- 2026年6月2日
サプリメントは肝臓に悪いのはなぜ?尿の色が濃い・オレンジ色の時は要注意、薬剤性肝障害の初期サインと危険な飲み合わせ

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
「健康のために飲んでいたサプリメントが、肝臓に悪かったとは知らなかった」——そんな声を、外来でよく耳にします。サプリは「食品」だから安全、と思っていませんか?実は、サプリメントによる薬剤性肝障害は年々増加しており、重症化するケースも珍しくありません。今回は肝臓病専門医の立場から、サプリメントが肝臓に悪い理由、尿の色から読み取れる肝臓のSOSサインと危険な飲み合わせについて詳しく解説します。
■ 1.なぜサプリメントが肝臓に悪いのか?メカニズムを専門医が解説

サプリメントは「食品」に分類されますが、その実態は高濃度の化学物質の集合体です。通常の食事で摂取する量の何十倍・何百倍もの成分が、1粒の錠剤に凝縮されています。
肝臓はすべての栄養素・薬物・サプリメントの代謝・解毒を担う「体内の化学工場」です。複数のサプリを同時に摂取すると、肝臓の処理能力を超えた解毒負荷がかかります。特に、もともと肝機能が低下している方では、健康な方以上に肝臓への負担が大きくなります。
【肝臓病専門医の視点:サプリによる肝障害のメカニズム】
サプリメントによる肝障害は「薬剤性肝障害(DILI: Drug-Induced Liver Injury)」の一種です。成分が肝細胞に直接ダメージを与えるケースのほか、免疫反応が引き金となって肝細胞が攻撃される「免疫アレルギー型」も存在します。いずれも、早期に原因のサプリを中止することが治療の第一歩です。
【肝臓病専門医の深掘り:エネルギー代謝を妨げないサプリの摂り方】
私は臨床研究において、適切な栄養補給(BCAA等)が肝臓のエネルギー代謝(npRQ)の状態を維持・改善し、肝臓の処理能力を正常にサポートすることを報告しています。しかし、自己判断で高濃度のサプリメントを乱用すると、処理に追われた肝臓のエネルギー代謝のバランスが狂い、逆に効率的な燃焼を阻害してしまう恐れがあります。サプリを安易に取り入れる前に、まずはご自身の肝臓の「基礎体力」を見極めることが大切です。(出典:Intern Med 2014; 53(14): 1469-75)
■ 2.要注意!肝臓に負担をかけやすいサプリの種類

以下のサプリメントは、肝臓への負担が報告されているものです。
・ウコン(クルクミン):「肝臓に良い」と宣伝されることが多いウコンですが、過剰摂取による肝障害の報告が後を絶ちません。アルコールと組み合わせると特に危険です。
・ダイエットサプリ:未知の植物エキスや成分不明の添加物が多く含まれるものがあり、重篤な肝障害を引き起こした事例が国内外で報告されています。
・鉄分サプリ:過剰摂取は肝臓内での酸化ストレスを増大させ、肝細胞を傷つけます。特にヘモクロマトーシス(鉄過剰蓄積症)の素因がある方は要注意です。
・青汁・健康茶:原材料の農薬残留や成分の不透明さが問題になることがあります。
・プロテイン(たんぱく質補助食品):腎臓・肝臓に基礎疾患がある場合、過剰なたんぱく質摂取は肝臓への負荷を増大させます。
■ 3.尿の色で分かる肝臓のSOS!オレンジ色・濃い茶色の意味

健康な状態の尿の色は「淡い黄色」です。これはビリルビンという色素が適量含まれているためです。
しかし、尿がオレンジ色〜濃い茶色(ビール色)になっている場合、それは肝臓からのSOSサインかもしれません。この現象は、肝臓の機能が低下してビリルビン(胆汁色素)が血中に増加し、尿に漏れ出すために起こります。
【肝臓病専門医の視点:尿の色変化と黄疸の関係】
尿の色の変化に加え、白目や皮膚が黄色くなる「黄疸」、強い倦怠感、食欲不振が同時に現れている場合は、急性肝炎や重篤な肝障害の可能性があります。このような症状が出た場合は、サプリメントを直ちに中止し、速やかに肝臓病専門医を受診してください。
【肝臓病専門医の深掘り:突然やってくる薬剤性肝障害の恐怖】
2026年5月、血管炎の治療薬である「タブネオス」において、重篤な肝機能障害による死亡例が相次いだとして緊急の注意喚起(ブルーレター)が発出されました。この事例でも、服用から1カ月半が経った頃に「尿の色がオレンジ色になる」という重大な変化が起きています。サプリメントや薬による肝障害は、初期は自覚症状が出にくく、ある日突然急激に進行することがあります。尿の色がいつもと違うと感じることは、命に直結する肝臓からの最初の警告なのです。
■ 4.薬剤性肝障害の初期サインと対処法
薬剤性肝障害の初期症状は、風邪や疲労と間違えやすいものが多いため、見逃してしまうケースが多々あります。以下の症状に心当たりがある場合は注意が必要です。
・倦怠感・疲労感がなかなか抜けない
・食欲がない、吐き気がする
・右上腹部(肝臓がある場所)に違和感・重み感がある
・発熱や体のかゆみが続く
・尿の色が濃くなった、便が白っぽくなった
これらの症状が現れたら、まず摂取中のサプリメントをすべて中止し、できるだけ早く肝臓病専門医の診察を受けてください。血液検査でALT・ASTなどの肝臓の数値を確認することも大切です。
■ 5.危険な飲み合わせ:サプリ×薬の相互作用
サプリメントと処方薬の組み合わせによって、予測できない副作用が生じることがあります。代表的な危険な組み合わせを知っておきましょう。
・セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ):肝臓の薬物代謝酵素(CYP3A4)を誘導し、免疫抑制薬・抗凝固薬・避妊薬など多くの薬の効果を著しく低下させます。肝臓病でいえば、C型慢性肝炎・肝硬変に対する治療薬である「ハーボニー」の効果を著しく低下させます。
・グレープフルーツ(サプリ含む):同じく肝臓の代謝酵素を阻害し、一部の薬の血中濃度を危険なほど高める可能性があります。
・複数サプリの同時摂取:個々には問題がなくても、複数を組み合わせることで予測不能な相互作用が生じるリスクがあります。処方薬を飲んでいる方は、必ず医師・薬剤師にサプリの使用を申告してください。
■ 6.肝臓病専門医からのメッセージ

当院では、サプリメントや薬物による肝機能障害の相談を多く受けています。「サプリだから大丈夫」という思い込みが、深刻な肝臓疾患につながるケースを数多く経験してきました。
もともと進行した肝炎・肝硬変の状態の患者様が、サプリメントや薬物によりさらに肝機能障害を引き起こしてしまうと、肝臓が耐え切れなくなり、肝不全へと進行してしまうことがよくあります。黄疸や腹水、脳症といった合併症のみならず、汎血球減少といった造血能にまで悪影響をきたします。まずは、さらなる肝機能障害の原因となっているサプリメントや薬物を中止することが先決ですが、中止しても、肝不全の改善がみられないケースが多々あります。
当院では、標準治療を行いつつ、治療に難渋するケースにおいて、ご自身の脂肪由来幹細胞を用いた「肝臓再生医療」という治療選択肢も提供しています。当院では、標準治療と再生医療の両輪で治療を行える体制をとっています。どうしたらいいか分からないと一人で悩まず、ぜひ一度当院までご相談ください。最善の解決策について一緒に考えましょう。
【肝臓病専門医の深掘り:見逃されがちな肝臓のダメージを予測する】
サプリメントによる慢性的な負荷で肝臓が傷ついても、一般的な血液検査の数値(ASTやALTなど)だけでは初期の「硬化(線維化)」を完璧に捉えきれないことがあります。私は、血液中の新しいマーカー(NX-PVKA)を用いることで、より身体への負担が少なく、リアルタイムに肝臓の線維化リスクを予測するモデルについて臨床研究を進めてきました。手遅れになる前に、多角的な診断で肝臓の状態を正確に評価することが極めて重要です。(出典:Hepat Mon 2015; 15(2): e22978)
■ 7.サプリメントによる肝臓への影響が心配な方へ
当院では、最新のエビデンスに基づいた肝臓病の診療を行っています。血液検査による肝機能チェック、超音波検査による肝臓の状態評価、そして薬剤性肝障害の診断・治療まで、総合的にサポートしています。
「サプリを飲んでいて肝機能が悪くなってしまい、どうしたらいいか分からない」「尿の色が変わっており、サプリメントによるものなのか心配」などのお悩みも、多数伺っております。また、すでに肝機能が悪化しており、肝不全へと進行しないようにしたいといった切実な思いも伺っております。
当院では、そのような患者様の不安なお気持ちに寄り添い、肝機能の改善や倦怠感など自覚症状の改善のお役に立てられるよう、スタッフ一同、最善を尽くしています。標準治療のみならず、必要に応じて再生医療も行い、両軸で治療を実施しております。
遠方の方はオンラインでの相談も受け付けております。パソコンやスマホの操作に不慣れな方は、お電話でお問い合わせいただいても構いません。決して諦めることなく、当院と一緒に二人三脚で、治療に取り組んでいきましょう。

- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。