• 2026年7月12日

【緊急の注意喚起】血管炎の治療薬「タブネオス」による重篤な肝機能障害と、絶対に知っておくべき初期サイン

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

2026年5月、顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症の治療薬である「タブネオス(一般名:アバコパン)」について、厚生労働省の指示に基づき、重篤な肝機能障害に関する注意喚起を求める文書(通称:ブルーレター)が医療機関へ送付されました。

このお薬は、免疫の暴走を抑える新しいタイプの血管炎治療薬として期待されていましたが、販売開始以降、国内で重篤な肝機能障害の報告が相次ぎ、死亡例も確認されています。今回は、このお薬を服用されている患者様やご家族の皆様へ、肝臓病専門医の視点から緊急で注意すべきポイントと、命を守るための初期サインについてお伝えします。

■ 1.なぜ「タブネオス」で深刻な肝障害が起きるのか

タブネオスは、主に肝臓で代謝(処理)されるお薬です。そのため、どうしても肝臓への負担がかかりやすく、重大な副作用として「肝細胞型肝障害」や「胆汁うっ滞型肝障害」などが現れることがあります。

特に注意が必要なのは、服用を始めてからしばらくの間です。報道された事例では、毎日服用していた患者様が、46日目に「尿の色がオレンジ色になる」という変化に気づき、その後服用を中止したものの、深刻な肝障害によりお亡くなりになっています。

【肝臓病専門医の警鐘:数値の急変を見逃さないために】

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなりのダメージを受けるまでなかなかSOSを発しません。しかし、薬による肝障害(薬剤性肝障害)は、ある日突然、急速に進行することがあります。今回のブルーレターでも、投与開始後はしばらくの間「2週間に1回」という頻回な肝機能検査を行うなど、徹底した経過観察が強く求められています。

■ 2.絶対に見逃してはならない「3つの初期サイン」

体の中で肝臓の機能が急激に低下したり、胆汁(消化液)の流れが滞ったりすると、以下のようなサインが現れます。少しでも異変を感じたら、自己判断で放置せず、すぐに主治医へ相談してください。

・尿の色がオレンジ色や濃い茶色になる 血液中のビリルビンという色素が尿に漏れ出すことで、尿の色が明らかに濃くなります。これが最もご自身で気づきやすい危険信号の一つです。

・白目や皮膚が黄色くなる(黄疸) 鏡を見たときに、白目の部分や顔の皮膚が黄色っぽくなっていないかチェックしてください。

・急激なだるさ、疲れやすさ、食欲不振 寝ても疲れが取れないほどの強い倦怠感や、急に食事を受け付けなくなるような状態は、肝臓が悲鳴を上げている証拠です。

■ 3.効果を狂わせる「飲み合わせ」の落とし穴

タブネオスを服用する上で、絶対に避けるべき食事や健康食品があります。これらを併用すると、お薬の成分が体内で異常に高くなったり、逆に弱まったりして、肝臓へのリスクを跳ね上げることがあります。

・グレープフルーツジュース(絶対に控える) グレープフルーツに含まれる成分が、お薬を分解する肝臓の酵素の働きを強力に邪魔してしまいます。その結果、血中の薬の濃度が想定以上に高くなり、肝障害のリスクが急上昇します。

・セイヨウオトギリソウ / セント・ジョーンズ・ワート(絶対に控える) このハーブを含むサプリメントや健康食品は、逆に薬の分解を早めすぎてしまい、血管炎を抑える本来の効果を著しく弱めてしまう恐れがあります。

■ 不安な時は一人で悩まず肝臓病専門医へ

現在、タブネオスを服用されている患者様は、ニュースを見て驚かれたかと思いますが、決してご自身の判断で急に服用を中止しないでください。血管炎の症状が急激に再発する恐れがあるため、必ず主治医の指示を仰ぐことが大切です。

当院では、高度な専門知識に基づいた精密な血液検査や丁寧なデータ分析を通じて、患者様の肝臓の健康状態を日々厳格に守っています。「最近、尿の色がいつもと違う気がする」「お薬を飲み始めてからだるさが続いている」など、少しでも気になる症状や不安がございましたら、些細なことでも構いませんので当院へお気軽にご相談ください。

また、万が一、薬剤による肝障害が重症化し、標準治療だけでは回復が難しい状態に進行してしまった場合でも決して諦めないでください。当院では、患者様ご自身の細胞を用いた「肝臓再生医療(幹細胞治療)」という新たな治療選択肢もご提供しております。

遠方にお住まいの方や、すぐに来院が難しい方のために、Curon(クロン)を利用したオンラインでの事前相談も受け付けております。パソコンやスマホの操作に不慣れな方は、診療時間内であれば、お電話でお問い合わせいただけます。外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話をかけ直させていただきます。どうぞ、お一人で悩まず、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
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さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。