• 2025年9月11日
  • 2025年9月15日

【肝臓病専門医が解説】肝硬変でも希望はあります。幹細胞治療で未来を変える一歩を踏み出しませんか?

従来の肝硬変治療では、一度硬くなってしまった肝臓を元の状態に戻すことは困難で、病気の進行を遅らせたり、現れている症状を和らげたりすることが主な目的でした。多くの患者さんは「これ以上良くならない」という不安を抱え、絶望的な気持ちになることも少なくありません。

しかし、医療は日々進歩しています。この記事では、従来の治療の限界を乗り越える、幹細胞を用いた再生医療がなぜ新たな希望となり得るのかを、具体的なメカニズムとともに詳しく解説します。


従来の治療の限界と肝硬変の「非代償期」

肝硬変の根本的な原因(ウイルス性肝炎、アルコール、脂肪性肝障害など)に対しては、それぞれ抗ウイルス薬、禁酒、食事・運動療法といった標準治療が行われます。また、腹水や肝性脳症といった合併症に対しては、利尿剤や食事療法、薬物療法などで対処してきました。食道胃静脈瘤に対しては、内視鏡を用いて、静脈瘤が破裂しないように予防治療を行うことで対処してきました。

しかし、これらの治療はあくまで対症療法であり、肝臓自体の線維化を根本的に改善することは難しいのが現状です。肝臓の線維化が進行すると、本来の肝臓の機能が失われ、やがて「非代償性肝硬変」という命を直接脅かす段階に進行します。

この段階になると、

  • 腹水・むくみ:肝臓が硬くなり、肝臓の中に入れなくなった血液が、血管内圧が上昇することにより漏出して、お腹や足に水が溜まります。
  • 肝性脳症:解毒されなかったアンモニアが脳に影響を及ぼし、意識障害などを引き起こします。
  • 食道・胃静脈瘤:肝臓が硬くなったために肝臓の中に入れなくなった血液が食道や胃の静脈に流れ込み、静脈瘤を形成します。静脈瘤がパンパンになれば、破裂してしまい、吐血したり下血したりして命に関わる事態となります。

といった深刻な症状が現れ、患者さんのQOL(生活の質)は著しく低下します。

この状況における唯一の根治療法として知られるのが肝移植ですが、ドナー不足、高額な医療費、手術に伴うリスク、年齢や体力の限界といった大きな課題があり、すべての患者さんが受けられるわけではありません。


幹細胞を用いた再生医療がもたらす新たな可能性

こうした従来の治療の限界を打ち破る可能性を秘めているのが、幹細胞を用いた再生医療です。当院では、患者さんご自身の臀部の脂肪組織から採取した幹細胞を点滴で投与する治療を行っています。

幹細胞には、様々な細胞に分化する能力と自己複製能力があり、傷ついた肝臓の炎症を抑え、線維化の進行を抑制・改善し、残存する肝細胞の機能を向上させる可能性を秘めています。

再生医療が肝臓に作用するメカニズム

  1. 炎症の抑制(抗炎症作用):幹細胞は、炎症を抑える働きを持つ物質(サイトカインなど)を分泌し、肝細胞へのダメージを軽減します。
  2. 線維化の抑制・改善:炎症が収まることで、肝臓が硬くなる原因となる線維組織の生成が抑えられ、ひいては、すでに硬くなった組織の改善をも期待されます。
  3. 組織修復の促進:新しい血管の形成を促す物質(成長因子など)を分泌し、肝臓自身の回復力を高めます。

これらの作用により、従来の標準治療では改善が難しかった非代償性肝硬変の患者さんにおいても、以下のような効果が報告されています。当院においても、以下のような効果がみられる患者さんが多くみられます。

  • 肝機能の改善:血液データ上のASTやALT、アルブミン値の改善
  • QOLの向上:倦怠感の軽減、食欲の回復、むくみや腹水のコントロール
  • 合併症の改善:肝性脳症の発生頻度の低下

また、再生医療は肝移植までの「橋渡し(ブリッジ治療)」として、あるいは肝移植を回避できる可能性も提示されています。

治療の安全性と注意点

当院の再生医療は、患者さんご自身の脂肪組織から幹細胞を採取・培養して使用するため、拒絶反応のリスクが極めて低いのが特徴です。脂肪採取も麻酔下で行うため、痛みはほとんどありませんし、出血もごく軽微です。

ただし、再生医療は「1回の点滴で完全に治癒する魔法のような治療」ではありません。効果には個人差があり、効果が現れるまでに半年から1年かけて徐々に改善が見られることが多いとされています。また、この治療は保険適用外の自由診療であり、初回費用は、脂肪生検と幹細胞点滴で330万円(税込)を要しますが、年間200万円まで医療費控除の対象となる可能性もあります。


さいとう内科クリニックが提供する専門性

当院の院長は、日本肝臓学会認定の肝臓病専門医であり、日本超音波医学会の超音波専門医でもあります。長年にわたり、数多くの肝臓病患者さんと向き合ってきた豊富な臨床経験と、超音波診断技術を活かし、患者さん一人ひとりの肝臓の状態を正確に診断します。

そして、従来の標準治療と再生医療を組み合わせた、最適な治療プランをご提案することで、「もう治らない」と諦めていた患者さんに、再び希望の光を届けることを目指しています。
諦める前に、まずは専門医にご相談ください

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