炎)。
・薬剤の影響:一部の薬の副作用として、胆汁うっ滞を引き起こすことでγ-GTPが上昇することもあります。
ASTやALTは主に肝細胞がダメージを受けて壊れたときに血液中に漏れ出す酵素であり、これらの数値が高い場合は肝細胞の破壊が起きていることを示します。しかし、γ-GTPは肝細胞の破壊が少なくても上昇することがあります。これは、肝臓に慢性的な負担がかかっているサインであり、放置すると将来的に肝硬変や肝がんといったより深刻な病気に進行するリスクがあるため、軽視してはいけません。
特に、ASTとALTは正常範囲なのにγ-GTPだけが高い場合、以下のような状況が考えられます。
・アルコール性肝障害の初期:まだ肝細胞の破壊が顕著でなくても、アルコールによる肝臓への負担が増えている兆候です。
・脂肪肝の初期段階:アルコールを飲まない方でも、食事や運動習慣の乱れからくる脂肪肝の初期でγ-GTPが上昇することがあります。
・胆汁の流れの軽微な異常:まだ黄疸などの症状が出ていなくても、胆汁の流れに何らかの問題が生じ始めている可能性も示唆されます。
・薬剤による副作用:一部の薬の副作用として、胆汁の流れに問題が生じている可能性が示唆されます。

γ-GTPだけが高い場合、特に以下の原因と対策に注目しましょう。
従来の治療ではなかなか改善が見られなかったγ-GTPの数値や脂肪肝に対して、幹細胞を用いた肝臓再生医療が新たな希望となる可能性があります。幹細胞は、肝臓の炎症を抑えたり、損傷した肝細胞の修復・再生を促したり、線維化の進行を抑制したりする作用が期待されています。
実際に当院で幹細胞治療を受けられた患者様の中には、γ-GTPや中性脂肪の数値が改善し、肝臓の状態が正常に近づいた事例も報告されています。これは、単なる対症療法ではなく、肝臓の機能を根本から改善する可能性を秘めたアプローチです。
諦めずに、専門医にご相談ください

γ-GTPが高いというサインは、あなたの肝臓が助けを求めている大切なメッセージです。「ただの疲れ」「たいしたことない」と放置せず、早期に原因を特定し、適切な対策を始めることが、肝臓の健康を守る第一歩となります。
当院では、肝臓病専門医が患者さん一人ひとりの状態を丁寧に評価し、最適な治療計画をご提案しています。肝臓再生医療にご興味のある方、ご自身のγ-GTPの数値や肝臓の状態について不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。遠方にお住まいの方や来院が難しい方のために、Curon(クロン)を利用したオンライン事前相談も受け付けております。
あなたの肝臓を健やかに保つために、私たちがお手伝いさせていただきます。