• 2026年10月5日

【肝臓病専門医が警告】「肝臓クレンジング」「サプリメント」で脂肪肝は治らない?本当に効果のある肝臓ケアとは

こんにちは。

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

近年、SNSやインターネット上で「肝臓のクレンジング(デトックス)」や「肝臓サポート」を謳うサプリメントが大きな注目を集めています。当院の外来でも、「健康診断で肝臓の数値が引っかかったので、〇〇というサプリを飲み始めました」とお話しされる患者様が非常に増えています。

自分自身の健康に目を向け、予防医療に関心を持つ人が増えているのは素晴らしいことです。しかし、「サプリメントを飲むだけで肝臓がキレイになる・健康になる」という考えには、大きな落とし穴が存在します。

今回は、肝臓病専門医の視点から「肝臓サプリメントの現実とリスク」、そして科学的根拠(エビデンス)に基づいた正しい脂肪肝対策・肝臓ケアについて分かりやすく解説します。

■ 1. なぜ今、「肝臓の健康」が注目されているのか?

肝臓は体内で最大の臓器であり、アルコールの分解だけでなく、代謝、エネルギーの蓄積、解毒、ビタミン・ミネラルの貯蔵など、500以上もの重要な役割を担う「体の巨大な化学工場」です。

近年、これほどまでに肝臓への関心が高まっている背景には、お酒を飲まない人でも肝臓に脂肪が溜まる「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD:マッスルディー)」の急増があります。

成人の約3人に1人が脂肪肝を抱えていると言われており、定期的な血液検査が定着したことで、自身の肝機能の数値(ALT・AST・γ-GTPなど)に危機感を覚える方が増えたためです。

■ 2. 【肝臓病専門医からの警告】サプリメントで肝臓はクレンジングできる?

結論から言うと、サプリメントの摂取だけで肝臓の健康を高めたり、脂肪肝を治したりすることを裏付ける十分な科学的エビデンスはありません。

それどころか、肝臓病専門医として私は以下の点に強く警鐘を鳴らしています。

肝臓はもともと「体内の解毒を自ら行う臓器」です。サプリメントは食品に分類されますが、特定の成分が通常の何十倍も凝縮されているため、弱っている肝臓で処理・解毒する際に多大な負担(残業)を強いることになります。

安易な即効性を求めて自己判断でサプリメントに頼ることは、かえって「薬剤性肝障害」を引き起こし、肝機能をさらに悪化させる危険性を伴うのです。

■ 3. 肝臓病専門医が推奨する「科学的に正しい」肝臓ケア

市場に出回るどんなサプリメントよりも、日々の「生活習慣の改善」こそが絶大な効果をもたらします。本当に肝臓をいたわるためのアプローチは以下の通りです。

糖質を控えたバランスの良い食事(ベジファースト) 脂肪肝の最大の原因は「糖質」です。甘いお菓子や清涼飲料水(果糖ブドウ糖液糖)を控え、食事の最初は緑色の野菜や海藻などの食物繊維から食べましょう。

良質なタンパク質を「食品から」こまめに摂る 肝臓の修復にはタンパク質が不可欠ですが、サプリやプロテインの過剰摂取は肝臓に負担をかけます。魚、大豆製品、鶏肉などから1食20gを目安にこまめに摂りましょう。

筋肉(第2の肝臓)を鍛え、食後は「ごろ寝」 ウォーキングに加え、スクワット等で筋肉を維持することで肝臓の解毒作業を助けます。また、食後30分程度、体の右側を下にして横になって休む(ごろ寝)ことで、肝臓への血流が1.5倍になり肝臓の修復が促されます。

【肝臓病専門医の深掘り:筋肉による代謝サポート】

肝臓の負担を減らすためには、第2の代謝工場である「筋肉」の働きを助けることが欠かせません。 BCAA(分岐鎖アミノ酸)は主に骨格筋で代謝されるアミノ酸ですが、私自身が行った臨床研究においても、BCAA製剤の補給が全身のエネルギー代謝状態を有意に維持・改善することを実証し、国際医学誌にて報告しています。 進行した肝硬変では医療用製剤(リーバクトやアミノレバンEN)による治療を行いますが、日頃の肝臓ケアとしては、まずは安易にサプリメントに頼るのではなく、毎日の食事から肉・魚・大豆製品などの良質なタンパク質をしっかり摂り、筋肉の代謝を支えてあげることが科学的にも非常に合理的です。

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■ 4. 肝臓は「沈黙の臓器」。まずは肝臓のちょっとした変化でも捉えられる正しい検査から

脂肪肝は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。放置するとゆっくりと進行し、慢性的な炎症を起こして肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあります。 だからこそ、「自己判断でサプリメントを飲む」のではなく、「医療機関を受診して自分の肝臓の状態を正しく知る」ことが第一歩です。

健康診断でAST、ALT、γ-GTPなどの異常を指摘された方は、詳細な血液検査だけでなく、身体への負担がない「腹部超音波(エコー)検査」や「超音波エラストグラフィー検査」を受けることで、肝臓の脂肪のつき具合や肝臓の硬さを正確に把握することができます。

【肝臓病専門医の視点:線維化を早期に察知する】

肝臓の硬さ(線維化)の進行度合いは、一般的な血液検査の数値だけでは見抜けないことがあります。私は、体に負担をかけることなく血液中の新しいマーカー(NX-DCP)から肝線維化の程度を正確に予測する評価モデルの研究を行っており、腹部超音波検査や超音波エラストグラフィー検査と組み合わせて精緻な診断に役立てています。

出典:

■ 5. よくあるご質問(Q&A)

Q1. ウコンやしじみのサプリメントは肝臓に良いですか?

A1. ウコン(クルクミン)やしじみ(オルニチン)には一定の抗酸化作用や解毒サポート効果がありますが、サプリメントで特定の成分を過剰に摂取すると、かえって肝臓の解毒作業に負担をかけ、「薬剤性肝障害」を引き起こすケースがあります。基本は「日々の食事(しじみ汁など)」からバランスよく摂ることが最も安全です。

Q2. プロテインを飲んだら健康診断でALTの数値が上がりました。なぜですか?

A2. 肝臓はタンパク質の代謝を行う臓器であり、プロテインの過剰摂取は肝臓に大きな負担をかけます。また、激しい筋力トレーニング自体によっても筋肉内のASTやALTが血液中に漏れ出し、数値が上昇することがあります。「サプリや筋トレのせいだから大丈夫」と自己判断せず、その裏に隠れ脂肪肝が潜んでいないか肝臓病専門医にご相談ください。

Q3. 食事や運動を頑張っても肝臓の数値が下がりません。

A3. 生活習慣を改善しても数値(ALTやγ-GTPなど)が高止まりしている場合、すでに肝臓が硬くなる「線維化(肝硬変)」へと進行しており、自力での修復が難しくなっている可能性があります。早急に肝臓病専門医による精密な診断が必要です。

■ 6. 「もう治らない」と諦める前に、肝臓再生医療という選択肢

SNSで話題の「肝臓クレンジング」やサプリメントは魅力的に見えるかもしれません。しかし、本当に肝臓を守り、脂肪肝を予防・改善できるのは、「日々のバランスの良い食事」「適度な運動」「肝臓病専門医による正しい検査」です。

もし、生活習慣を見直しても肝臓の数値が改善しない、あるいはすでに肝硬変などへ進行していると診断された場合でも、決して諦めないでください。

当院では、保険診療に基づいた標準治療に加え、患者様ご自身の細胞を用いた「肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)」という新たな治療選択肢もご提案しています。幹細胞が肝臓の慢性炎症を抑え、硬くなった肝組織の修復を促す新しいアプローチです。

当院で実際に肝臓再生医療を受けられた患者様(30名)で、幹細胞点滴後、半年から1年を経て、肝臓の数値の改善や、倦怠感、腹水、下肢のむくみ、黄疸、肝性脳症の改善がみられるケースを多数報告させていただいております。今後の肝臓再生医療による治療効果に大いに期待しております。

遠方にお住まいの方や、長時間の移動が体に堪えるという患者様のために、当院ではご自宅にいながらスマートフォンで受診できる「オンライン事前相談」を導入しています。

お手元にある直近の血液検査結果データや画像データ(CT・MRI・エコー等)をご用意いただき、現在の全身状態や体力を丁寧に伺った上で、再生医療の適応があるかどうかを肝臓病専門医である院長が総合的に判断いたします。

また、「インターネットやスマートフォンの操作が苦手」という患者様やご家族様は、どうぞ直接、診療時間内に当院へお電話をおかけください。

お電話をいただきましたら、まずは再生医療に精通した専任スタッフが状況をお伺いし、院長から詳しくご説明させていただくお時間をご案内いたします。

他院で治療法がないと言われた患者様も決して諦めないでください。

大切な肝臓を守るために、そして、あとから後悔しないように、今日から二人三脚で治療に取り組みましょう。

■ 7. 肝臓再生医療に関する重要事項(費用・リスク・承認状況)

患者様に心からご納得いただいた上で治療を選択していただくため、当院では治療のメリットだけでなく、費用や限界、リスクについても包み隠さず事前にお伝えしております

・診療区分および費用:

本治療は公的医療保険が適用されない「自由診療」です。

・脂肪採取と初回投与:3,300,000円(税込)
・2回目以降の追加投与:1回につき 1,100,000円(税込)

・医薬品医療機器等法上の位置づけ:

本治療で用いる自己脂肪由来間葉系幹細胞は、医薬品医療機器等法上の承認を受けたものではなく、確立された標準治療ではありません。

・効果とリスクについて:

治療効果には個人差があり、すべての方に同一の改善効果を保証するものではありません。病状や体質によっては、期待される変化が見られない場合もあります。また、脂肪採取部位の内出血や感染、細胞点滴時のアレルギー反応や発熱などの副作用が生じるリスクがまれにあります。詳しいリスクについては、事前の診察時に院長より丁寧にご説明いたします。

・法的手続きおよび管理体制:

医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック
自己脂肪由来幹細胞を用いた肝機能障害治療
再生医療等提供計画番号:PB5230080
審査:日本再生医療協会 特定認定再生医療等委員会(認定番号 NA8200001)
特定細胞加工物製造事業者:CZEN CLINIC Cell Processing Center(施設番号 FC3220189)
この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。