• 2026年11月4日

【肝臓病専門医が解説】高橋真麻さんの「小5で脂肪肝」告白から学ぶ。年齢を問わない脂肪肝のリスクと激ヤセの落とし穴

こんにちは。

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

先日、タレントの高橋真麻さんがご自身のYouTube番組で「小学校5年生で脂肪肝だった」と告白され、大きな話題となりました。「(父親である高橋)英樹の娘だったもので、おいしいものを食べ過ぎちゃって」と振り返り、中学3年生の時には体重が75kgにまで達したそうです。

「小学生の子供が脂肪肝になるの?」と驚かれた方も多いかもしれませんが、肝臓病専門医の立場から見ると、これは決して珍しいケースではありません。

今回はこのエピソードから見えてくる、現代の脂肪肝のリスクと、急激なダイエットに潜む落とし穴について解説します。

■「おいしいものの食べすぎ」が肝臓をフォアグラ状態にする

「脂肪肝=お酒を飲むおじさんの病気」というイメージは昔のものです。お酒を全く飲まない子供や女性であっても、糖質(お菓子、甘いジュース、過剰な炭水化物)や脂質を摂りすぎると、消費しきれなかったエネルギーが中性脂肪に変換され、肝臓にぎっしりと蓄積されてしまいます。 これが「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」です。豊かな食生活や運動不足は、年齢や性別に関係なく、肝臓をフォアグラ状態にしてしまいます。

■心労や極端なダイエットによる「激ヤセ」の危険性

さらに注目すべきは、高橋さんがフジテレビ入社後、心労により「37kgまで激ヤセした」と明かされている点です。「食べられなくなって筋肉が落ち、皮がたるんでしまった」と語られていますが、実はこのような極端な体重減少は、肝臓にとって別の意味で非常に危険です。

食事を極端に減らしたり、心労で食べられなくなったりすると、体は生命を維持するために筋肉や皮下脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。その際、分解された大量の脂肪酸が血液に乗って肝臓に流れ込みます。

一方で、肝臓から脂肪を運び出すためには「タンパク質」が必要ですが、栄養不足の状態ではタンパク質を作ることができません。結果として、肝臓に脂肪が処理しきれずに溜まり込んでしまうのです。これを「低栄養性脂肪肝」と呼びます。

【肝臓病専門医の深掘り:極端なダイエットは「第2の肝臓」である筋肉を奪う】

極端なダイエットで筋肉が落ちてしまうことは、肝臓の代謝を著しく低下させます。私はこれまでの臨床研究において、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を補給して筋肉の代謝をサポートすることで、全身のエネルギー代謝(npRQ)や肝機能が有意に改善することを実証しています。

※参考論文:

筋肉を削るような急激なダイエットは、自ら代謝を落とし、肝臓への負担を増やす行為に他なりません。

■脂肪肝は放置しないで!正しい改善アプローチを

「太りすぎ」による脂肪肝も、「極端な食べないダイエット(低栄養)」による脂肪肝も、沈黙の臓器である肝臓には大きな負担となります。痛みがないからと放置していると、慢性的な炎症が続いて肝臓がカチカチに硬くなる「肝硬変」や、「肝がん」へと進行してしまうリスクがあります。

健診で肝臓の数値異常を指摘された場合、焦って極端な食事制限をするのは逆効果です。筋肉を落とさないように良質なタンパク質を摂り、スクワットなどの適度な運動を取り入れながら、少しずつ健康的に体重を落としていくことが肝臓を守る鉄則です。

■よくあるご質問(Q&A)

Q1. 痩せているのに脂肪肝になることはありますか?

A1. はい、十分にあります。極端なダイエットによる「低栄養性脂肪肝」や、筋肉量が少なく代謝が落ちている「隠れ肥満」の方は、体重が軽くても肝臓に脂肪が溜まりやすくなります。

Q2. 小学生など、子供の頃の脂肪肝は大人になっても治らないのでしょうか?

A2. 適切な食事と運動の習慣を身につければ、十分に改善が可能です。ただし、子供の頃の肥満や脂肪肝は大人になっても持ち越しやすく、将来的な肝硬変や糖尿病のリスクを高めるため、早めに生活習慣を見直すことが重要です。

Q3. ダイエット中の食事で、肝臓のために特に意識すべき栄養素は何ですか?

A3. 「良質なタンパク質」です。極端な食事制限でタンパク質が不足すると、脂肪が肝臓から運び出せなくなります。大豆製品、魚、赤身肉などに加え、筋肉のエネルギー源となる「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」を積極的に摂ることが、肝臓の負担を減らすことにつながります。

Q4. 脂肪肝を改善するには、どのような運動が効果的ですか?

A4. ウォーキングなどの少し汗ばむ程度の有酸素運動に加えて、太ももなどの大きな筋肉を鍛える「スクワット」などの自重筋トレが非常に効果的です。筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がり、肝臓の脂肪が燃えやすい体になります。

Q5. 脂肪肝の段階では自覚症状がありませんが、放置するとどうなりますか?

A5. 肝臓は「沈黙の臓器」のため、脂肪肝の段階ではほとんど症状がありません。しかし放置すると、一部は慢性的な炎症を起こす「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」となり、やがて肝臓が硬くなる「肝硬変」や「肝がん」へと進行するリスクがあります。症状がなくても、健診で異常があれば放置せずに受診することが大切です。

■まとめ:諦める前に専門医にご相談を

健診で肝臓の数値異常を指摘された方や、肝臓の病気でお悩みの方は、自己流のダイエットで体を壊してしまう前に、ぜひ一度、当院までお気軽にご相談ください。また、すでに肝硬変の診断を受けて「標準治療だけでは十分な改善が難しい」状態になった場合でも、決して諦めないでください。当院ではご自身の脂肪組織から採取した幹細胞を用いて肝臓の修復を促す「自己脂肪由来幹細胞治療(肝臓再生医療)」という新しい治療選択肢をご用意しています。ご自身の細胞を用いて治療を行うため、拒絶反応が極めて少なく、安全性が高い治療です。

神戸市西区をはじめ、明石市、加古川市、三木市など近隣にお住まいの方の対面診療はもちろんのこと、日本全国、海外にお住まいのご遠方の患者様やご家族のため、自宅にいながらスマートフォンでご相談いただける「オンライン事前相談」を実施しております。

また、インターネットやスマートフォンの操作が難しい方は、診療時間内に当院までお電話にてお問い合わせいただいても構いません。院長の外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話をかけ直させていただきます。

院長は、標準治療と再生医療の両方ともに精通しており、豊富な診療実績もあります。院長が、事前相談から、検査、脂肪採取、培養、幹細胞点滴、点滴後のフォローまで一貫して対応していますのでご安心ください。力を合わせて一緒に病気に立ち向かっていきましょう。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。