- 2026年9月7日
【肝臓病専門医が解説】健診結果から自分で計算できる?「FIB-4インデックス」と肝臓再生医療の可能性

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
「健康診断の血液検査表をもらったけれど、自分の肝臓が硬くなっていないか心配」
「お酒を飲まないのに脂肪肝と言われ、肝硬変になっていないか確かめたい」
外来でこのようなご相談をいただくことが増えています。
肝臓の線維化(硬さ)を調べるには精密な検査が必要と思われがちですが、実はお手元の健診結果表に載っている「年齢」「AST」「ALT」「血小板数」の4つの項目だけで、肝臓の硬化リスクを推測できる計算式があります。それが「FIB-4(フィブフォー)インデックス」です。
今回は、肝臓病専門医の視点から、FIB-4インデックスの計算方法や基準値(カットオフ値)の見方、肝硬変・肝がんリスクとの関わり、そして当院が注力する「肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)」における意義について詳しく解説します。
■ 1. FIB-4インデックスとは:日常の血液検査から肝臓の硬さを推測する指標

肝臓は慢性的な炎症を受け続けると、徐々にコラーゲンなどの線維組織が増えて硬くなり、やがて「肝硬変」や「肝がん」へと進行していきます。
この線維化の進行度を身体に負担をかけずにスクリーニングするために開発されたのが「FIB-4インデックス(FIB-4 index)」です。
もともとはB型・C型肝炎などのウイルス性肝炎患者を対象に開発されましたが、現在では日本肝臓学会のガイドラインをはじめ、お酒を飲まない人の脂肪肝(MASLD/MASH)の重症化リスクを見落とさないための世界標準スクリーニングツールとして広く普及しています。
■ 2. FIB-4インデックスの計算式とメカニズム

FIB-4インデックスは、以下の計算式で求められます。
FIB-4 index = (年齢 × AST) ÷ (血小板数 × √ALT)
※血小板数の単位は「10^9/L」を用います(一般的な健診結果の「〇〇万/μL」の数字をそのまま当てはめれば計算できます。例:血小板20万なら「20」)。
なぜこの4つの数値で肝臓の硬さが推測できるのでしょうか。そこには明確な医学的理由があります。
・ASTとALTの比率(AST/ALT比)
肝障害の初期はALTが優位に上がりますが、線維化が進んで肝硬変に近づくと、肝細胞の破壊や肝臓でのクリアランス低下により「ASTがALTを上回る」逆転現象が起こります。
・血小板数の減少
肝臓が硬くなると門脈圧が上がり、脾臓に血液がうっ滞して血小板が過剰に破壊されます。また、肝臓で作られる血小板産生ホルモン(トロンボポエチン)も減少するため、線維化が進むほど血小板数は明確に減っていきます。
・年齢の加味
肝臓の線維化は長年の炎症の蓄積によって進むため、加齢とともにリスクが上昇します。
■ 3. 数値の見方とカットオフ値(リスク分類)

一般的に、FIB-4インデックスは以下の3つの段階に分類して評価されます。
・1.30 未満(65歳以上の場合は2.00未満):低リスク群
肝臓の線維化が進んでいる可能性は極めて低い状態です。年に1回の定期健診を継続しましょう。
・1.30〜2.67:中リスク群(グレーゾーン)
線維化が進行している可能性を否定できません。生活習慣の改善を図るとともに、肝臓病専門医による腹部超音波検査などの精密検査が推奨されます。
・2.67 以上:高リスク群
高度な線維化(肝硬変の一歩手前〜肝硬変)が強く疑われる危険な状態です。放置すると将来の肝不全や肝がん発症リスクが急上昇するため、速やかに肝臓病専門医を受診してください。
※注意点:計算式に「年齢」が含まれるため、20〜30代の若年層では線維化が進んでいても低く出やすく、70代以上の高齢者では線維化が軽くても高めに出る傾向があります。確定診断には肝臓病専門医による複合的な検査が必要です。
■ 4. 肝臓病専門医の視点:血液データと画像診断の組み合わせが命を守る

私自身も、患者様に身体的負担をかけない血液マーカーを用いた肝線維化予測モデルの研究に取り組んでまいりました。
※出典:
日常の診療では、FIB-4インデックスによる簡易スクリーニングだけで終わらせてはいけません。当院では、FIB-4インデックスが高値であった患者様に対し、より肝臓特異的な血液糖鎖マーカー「M2BPGi」の測定や、肝臓の硬さを直接数値化・カラーマップ表示できる「超音波エラストグラフィー検査」を組み合わせて実施しています。
痛みを伴う肝生検(針生検)を行わなくても、血液データと超音波技術を融合させることで、肝臓が現在どのステージ(F0〜F4)にあるのかを極めて正確に診断することが可能です。
■ 5. 肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)とFIB-4インデックス

「健診で計算したらFIB-4インデックスが2.67を超えていた」
「すでに肝硬変と診断され、これ以上の悪化を食い止めたい」
従来の標準治療では、食事・運動療法や原因治療によって「これ以上進行させないようにする」ことで精一杯であり、一度カチカチに硬くなってしまった肝臓を再び元の柔らかさに戻すことは極めて困難とされてきました。それどころか、長い目で見ると、少しずつ肝機能が低下していってしまう傾向にあります。
そこで当院がご提案しているのが、厚生労働省に再生医療等提供計画を受理された医療機関として実施する「自己脂肪由来幹細胞治療(肝臓再生医療・自由診療)」です。
・幹細胞がもたらす組織修復のアプローチ
患者様ご自身のお尻の皮下脂肪組織から採取し抽出した幹細胞を安全に培養し、点滴で投与します。血管を通じて傷ついた肝臓へ集まった幹細胞は、慢性的な炎症を抑え、過剰なコラーゲン線維の蓄積を食い止める生理活性物質(パラクライン因子)を放出し、残された健全な肝細胞の再生環境を整えます。
・治療経過を多角的に把握するスクリーニング指標
再生医療の前後において、FIB-4インデックスは身体に負担をかけずに継続測定できる便利な指標となります。治療後にアルブミンやプロトロンビン活性、コリンエステラーゼなどの肝合成能が向上し、血小板数やAST/ALT比が安定してFIB-4インデックスが改善傾向を示せば、肝組織の環境が好転している客観的な目安のひとつとなります。
■ 6. まとめ・受診のご案内

FIB-4インデックスは、沈黙の臓器である肝臓のSOSサインを、過去の健診結果から今すぐ見つけ出すことができる優れたツールです。
「自覚症状がないから」「お酒を飲まないから」と過信せず、もし計算した数値が1.30を超えている場合や、2.67以上の高リスク群に該当する場合は、ためらわずに肝臓病専門医の診察を受けてください。
・健康診断の数値から計算したらFIB-4インデックスが高かった
・脂肪肝や慢性肝炎から肝硬変になっていないか心配だ
・肝硬変の進行を食い止め、再生医療という最先端の治療選択肢を詳しく知りたい
神戸市西区のさいとう内科クリニックでは、院長が精密な血液検査や腹部超音波検査、超音波エラストグラフィー検査を駆使して的確に診断し、治療計画を立てています。そして、従来の標準治療と最先端の再生医療の両方ともに精通している院長が、患者様一人ひとりに合わせた治療プランをご提案しています。当院では、症状がまだ現れていない肝炎や代償性肝硬変の患者様だけでなく、腹水や足のむくみ、黄疸、肝性脳症など症状のある多くの非代償性肝硬変の患者様にも、再生医療による治療実績があります。幅広い肝硬変患者様にとって可能性を秘めた治療法であると考えています。
遠方にお住まいで直接の受診が難しい患者様のために、ご自宅にいながらスマートフォンで相談いただける「オンライン事前相談(Curon)」体制を整えております。また、インターネットの操作が苦手な方は、診療時間内にお電話にて相談していただいても構いません。院長の外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話を折り返しご連絡させていただきます。
まずはご自身の肝臓の現在地を正しく知ることから始めましょう。大切な肝臓を守るために、どうぞお気軽にご相談ください。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
