• 2026年5月27日

肝性脳症の改善と「タウリン」の深い関係。国際的な研究実績を持つ専門医が語る肝臓ケアの最前線

肝硬変が進行すると、本来肝臓で解毒されるべき「アンモニア」などの有害物質が処理しきれず、血液に乗って脳に達してしまいます。すると、脳がむくんでダメージを受け、意識がぼんやりしたり、手が羽ばたくように震えたり、性格が変わったように怒りっぽくなることがあります。これを「肝性脳症」と呼びます。

ご家族から見て「最近、物忘れがひどい」「昼夜が逆転している」と感じる場合、それは単なる加齢や認知症ではなく、肝臓からの深刻なサインかもしれません。今回は、この肝性脳症の改善において重要な鍵を握る「タウリン」について、当院独自の国際的な研究実績を交えて解説します。

肝性脳症の治療における「個人差」の謎

これまで肝性脳症の治療には、アンモニアを下げるお薬や「L-カルニチン」というアミノ酸製剤が使われてきました。L-カルニチンは、体内のアンモニアを解毒する働きを助ける優れた成分です。

しかし、同じ治療を行っても、劇的に意識が鮮明になる患者様がいる一方で、なかなか効果が現れない患者様もいらっしゃいます。

「なぜ治療の効果にこれほどの差が出るのか?」

この疑問を解き明かすために、当院の院長は神戸大学医学部附属病院在籍時、肝硬変患者様を対象とした精密な前向きコホート研究を行いました。

世界が注目した研究成果:タウリン値が改善の鍵を握る

院長の研究チームは、L-カルニチン治療を受けた患者様の結果を詳細に分析しました。その結果、治療がうまくいくかどうかを事前に予測する「最も重要な因子」を発見したのです。

それが、血液中の「タウリン」の濃度でした。

研究の結果、治療を始める前の段階で体内のタウリン濃度が高い患者様ほど、L-カルニチンによる脳機能(神経精神医学的テスト)の改善効果が顕著に現れることが医学的に証明されました。

この研究成果は、肝臓病領域の国際的な英文医学誌『Hepatology Research』に掲載され、世界中の専門医に参照されています。

(出典:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224

なぜタウリンが肝臓と脳に良いのか?

タウリンは、イカやタコ、貝類などに多く含まれるアミノ酸の一種です。体内でタウリンが十分に蓄えられていると、以下のような強力なサポート機能が働きます。

  • ミトコンドリアの機能活性化:細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアの働きを助けます。これにより、L-カルニチンがアンモニアを解毒する際のエネルギー効率が飛躍的に高まります。
  • 脳のむくみ(脳浮腫)の軽減:アンモニアが脳に入ると「アストロサイト」という細胞がむくんでしまいますが、タウリンはこのむくみを抑え、神経を安定させる保護作用を持っています。
  • 肝細胞の保護と胆汁の分泌促進:肝細胞の膜を丈夫にし、有害物質の排泄を助けます。

院長の研究は、「タウリンをしっかりと蓄えるための体づくり」が、単なる栄養補給にとどまらず、治療効果を最大化させるための絶対的な土台であることを示唆しています。

肝臓病専門医だからこそできる「一歩先」の肝臓ケア

当院では、単にマニュアル通りのお薬を処方するだけの診療は行いません。

国際的な研究実績に基づき、患者様お一人おひとりの血液データから「今、体内で何が不足しているのか」を専門医の視点で精緻に読み解きます。タウリンやBCAAといった栄養状態を細胞レベルで最適にコントロールしながら、最新の「肝臓再生医療(幹細胞治療)」を組み合わせることで、標準治療では限界とされていた領域の克服を目指しています。

「最近、家族の様子がおかしい」「今の治療を続けていても先が見えない」と不安を感じているなら、世界基準のエビデンス(科学的根拠)に基づいた治療の扉を叩いてみてください。

まとめ:確かな実績に基づいた「根拠ある治療」を

肝臓病の治療は、長く険しい道のりになることもあります。だからこそ、誰がその治療を推奨し、どのような根拠があるのかを指し示しているのかが重要です。

当院は、肝硬変の病態を熟知し、国際的な研究実績を持つ専門医がいるクリニックとして、これからも最新かつ誠実な医療を提供し続けます。

今の治療に「限界」を感じて諦めていませんか?

日々の診療の中で、「これ以上、今の標準治療だけでは肝機能を回復させることが難しい」と告げられ、流れに身を任せて諦めかけている患者様を数多く診てきました。

標準治療を頑張っているのに効果が出ない、もう辛くて仕方ない、という外来患者様の切実な心の内を伺うことが多いのですが、その都度、決して諦めないでとお話しています。医療は日進月歩であり、自分の人生は自分で決められる時代になりつつあるのです。

あなたやあなたの家族にできることはきっと残されています。

さいとう内科クリニックでは、標準治療ではカバーしきれない進行した肝炎・肝硬変の患者様を少しでもサポートしたいという強い思いから、新たな治療選択肢として「幹細胞を用いた肝臓再生医療」を提供しています。当院で幹細胞点滴を行うことで、即効性があるわけではありませんが、半年から1年かけて徐々に肝臓の数値が改善し、倦怠感や腹水、足のむくみ、脳症、黄疸が改善してくるケースが多数みられています。

「もう打つ手がないのだろうか」と一人で抱え込まず、まずは当院にご相談ください。遠方の方やご来院が難しい方でも、ご自宅からお話しいただける「オンライン事前相談」を受け付けております。パソコンやスマホの操作が難しい方は、お電話にてお問い合わせいただいても構いません。院長の外来診療がひと段落したら、お電話をかけ直させていただきます。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。