- 2026年9月10日
【肝臓病専門医が解説】成人の3人に1人が「脂肪肝」!?加糖飲料・エナジードリンクの隠れたリスクと最新の対策

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
「お酒をあまり飲まないから、自分は肝臓の病気とは無縁だ」と思っていませんか?
実は近年、お酒を飲まない働き盛りの世代を中心に「脂肪肝」が急増しています。最新の国内データでは、日本の成人の33.7%(およそ3人に1人)が脂肪肝であると報告されており、2040年にはほぼ2人に1人(44.8%)にまで増加するという衝撃的な予測も出されています。
今回は、ニュース等でも話題となっている「お酒を飲まない脂肪肝(MASLD)」の真の原因と、肝臓病専門医の視点から今すぐ実践できる具体的な改善策について詳しく解説します。
■ 1. 「お酒を飲まないのに脂肪肝」になる理由とは?

「脂肪肝」と聞くと、肝臓の周りにドロッとした脂肪が付着するイメージを持たれるかもしれません。しかし実際には、肝細胞の一つひとつの中に小さな脂肪の粒(脂肪滴)が溜まり、肝臓全体が“脂肪の倉庫”になってしまう状態を指します。
かつては「お酒の飲み過ぎ」が主な原因とされていましたが、現在急増しているのは、過剰な栄養摂取や代謝異常を背景とした脂肪肝です。2023年以降、こうした病態は国際的に「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」と呼ばれるようになりました。院長らは、肝細胞内で蓄積する特定の脂質分子種が炎症や線維化の引き金になることを国際医学雑誌にて明らかにしており、近年、脂肪肝の「質」に着目した研究が進んでいます。
出典:
Identification of Lipid Species Linked to the Progression of Non-Alcoholic Fatty Liver Disease
肝臓は「沈黙の臓器」と言われる通り、脂肪が溜まっても初期段階では痛みも違和感も全くありません。自覚症状がないまま、以下のように静かに病状が進行していきます。
- 単純性脂肪肝(MASLD):肝細胞に脂肪が蓄積した初期段階
- 脂肪肝炎(MASH):脂肪の蓄積に加えて慢性的な炎症が発生
- 肝線維化・肝硬変:炎症が続き、肝臓が硬く変化(不可逆的な状態)
- 肝不全・肝がん:肝機能が著しく低下し、命に関わる状態へ
腹水や黄疸などの自覚症状が出た時には、すでに病気がかなり進行しているケースが多いため、症状がない段階での早期発見・早期治療介入が極めて重要です。
■ 2. 実は最凶の敵?「加糖飲料」と「エナジードリンク」の罠

なぜ、お酒を飲まない人に脂肪肝が増えているのでしょうか。その最大の原因は食生活における「糖質の過剰摂取」です。
特に注意が必要なのが、清涼飲料水や甘いジュースなどの「加糖飲料」です。液体で摂る糖質は小腸での吸収スピードが極めて速く、ダイレクトに肝臓へ運び込まれて急激に中性脂肪へと変換されます。
さらに、ビジネスパーソンに人気のアイスコーヒー(シロップ入り)やエナジードリンクには特に警戒が必要です。エナジードリンクには大量の糖質とともに「カフェイン」が含まれています。カフェインと糖質を同時に摂取すると、糖質単体よりも血糖値が上昇しやすくなり、肝臓への脂肪蓄積をさらに加速させることが研究で指摘されています。
その他にも、以下のような生活習慣が肝臓を追い詰める原因となります。
・夜遅い時間のラーメンや牛丼(糖質+脂質の過剰摂取)
・デスクワークによる長時間の座りっぱなし(運動不足)
・慢性的な睡眠不足や不規則な生活リズム
【肝臓病専門医の視点:体重の数字より「内臓脂肪の質」】
院長による臨床研究では、見た目が太っていなくても内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の方は、将来的な生存率や肝がん治療後の予後に悪影響を及ぼすことを明らかにしています。「痩せ型だから」「体重が標準だから大丈夫」と油断せず、肝臓の中身(内臓脂肪)をキレイに保つ生活習慣を意識することが大切です。
※出典:
■ 3. 健診結果でわかる「肝臓のSOS」の見るべきポイントは?

脂肪肝の早期発見には、健康診断の結果を毎年見比べることが第一歩です。
① ALT(GPT)の数値に注目
一般的な健診の基準値は「30 U/L以下」や「40 U/L以下」と記載されていることが多いですが、肝臓病専門医の視点から推奨する真の理想値は「ALT 16 U/L以下」です。数値が30を超えている場合や、前年より上昇傾向にある場合は、すでに肝臓の中で炎症や細胞の破壊が始まっているサインです。
② 「正常値だから安心」は危険
ALTが正常範囲内であっても、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの持病がある方や、肥満傾向のある方は「数値に出ない脂肪肝(Burn-out MASHなど)」が潜んでいるケースがあります。
③ 簡易的肝線維化評価モデル「FIB-4インデックス」
当院では、血液検査のデータ(年齢・AST・ALT・血小板数)から肝臓の硬さ(肝線維化リスク)を推定する「FIB-4インデックス」などを活用しています。さらに精度を高めるため、当院では体に傷をつけずに肝臓の硬さをリアルタイムで数値化できる超音波エラストグラフィー(SWE)検査を導入し、精緻な診断を行っています。
【肝臓病専門医の深掘り:血液データから線維化を予測する】
私はこれまで、血液中の特殊なマーカー等を用いて、患者様に身体的負担をかけることなく肝臓の「硬さ(線維化)」を予測する評価モデルの研究を行ってまいりました。血液検査や腹部超音波検査、超音波エラストグラフィー検査(SWE)を組み合わせることで、早期の段階で肝障害のサインを捉えることが可能です。
※出典:
■ 4. 肝臓を復活させる!今日から始める3つのセルフケア

早期の脂肪肝(MASLD)であれば、適切な生活習慣の改善によって数ヶ月で元の健康な肝臓へと戻すことが可能です。
① 加糖飲料をゼロにし、お茶・水・ブラックコーヒーへ
清涼飲料水、果物ジュース、エナジードリンク、甘い缶コーヒーをやめましょう。水分補給は水やお茶、または無糖のブラックコーヒーに切り替えましょう。コーヒー(ブラック)に含まれるポリフェノールには、肝臓の線維化や肝がんリスクを下げるといった良好な知見が報告されています。
② 主食を「毎食半分」にし、ベジファーストを徹底
ご飯・パン・麺類などの炭水化物を一切断つ必要はありませんが、量を「いつもの半分」に調整します。また、食事の最初は緑色の野菜や海藻(食物繊維)から食べ、血糖値の急上昇を防ぎましょう。夜遅い時間の炭水化物は特に脂肪に変わりやすいため厳禁です。
③ 食後の「ごろ寝」と「自重筋トレ」
食後30分〜1時間は無理な運動を避け、横になって安静に過ごす(ごろ寝)ことで、肝臓への血流量が1.5倍に増え、代謝・修復の効率が向上します。また、下半身の筋肉(太ももなど)を鍛えるスクワットなどの自重筋トレを取り入れることで、「第2の肝臓」である筋肉の代謝を高め、効率よく脂肪を燃焼させることができます。
■ 5. 肝臓の線維化が進行してしまった方へ「肝臓再生医療」という選択肢

「食事や運動を頑張っても数値が改善しない」「すでに肝硬変近くまで硬くなっていると言われた」という場合、自力での修復が困難なほど肝線維化が進んでいる可能性があります。
当院では、標準的な食事・運動療法や薬物療法を徹底することはもちろん、進行した肝硬変や深刻な肝機能低下に対しては、患者様ご自身の脂肪由来幹細胞を活用した「肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞療法)」という最先端のアプローチを行っています。
幹細胞が持つ強力な抗炎症作用や組織修復促進作用により、肝臓の慢性炎症や肝線維化の進展を抑えることで、残された肝機能の回復やQOL(生活の質)向上を目指します。
■放置せずに、まずは肝臓病専門医へご相談ください

「健診で少し引っかかっただけだから」「症状がないから」と脂肪肝を放置することは、将来の肝硬変や肝がん、さらには心筋梗塞や脳卒中といった全身の病気へ繋がるメタボドミノの1枚目を倒してしまうことと同じです。
脂肪肝は、早めに対処すれば必ずやり直せる病気です。
・「健診でALTやγ-GTPが高かった」
・「脂肪肝と言われたが何をすれば良いかわからない」
・「お酒は飲まないのに肝臓の数値が悪くて不安」
という方は、どうぞ一人で悩まずに、肝臓病専門医がいる当院まで気軽にご相談ください。
肝臓病専門医であり、かつ再生医療にも精通している院長が、肝臓病でお悩みの患者様一人ひとりとしっかりと向き合い、誠心誠意診療させていただきます。
当院では、症状がまだ出ていない代償性肝硬変の患者様だけでなく、腹水や下肢のむくみ、肝性脳症、黄疸がみられている非代償性肝硬変の患者様にも、再生医療による多数の診療実績があります。
遠方にお住まいで通院が難しい方や、まずはご自身のデータをもとに相談したいという方のために、自宅にいながらスマートフォンで受診できるオンライン事前相談(Curon)を受け付けております。また、インターネットの操作が苦手な方は、診療時間内にお電話をいただければ、外来終了後に院長から直接折り返しお電話をさせていただくことも可能です。
あなたの「沈黙の臓器」を守るため、私たちが全力でサポートいたします。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
