• 2026年7月14日

【肝臓病専門医が解説】C型肝炎治療ガイドライン2026年改訂!リバビリン後の最新治療選択肢と当院のサポート

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

2026年、C型肝炎治療において大きな変化が起きています。リバビリン(抗ウイルス薬)の製造販売中止が予定されており、日本肝臓学会はC型肝炎治療ガイドライン第8.4版を改訂しました。

この改訂では、リバビリンが使用できなくなることを踏まえた新たな治療フローチャートが示されています。今回は、C型肝炎の基礎知識から最新の治療選択肢まで、患者様にわかりやすくお伝えします。

■1. C型肝炎とは?

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで起こる肝臓の炎症性疾患です。日本では推定で約100万人がHCVに感染しているとされており、肝硬変・肝がんの主要な原因のひとつとなっています。

HCVは主に血液を介して感染します。1992年以前の輸血や血液製剤の使用、注射針の使い回し、医療処置などが主な感染経路でした。現在は輸血前検査が徹底されているため、輸血による新規感染はほぼ防がれています。一方で、感染していることを知らずに過ごしてきた方が多く、高齢者を中心に「気づかないC型肝炎」が社会問題となっています。

C型肝炎の厄介な点は、急性期には症状がほとんどなく、感染者の約70〜80%が慢性肝炎へと移行することです。C型慢性肝炎を放置すると、10〜30年かけて肝線維化→肝硬変→肝がんへと進行するリスクがあります。65歳以上のC型慢性肝炎の患者様は、肝硬変を経ずにいきなり肝がんへと進行することもあります。このように年齢を重ねるほど進行が早まるとされているため、早期発見・早期治療が極めて重要です。

■2. C型肝炎の病態と肝臓への影響

HCVが体内に侵入すると、免疫システムがウイルスを排除しようとして肝細胞を攻撃します。この炎症が長期間続くことで、肝細胞が繰り返し破壊・修復され、やがて線維組織(コラーゲン)に置き換わっていきます。これが「肝線維化」であり、最終的に肝臓全体が硬くなる「肝硬変」へと進展します。

肝硬変になると、肝臓の機能が著しく低下します。主な症状としては、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、腹水(お腹に水が溜まる)、浮腫(足のむくみ)、肝性脳症(意識障害・混乱)などが現れます。また、食道・胃静脈瘤が発生し、破裂すると大量出血を引き起こす危険性があります。

さらに、C型肝硬変では、年間約5〜7%の確率で肝細胞がんが発生するとされています。そのため、C型肝炎・肝硬変の患者様には、定期的な腹部超音波検査・腫瘍マーカー検査(AFPやPIVKA-Ⅱなど)による肝がん監視が不可欠です。

■3. 2026年のC型肝炎治療:ガイドライン改訂のポイント

2026年、C型肝炎治療に大きな変化が生じました。リバビリンの製造販売中止が予定されており、日本肝臓学会はC型肝炎治療ガイドライン(第8.4版)を改訂しました。以下が主なポイントです。

【DAA(直接作用型抗ウイルス薬)が主役】

現在のC型肝炎治療の主役は、インターフェロンを使わないIFNフリーのDAA(直接作用型抗ウイルス薬)です。代表的な薬剤にはソホスブビル/ベルパタスビル(エプクルーサ)、グレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット)、レジパスビル/ソホスブビル(ハーボニー)などがあります。これらのDAAは8〜12週間の服用でウイルスの排除(SVR:持続的ウイルス学的著効)が95%以上の確率で達成できます。

【リバビリン使用不可後の対応】

リバビリンが使用できなくなることで、リバビリン+DAAの併用療法が選択できなくなります。ガイドライン第8.4版では、特にIFNフリーDAA前治療不成功例(DAAを使ったが効果がなかった方)に対する代替治療フローチャートが追記されました。具体的には、レジパスビル/ソホスブビル(ハーボニー)等を用いた再治療プロトコルが選択肢として示されています。

【未治療の方への強いメッセージ】

C型肝炎は現在、高い確率で「治る病気」になっています。「以前治療したが効果がなかった」「副作用が怖くて治療を躊躇していた」という方も、最新のDAAであれば副作用が少なく、短期間で治療が完了します。ぜひこの機会に当院までご相談ください。

■4. 院長の研究から—アルコール性肝障害と腫瘍マーカー、肝線維化の評価

C型肝炎治療においては、肝がんの早期発見も極めて重要な課題です。私は、肝疾患における腫瘍マーカーに関する研究を長年行っており、特にアルコール性肝障害における新しい腫瘍マーカーNX-DCP-Rの有用性について研究成果を報告しています。

腫瘍マーカーの精度を高めることは、C型肝炎関連の肝がんを早期に発見し、治療成績を向上させることに直結します。この研究をもとに、当院では肝がんの高リスク患者様に対して、複数の腫瘍マーカーを組み合わせた精密なサーベイランスを行っています。

※参考論文:Cancer Biomark 2016; 16(1): 171-180

さらに、肝線維化の評価に関する研究では、NX-DCP(PIVKA-II)を用いた新しい肝線維化予測モデルを開発し、肝生検(組織検査)を行わずに肝臓の線維化程度を評価する手法の確立に貢献しています。

※肝線維化の予測モデルに関する院長の研究については、こちらの論文をご参照ください。

■5. 当院のC型肝炎・肝硬変診療体制と再生医療の希望

さいとう内科クリニックでは、C型肝炎の診断から治療、治療後のフォローアップまで一貫した体制を整えています。

【C型肝炎検査】

HCV抗体検査(スクリーニング)→HCV-RNA定量検査(ウイルス量の測定)→HCVジェノタイプ(型別)検査という流れで診断を行います。「C型肝炎かもしれない」と思ったら、まず血液検査を受けてみましょう。

【DAA治療の実施】

当院では最新のDAAを用いたC型肝炎治療を行っています。患者様のHCVジェノタイプ・肝線維化の程度・過去の治療歴に応じて最適な薬剤を選択します。服薬期間は通常8〜12週間で、ほとんどの方が外来通院のみで治療を完了できます。

【治療後のフォローアップと肝臓再生医療】

C型肝炎が治癒(SVR)しても、ウイルスという火種が消えただけで、長年の延焼によって硬くなった肝臓の「焼け跡(線維化)」はすぐには元に戻りません。そのため、治療後も6カ月毎に腹部超音波検査と腫瘍マーカー検査(AFP、PIVKA-IIなど)を行い、肝がんの早期発見に努めることが不可欠です。

院長は、C型肝炎治療にてSVRが得られたのち、18年経過してから肝がんを発症した症例を医学英文雑誌にて報告しました。

※参考論文(Clin J Gastroenterol 2012; 5(2): 119-126):

SVR後18年という極めて長い期間を経て肝がんを発症したケースは世界で初めてであり、SVR後の長期にわたる肝がんサーベイランスの重要性を広く示すことができたのではないかと思っています。SVR後に肝がんを発症しやすいケースの特徴として、

1)生活習慣病(高血圧症、糖尿病、脂質異常症)のコントロールが不十分である

2)B型肝炎ウイルスに一度は感染したことがある(HBc抗体陽性)

ということも報告しました。

こういったリスクのある患者様は、特にしっかりと長期にわたって定期的に、腹部超音波検査と腫瘍マーカー検査にて根気強くフォローしていかないといけません。

また、当院では、ウイルス排除後の硬くなった肝臓の修復を根本からサポートするために、患者様ご自身の細胞を用いた「肝臓再生医療(幹細胞治療)」という新たな治療選択肢もご提案しております。ウイルスが消えた後、肝硬変になってしまった方や倦怠感が続いている方、将来肝がんになるのではないかと不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。当院で実施している肝臓再生医療は、幹細胞点滴後半年から1年くらいで、肝線維化を抑え、将来的な肝がんリスクを軽減するといったデータが出てきています。また、日常生活に支障のある倦怠感といった自覚症状の改善についても報告しています。

■6. C型肝炎は「治る病気」、不安な方は当院へ相談を

2026年のC型肝炎治療ガイドライン改訂は、リバビリン製造販売中止という変化に対応した重要な更新です。現在のDAAによるC型肝炎治療は非常に効果が高く、多くの方でウイルスを完全に排除できます。

C型肝炎は「昔の病気」ではありません。今も多くの方が感染していることに気づかずに生活しています。特に40〜70代の方は、一度C型肝炎の検査を受けることを強くお勧めします。自治体の無料肝炎ウイルス検査や、当院での血液検査で簡単に調べることができます。

「C型肝炎の治療を受けたい」「昔治療したが再検査したい」「肝硬変と言われ不安」という方は、神戸市西区のさいとう内科クリニックにぜひご相談ください。肝臓病専門医として、最新の知見を踏まえた最適な治療をご提供します。遠方にお住まいの方や、すぐに来院が難しい方のために、Curon(クロン)を利用したオンラインでの事前相談も受け付けております。パソコンやスマホの操作に不慣れな方は、診療時間内であれば、お電話でお問い合わせいただけます。外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話をかけ直させていただきます。どうぞ、お一人で悩まず、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
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さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。