- 2026年10月10日
【肝臓病専門医が警告】「肝臓に良い」はずのサプリで肝機能悪化!?ウコン・健康食品に潜む薬剤性肝障害のリスクと正しい肝臓ケア

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
「健康診断で肝臓の数値の異常を指摘されたので、ウコンのサプリを飲み始めた」
「薬は副作用が怖いけれど、天然成分の健康食品なら安心だと思って毎日続けている」
外来診療において、患者様からこのようなお話を伺う機会が少なくありません。肝臓を労わるために良かれと思って選んだサプリメントや健康食品が、実はかえって肝臓を傷つけ、肝機能を急激に悪化させてしまうケースが後を絶ちません。
肝臓は、体の中に入ってきたあらゆる物質を分解・解毒する「体の化学工場」です。たとえ「食品」や「自然由来の天然成分」であっても、濃縮された成分を長期間摂取し続けることは、肝臓にとって許容量を超える大きな代謝負担となり得ます。
今回は、肝臓病専門医の視点から、健康食品やサプリメントが引き起こす「薬剤性肝障害」の実態、特に注意すべき成分、そして肝硬変などの基礎疾患をお持ちの方が知っておくべき安全な肝臓ケアと再生医療の選択肢について詳しく解説します。
■ 1. 「食品だから安心」「天然成分だから体にやさしい」の大きな落とし穴

多くの患者様が「医薬品には副作用があるが、サプリメントは食品だから安全だ」と思い込んでいます。しかし、医学的には全くそのようなことはありません。
サプリメントや健康食品、漢方薬などが原因で肝臓が障害される病態を「薬剤性肝障害(DILI)」と呼びます。発症のメカニズムには主に以下の2つがあります。
中毒性肝障害
摂取した成分そのもの、あるいは肝臓で代謝される過程で生成された毒性物質が、肝臓の処理能力を超えて直接肝細胞を傷つけるもの。
特異体質性(免疫アレルギー性)肝障害
成分やその代謝物に対して、患者様ご自身の免疫系がアレルギー反応を起こし、肝細胞を誤って攻撃・破壊してしまうもの。
特に免疫が関与する場合、摂取した量に関係なく発症することがあり、「家族や知人は何ともないのに、自分だけ重篤な肝障害を起こす」という事態が起こります。
初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんど現れず、健診の血液検査でASTやALT、γ-GTPが跳ね上がって初めて見つかるケースも珍しくありません。進行すると全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、尿の色がオレンジ色〜濃い茶色になる(ビリルビン尿)、そして皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)が現れ、最悪の場合は命に関わる劇症肝炎へと陥る危険性すらあります。
■ 2. 肝障害の報告が多いサプリメント:特に「ウコン」には要注意

健康食品の中でも、特に肝障害の報告が目立つ成分として、以下のようなものが挙げられます。
ウコン(クルクミン)
「お酒を飲む前に良い」「肝機能を高める」というイメージが定着していますが、実は医療現場で薬剤性肝障害の原因として最も多く遭遇する健康食品のひとつです。特に慢性肝炎や脂肪肝、肝硬変を患っている方がウコンを過剰摂取すると、過剰な鉄分の蓄積や代謝負荷が加わり、かえって急激な肝機能悪化を招くことが報告されています。
緑茶抽出物(高濃度カテキン製剤)
ダイエットや健康維持を謳う海外製サプリメントなどに高濃度で含まれる場合があり、海外や日本国内でも重篤な肝障害が報告されています。
アガリクス、プロポリス、各種キノコ系健康食品
免疫力を高めると称して摂取されることが多いですが、体質によって強いアレルギー性肝障害を引き起こすことがあります。
外来で肝機能の急激な悪化が認められた際、処方薬について確認しても原因が見当たらないことがあります。そこで「何か健康食品やサプリメントを飲んでいませんか?」と詳しく尋ねて初めて、「ウコンの粉末を毎日飲んでいます」「通販のサプリを数種類併用しています」と判明するケースが非常に多いのです。サプリを「食品」と認識しているため、医師に申告し忘れてしまうことが診断を遅らせる大きな盲点となっています。
■ 3. 肝硬変や慢性肝疾患を抱えている方ほど重症化しやすい

サプリメントによる肝障害の多くは、原因となっている健康食品の摂取を直ちに中止することで徐々に回復していきます。
しかし、注意しなければならないのは、「もともと肝臓に持病がある方(脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変など)」です。
健康で予備能が十分にある肝臓であれば耐えられる程度の負担であっても、すでに線維化が進み、肝細胞の数が減少している肝硬変の患者様では、わずかな肝障害が引き金となって「非代償期(腹水、黄疸、肝性脳症などが出現する危機的な状態)」へ急激に悪化することがあります。まれに肝不全へと進行し、肝移植が必要となったり、命を落とされたりする症例も報告されています。
また、持病のため処方薬を内服している方が自己判断でサプリメントを併用すると、薬の代謝酵素が阻害されて薬の効果が激減したり、逆に毒性が強まったりするなど重大な相互作用が生じます。
■ 4. 医薬品と健康食品の決定的な違いとは?

「医薬品にも副作用があるのだから、サプリメントと同じではないか」と思われるかもしれません。しかし、両者の間には「リスクとベネフィット(効果と副作用)がどこまで科学的に解明されているか」という決定的な差が存在します。
・医薬品
厳格な臨床試験(治験)によって有効性と安全性が検証され、どのような副作用がどれくらいの頻度で起きるか、どんな薬と飲み合わせてはいけないかが詳細に調べられた上で承認されています。医師はそれらのデータを把握した上で、患者様の病状に合わせて慎重に処方します。
・健康食品・サプリメント
多くの場合、厳密な臨床試験で効果が科学的に立証されているわけではありません。また、副作用の発生頻度や相互作用に関する公的なデータも乏しく、製造工程での品質管理や予期せぬ不純物の混入といったリスクを患者様自身が抱え込むことになります。
体に何らかの良い変化をもたらす成分である以上、「効果はあるけれど副作用は一切ない」などという都合の良い物質は医学的に存在しません。
■ 5. 進行した肝硬変・肝障害へのアプローチと肝臓再生医療

「肝臓の数値異常を改善したい」
「肝硬変の進行を食い止めたい」
その切実なお気持ちからサプリメントに頼りたくなるのは大変よく理解できます。しかし、自己判断での健康食品の多用は、弱った肝臓にとどめを刺しかねない危険な行為です。
肝臓の健康を取り戻すための大原則は、医学的根拠に基づいた「正しい食事療法」「適度な運動」「禁酒」、そして医師の厳密な指導のもとで行う「BCAA(分岐鎖アミノ酸)製剤を用いた適切な栄養管理」です。
そして、線維化が進んでしまい、従来の標準治療だけでは肝機能の維持が難しくなってきた患者様に向けて、当院では新たな治療選択肢として「自己脂肪由来幹細胞治療(肝臓再生医療・自由診療)」をご提案しています。
幹細胞が組織の修復環境を整える
患者様ご自身のお尻の皮下脂肪をごく少量採取し、そこから抽出した幹細胞を培養し、点滴で体内に戻します。投与された幹細胞は傷ついた肝組織へと集まり、慢性的な炎症を抑え、過剰な線維化の進行をブロックする生理活性物質を放出します。これにより、残された肝細胞が再び元気に働ける環境をサポートします。
客観的なデータ管理のもとで行う新しい医療
民間療法やサプリメントのように根拠が曖昧なものではなく、厚生労働省に再生医療等提供計画を届出・受理された医療機関として、アルブミン、総ビリルビン、プロトロンビン時間、Child-Pughスコア、FIB-4インデックス、超音波エラストグラフィーなどの客観的な指標を継続的にモニタリングしながら、安心・安全を最優先に進めてまいります。
■ 6. 肝臓病専門医からのメッセージ

「肝臓に良い」と宣伝されているサプリメントであっても、あなたの肝臓の状態に合っているとは限りません。特に肝機能の低下を指摘されている方や、肝硬変と診断されている方は、新しく健康食品を口にする前に必ず主治医や肝臓病専門医へご相談ください。
「健康診断でAST、ALT、γ-GTPの異常を指摘された」
「肝臓のために飲んでいるサプリメントが本当に安全か確認したい」
「肝硬変と言われ、肝機能を改善するための医学的根拠のある治療法を探している」
神戸市西区のさいとう内科クリニックでは、肝臓疾患に関する専門的な知識と精密な検査(血液検査や腹部超音波検査、超音波エラストグラフィー検査)に基づき、患者様お一人おひとりの肝臓の状態を正確に診断いたします。
現在服用されているお薬やサプリメントがある方は、受診時に実物やお薬手帳、製品のパッケージ写真をぜひお持ちください。
遠方にお住まいで直接の来院が難しい方のために、自宅にいながらスマートフォンで受診できる「オンライン事前相談」も実施しております。
また、インターネットやスマートフォンの操作が苦手な方は、診療時間内にお電話でのご相談を承っております。外来診療が落ち着きましたら、院長から折り返しお電話をかけ直させていただきます。
大切な肝臓を危険から守るために、どうぞ一人で抱え込まずにお気軽に当院までご相談ください。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
