• 2026年6月9日

「女性は脂肪肝になりにくい」の医学的根拠。肝臓病専門医が解説する、性別・年代別で異なる肝臓の脂質代謝とMASHリスク

こんにちは。 神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「主人は脂肪肝と診断されたけれど、私は女性だから大丈夫」と思っていませんか?確かに、ある年代まではその認識は統計的にも生理学的にも間違っていません。しかし、ある時期を境に、女性の肝臓をめぐるホルモン環境は一変します。今回は、男性と女性で大きく異なる脂肪肝・脂肪肝炎の進行リスクについて、内分泌学的なメカニズムから解説します。

■ 女性の肝臓を守る強力なバリア「エストロゲン」

女性ホルモンの一つであるエストロゲンには、肝臓における脂質代謝を最適化し、脂肪の過剰な蓄積を防ぐ強力な保護作用があります。 エストロゲンが肝細胞の受容体に結合すると、肝臓内での新たな脂肪合成が抑制され、同時に脂肪酸の燃焼が促進されます。閉経前の多くの女性は、この精緻なホルモンメカニズムのおかげで、少々食べ過ぎても肝臓に脂肪が溜まりにくい身体になっています。

■ 閉経を境に急増する女性のMASHリスク

しかし、閉経を迎えてエストロゲン分泌が激減すると、この脂質代謝の強固なバリアが一気に失われます。この時期に食生活が乱れていたり、遺伝的に脂質代謝が悪い家系であったりすると、急速に肝臓へ脂肪が蓄積します。さらに、エストロゲンが持っていた抗酸化作用や抗炎症作用も低下するため、あっという間に線維化を伴う脂肪肝炎(MASH)へと悪化してしまうのです(出典:Brady CW. Hepatology 2015; 61(4): 1349-1358)。 「ずっと肝機能の数値は正常だったのに、50代後半になって急にエコー検査で脂肪肝を指摘された」という女性が急増するのは、この内分泌的な劇的変化が根本原因です。

■ 男性は若年層からのインスリン抵抗性に要注意

一方、男性はもともとエストロゲンの分泌が極めて少ないため、このホルモンによる強力な恩恵を受けられません。そのため、食生活の乱れや運動不足があると、内臓脂肪の蓄積に伴うインスリン抵抗性がダイレクトに肝臓への脂肪蓄積を招きます。男性は20代、30代といった若いうちから脂肪肝になりやすく、女性よりもずっと長い期間、肝臓が炎症リスクに晒されるため、若年から脂肪肝炎や肝硬変へと進展するリスクが高いと言えます。

■ 肝臓病専門医からのメッセージ

男性は若いうちから、女性は閉経前後から、ご自身の肝臓に起きる変化に敏感にならなければなりません。私の臨床研究でも、体型が痩せ型・標準体重であっても内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の方が多数存在し、将来的な生存率や予後に悪影響を及ぼすことを国際医学雑誌にて報告しています(出典:J Cancer Ther 2015; 6: 1124-1136)。 「太っていないから」「女性だから」と過信せず、定期的な血液検査と腹部エコー検査を受け、沈黙の臓器の小さな変化を見逃さないことが、未来の健康を守る第一歩です。

■ 脂肪肝・年代による肝臓の変化が心配な方へ

さいとう内科クリニック(神戸市西区)では、以下の検査・診療を行っています。

・腹部エコー検査(脂肪肝、肝臓の線維化、肝腫瘍の精査)

・血液検査(肝機能・血糖値・HbA1c・インスリン分泌能)

・食事指導・生活習慣の改善サポート

「更年期を過ぎてから急に肝臓の数値が悪くなった」「太っていないのに脂肪肝と言われた」「若いうちから肝機能の異常を指摘されている」という方は、お気軽に当院までご相談ください。早期発見・早期治療が、あなたの肝臓と健康を守ります。

すでに進行した肝炎や肝硬変と診断された患者様は、食事運動療法や内服治療といった標準治療だけでは病態の進行を止められないことが多々あります。当院は、肝疾患の標準治療と再生医療(幹細胞点滴)の両方ともに熟練しています。また、当院の再生医療は、他の疾患に対する再生医療は一切行わず、肝疾患に特化しています。当院でこれまで再生医療を受けられた患者様は、20名を超えており、当院が国内の肝臓再生医療をリードしていると自負しています。幹細胞点滴を行った後、肝臓の数値が改善するだけでなく、長年苦しまれていた倦怠感や腹水、黄疸といった自覚症状の改善が得られるケースが多数みられており、確かな実績が得られてきています。また、当院では「幹細胞点滴をして終わり」ではなく、治療後のきめ細やかなアフターフォローにも力を入れており、患者様から大変ありがたいご評価をいただいております。これからも、日本全国におられる肝臓病で苦しむ患者様にとって、心から寄り添い、希望の光となる医療を引き続き実践してまいります。オンライン事前相談も受け付けておりますので、遠方の方もお気軽にお問い合わせください。パソコンやスマホの操作に不慣れな方は、診療時間内であれば、お電話でお問い合わせいただけます。外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話をかけ直させていただきます。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。