• 2026年1月7日

【肝臓病専門医が警告】「酒じゃないから健康的」の罠。肝臓を守るノンアルコールビールの“正しい”選び方

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「今日は休肝日だからノンアルコールビールにしよう」

そう考えて、健康のためにノンアルコール飲料を手に取る方は多いでしょう。最近の製品は味も進化しており、お酒を控えるための強力な味方です。

しかし、肝臓病専門医の視点からお伝えしたいのは、「ノンアルコールだからといって、どれを飲んでも肝臓に良いわけではない」という衝撃の事実です。選び方を間違えると、お酒を飲んでいないのに肝臓が「フォアグラ状態」になるMASLD(マッスルディー:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)を招く恐れがあります。

今回は、肝臓をいたわるためのノンアルコールビールの選び方についてお伝えいたします。


1.「0.00%」と「微アルコール」の決定的な違い

まず注意すべきは、日本の法律ではアルコール分が1%未満であれば「ノンアルコール」と表示できる点です。

塵も積もれば「普通のビール」

アルコール分0.5%などの「微アルコール」製品は、3〜4本と飲み進めるうちに、通常の缶ビール1本分(約5.5%)と同等のアルコール量に達してしまいます。

肝臓病専門医からのアドバイス

運転前や、肝機能の数値が気になる方が「完全に肝臓を休ませる」目的であれば、成分表示を必ず確認し、「0.00%」と明記されたものを選びましょう。


2.アルコールより怖い?「糖質22g」の罠

「お酒じゃないから何本飲んでも太らない」という思い込みは危険です。一部の製品には、1缶あたり22g程度の糖質が含まれています。これは通常のビール(約10g)の2倍以上です。

液体糖質の恐ろしさ

飲み物に含まれる糖質は、固形物よりも吸収が非常に早く、急激な血糖値スパイクを招きます。

肝臓が「砂糖漬け」に

過剰な糖質(特に清涼飲料水に多い果糖)は、肝臓でダイレクトに中性脂肪へと変換されます。

脂肪肝(MASLD)のリスク

糖質の多いノンアルコールビールを3缶飲めば、糖尿病の精密検査(75gブドウ糖負荷試験)に匹敵するほどの糖質量になり、肝臓を傷める原因となります。


3.人工甘味料と「腸肝相関」

糖質ゼロをうたう製品の中には、人工甘味料を多用しているものがあります。

過食と腸内環境の乱れ

人工甘味料は「もっと食べたい」という欲求を刺激したり、腸内細菌叢(腸内フローラ)を変化させて下痢を引き起こしたりすることがあります。

肝臓への二次被害

腸内環境が乱れると、腸から有害物質が肝臓に流れ込みやすくなり、解毒を担う肝臓にさらなる負担をかけます。


4.【病態別】肝臓病専門医が推奨するベストな付き合い方

健康診断の結果や持病に合わせて、以下のルールを参考にしてください。

血糖値が高い・糖尿病・脂肪肝(MASLD)の方

必ず「アルコール0.00%」かつ「糖質0g」の製品を選んでください。少しの糖質でも、液体からの摂取は病状を悪化させるリスクが高いからです。

健康な方のリフレッシュ

安全性が確認されている試験データに基づき、1日の適量を守って楽しむのが賢明です。

究極の「肝活」代用品

喉ごしの爽快感を求めているのであれば、糖質も添加物もゼロの「無糖の炭酸水」が、肝臓にとって最も安全で理想的な代替手段です。


5.頑張ってもなかなか肝臓の数値が下がらない方へ

お酒をノンアルコールに変え、食事に気をつけても「ALT(GPT)」などの数値が改善しない場合、あなたの肝臓はすでに「線維化(硬くなること)」が進み、自力での修復が難しくなっているのかもしれません。

当院では、こうした進行した肝疾患に対し、ご自身の細胞を用いた「肝臓再生医療(幹細胞治療)」を提供しています。

期待できる効果

投与された幹細胞が肝臓の慢性炎症を抑え、硬くなった組織の改善を促すことで、肝臓本来の「代謝の力」を根本から立て直すサポートをします。


まとめ:体は「浄水器」と同じです

肝臓という高性能なフィルターを長持ちさせるには、通す水の質が重要です。お酒(泥水)を避けても、糖質たっぷりの飲み物(ベタベタの砂糖水)を流し込み続ければ、フィルターは目詰まりを起こしてしまいます。

「0.00%・糖質0g」という透明な選択肢を選び、時には「ごろ寝」をして肝臓への血流を増やし、フィルターを休ませてあげましょう。

もし、フィルターがすでに詰まり、カチカチに固まり始めている(肝硬変)と診断されたなら、再生医療という「最新の洗浄・修復チーム」を検討してください。

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109