- 2026年4月7日
【肝臓病専門医が解説】肝臓がんと言われたら? 主な6つの治療法と選び方

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
もし、ご自身やご家族が「肝臓がん」と診断されたら、不安で頭がいっぱいになってしまうと思います。しかし、近年の肝臓がん治療は目覚ましい進歩を遂げており、患者様の状態に合わせたさまざまな選択肢が用意されています。
肝臓がんの治療方針は、単に「がんの大きさ」だけで決まるわけではありません。「肝臓の機能(肝予備能)」がどれくらい保たれているか、がんの数や広がりはどうなっているかなど、さまざまな条件を総合的に考慮して決定されます。
今回は、肝臓がんの治療で主に用いられる「6つの治療法」について分かりやすくお伝えします。
■ 1. 肝切除(手術)
がんとその周囲の肝臓組織を、手術によって切り取る治療法です。
最も根治(完全に治すこと)が期待できる治療であり、肝臓の機能が比較的保たれていて、がんの数が3個以内の場合に推奨されます。
最近では、お腹に小さな穴を開けて行う「腹腔鏡下手術」という、体への負担が少ない術式も増えてきています。合併症として、胆汁が漏れる胆汁漏や出血、術後肝不全などには注意が必要です。
■ 2. 穿刺局所療法(ラジオ波焼灼療法など)
お腹の皮膚の上から特殊な針をがんに直接刺し、治療する方法です。
代表的な「ラジオ波焼灼療法(RFA)」は、針の先端に高熱を発生させて、がんを局所的に焼き切る治療です。手術に比べて体への負担が少なく、がんが3cm以内・3個以下の場合などに選択されます。他にも、エタノール注入療法(PEIT)などがあります。
■ 3. 塞栓療法(カテーテル治療)
がんに栄養を送っている「血管(肝動脈)」を人工的にふさいで、がんを“兵糧攻め”にする治療法です。
足の付け根や手首の動脈から細い管(カテーテル)を入れ、抗がん剤と造影剤を混ぜて注入した後、血管を詰まらせる物質を入れます(肝動脈化学塞栓療法:TACE)。がんが大きかったり、数が多かったりして、手術や局所療法が難しい場合に行われます。また、持続的に肝動脈に大量の抗がん剤を注入し続けることにより、がんを縮小させる治療法もあります。
■ 4. 全身薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・免疫療法)
点滴や飲み薬によって、全身に薬を巡らせてがんの増殖を抑える治療です。
近年、肝臓がんの薬物療法は大きく進化しています。がんの血管が作られるのを防いだり、増殖の信号を止めたりする「分子標的薬」や、自身の免疫細胞を活性化させてがんを攻撃させる「免疫チェックポイント阻害薬」などが使われます。薬ごとに高血圧や手足のしびれ、倦怠感などの特有の副作用があるため、医師とよく相談しながら進めます。
■ 5. 放射線治療
以前は肝臓へのダメージが懸念され、あまり積極的に行われていませんでしたが、技術の進歩により新たな選択肢となっています。
がんのある場所にピンポイントで大線量を当てる「定位放射線治療(IMRT)」や、がんの深さでエネルギーを最大化させて周囲の正常な細胞へのダメージを減らす「粒子線治療(陽子線・重粒子線)」などがあります。また、骨や脳に転移した際の痛みの緩和などにも使われます。
■ 6. 肝移植
肝臓をすべて摘出し、ドナー(臓器提供者)から肝臓を移植する治療法です。
日本ではご家族などから肝臓の一部を提供する「生体肝移植」が一般的です。がんの大きさや数に一定の条件(ミラノ基準など)がありますが、肝硬変が進んでおり、他の治療が困難な場合の重要な選択肢となります。
■ さいごに:ご自身の状態に最適な治療を見つけるために

肝臓がんは「がんと慢性肝疾患(肝炎や肝硬変など)」という2つの病気を同時に抱えている状態です。だからこそ、がんだけを見るのではなく、残された肝臓の機能をどう守るかが治療の鍵となります。
神戸大学病院で勤務させて頂いているときに実感したのですが、温熱療法を併用することで、肝臓の機能を保ちながら、上記の治療効果を高めることができる可能性もあります。
「沈黙の臓器」である肝臓を守るためには、早期発見が何より大切です。健康診断で肝機能の異常を指摘された方や、肝臓の病気が心配な方は、病気が進行してしまう前に、ぜひ当院へご相談ください。
患者様お一人おひとりの状態をしっかりと見極め、最適な道筋を一緒に考えてまいります。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
-
- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
