- 2026年10月14日
脂肪肝への世界的関心急増—SNSで検索数7倍、今すぐ知るべき肝臓ケアの基本

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
2026年に入り、「肝臓の健康」への関心が世界規模で急上昇しています。ある大手サプリメント企業の調査によると、2026年1月から6月にかけて同社サイトにおける「肝臓の健康」の検索数が前年同期比700%増を記録しました。
Yahoo!ニュースなどでも、肝臓疾患や脂肪肝に関するニュースが頻繁に取り上げられており、「自分の肝臓は大丈夫だろうか?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、世界的な肝臓ケアブームが起きている背景と、日本人が今すぐ取り組むべき脂肪肝対策について、肝臓病専門医の立場からわかりやすく解説します。
■1. なぜ今、世界で「脂肪肝」への関心が高まっているのか

脂肪肝(医学的にはMASLD:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)は、肝細胞の5%以上に中性脂肪が蓄積した状態をいいます。かつては「お酒を飲みすぎる人の病気」というイメージがありましたが、実際にはお酒をほとんど飲まない方にも多く見られ、現在では世界人口の約25〜30%が何らかの脂肪肝を持つとされています。
世界的な関心の高まりには、いくつかの背景があります。
第一に、在宅ワークの定着や生活様式の変化による運動不足と食生活の乱れが、肥満や代謝異常を増やしたことが挙げられます。
第二に、健診結果のWeb確認などが普及し、「ALTが高い」「エコーで脂肪肝と言われた」という情報を手元のスマートフォンで調べる人が増えたことが挙げられます。
第三に、GLP-1受容体作動薬などの新しい治療薬が肥満症や肝疾患の領域で広く注目され、一般の方にも脂肪肝の危険性が浸透してきたことが挙げられます。
日本でも状況は深刻です。日本人の推定3,000万人以上が脂肪肝を持つとされており、成人の約4人に1人に相当します。健診でAST・ALT・γ-GTPの異常を指摘されながら「要経過観察だから」と放置している方も少なくありません。
しかし、脂肪肝を放置すると肝炎・肝硬変・肝がんへと静かに進展するリスクがあり、早期の正確な評価が極めて重要です。
■2. 脂肪肝が進行するメカニズムと「沈黙の臓器」の怖さ

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、相当なダメージを受けるまで自覚症状が現れません。初期の脂肪肝では自覚症状がほぼなく、疲れやすい、右わき腹が重苦しいといった漠然とした違和感が出たとしても、脂肪肝が原因だと気づく方はごく稀です。
脂肪肝の進行は、大きく次の段階をたどります。
最初は中性脂肪がたまるだけの「単純性脂肪肝」ですが、ここに酸化ストレスや生活習慣の乱れが重なると、肝細胞が壊れて炎症を起こす「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」へと進みます。
MASHになると傷ついた肝組織を修復するために線維(コラーゲン)が増え、肝臓が徐々に硬くなる「線維化」が始まります。線維化が進むと元の柔らかい肝臓に戻りにくい「肝硬変」へ至り、将来的な肝不全や「肝がん」の発生リスクが跳ね上がってしまうのです。
この進行プロセスは、数年から数十年かけて痛みを伴わずにひっそりと進みます。「10年前から健診で引っかかっていたけれど、痛くないから放っておいた」という方が、詳しい精密検査を受けたらすでに肝硬変目前だったというケースは臨床現場で決して珍しくありません。
■3. 脂肪肝になりやすいのはどんな人か?「やせ型脂肪肝」の盲点

脂肪肝のリスク因子として代表的なものは、肥満(特に内臓脂肪型肥満)・2型糖尿病・脂質異常症・高血圧というメタボリックシンドロームの要素です。これらに当てはまる方は脂肪肝を合併している可能性が非常に高く、定期的なチェックが欠かせません。
一方で、近年特に警戒されているのが「やせ型脂肪肝(Lean MASLD)」です。
BMIが普通体重の範囲内であっても、運動不足で筋肉量が少なく、お腹周りに内臓脂肪が溜まっている「隠れ肥満」タイプの方は脂肪肝を発症します。「自分は太っていないから大丈夫」という油断は禁物で、若い女性や高齢者にも増えています。また、果糖(フルクトース)を多く含む清涼飲料水の習慣的な摂取や、睡眠不足、腸内環境の乱れも肝脂肪を増やす要因です。
なお、アルコールを飲む習慣もある場合、MASLDにアルコール性肝障害が重なる「MetALD」という病態になり、相乗的に肝障害が進むことが分かっています。
■4. 院長の研究から——内臓脂肪と肝疾患の深い関係

私は肝臓病専門医として、長年にわたり脂肪肝から肝炎、肝硬変、肝がんに至る診療と研究に携わってきました。
なかでも、内臓脂肪の蓄積が肝疾患の進行や肝がん治療後の予後に及ぼす影響については、自ら臨床研究を行い、国際的な医学雑誌に論文として発表しています。
研究の結果、お腹の深部に溜まる内臓脂肪は、単なる余剰エネルギーではなく、さまざまな炎症性サイトカインを放出して肝組織の線維化や発がん環境を助長し、生命予後にも直結することが明らかになっています。つまり、肝臓を守るためには「体重の数値」だけでなく、「内臓脂肪をいかに減らし、筋肉量を維持するか」が本質的なアプローチとなります。
※出典:
■5. 当院での脂肪肝の診断・治療アプローチ

さいとう内科クリニックでは、一般的な健診での血液検査だけでは見落とされがちな「肝臓の硬さ」を精密に評価する体制を整えています。
超音波エラストグラフィー検査
体に針を刺すことなく、痛みのない超音波を用いて肝臓の硬さ(線維化の度合い)をリアルタイムかつ数値で正確に測定します。放射線被曝もなく、定期的に受けていただくことで治療による改善効果を視覚的に確認できます。
詳細な血液検査と線維化スコアの算出
AST・ALT・γ-GTPといった一般的な血液検査項目に加え、血糖・インスリン抵抗性(HOMA-IR)、さらに肝線維化の進行を予測するFIB-4インデックスやM2BPGiなどを総合的に評価します。
一人ひとりに合わせた改善プログラム
治療の基本は生活習慣の適正化です。現在の体重から「5〜10%」減量するだけで、肝機能や肝組織の脂肪・炎症は大きく改善します。無理な絶食ではなく、良質なタンパク質の補給、食物繊維やレジスタントスターチの活用、適度な有酸素運動を組み合わせ、肝臓病専門医の立場から継続可能なプランを設計します。状態に応じて、適切な薬物治療も組み合わせてサポートします。
■6. まとめ—SNSを通じて本物の肝臓ケアを

SNSを通じて肝臓ケアへの意識が高まるのは素晴らしいことです。しかし、ネット上には「このサプリを飲むだけで脂肪肝が消える」「激甘ドリンクでも問題ない」といった医学的根拠の乏しい情報も混ざっています。
肝臓を守るために本当に必要なのは、信頼できる検査による現状把握と、肝臓病専門医による正しい医学的管理です。
「健康診断で肝臓の数値異常を指摘された」
「お酒を飲まないのに脂肪肝と言われた」
「服のサイズがきつくなり、体が重だるい」
このような不安をお持ちの方は、症状がない今のうちにぜひ当院へご相談ください。
当院は神戸市西区に拠点を置き、早期の脂肪肝に対する食事運動療法から、進行した肝硬変に対する自己脂肪由来幹細胞治療(肝臓再生医療)まで一貫して取り組んでいます。院長は保険診療に基づく標準治療だけではなく肝臓再生医療にも精通しています。
当院が行っている肝臓再生医療は、倦怠感、腹水、下肢のむくみ、黄疸、肝性脳症といった自覚症状のある非代償性肝硬変の患者様にも治療適応があり、豊富な診療実績もあります。ただし、当院まで通院することができないほど体力が低下している場合や、肝がんを含めた悪性腫瘍が体内にある場合は治療適応外となりますので、より早い段階で肝臓再生医療を検討されることをお勧めします。
遠方でご来院が難しい方には、スマートフォンで自宅にいながらご相談いただける「オンライン事前相談」を実施しています。インターネットやスマートフォンの操作が難しい方は、診療時間内に当院までお電話にてお問い合わせいただくことも可能です。院長の外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話をかけ直させていただきます。
世界的な肝臓ケアへの関心をきっかけに、あなたの大切な肝臓を守る第一歩を今日から一緒に踏み出しましょう。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
