• 2026年10月10日

【肝臓病専門医が解説】お酒を飲まなくても脂肪肝に?注意すべき「4つのNG食習慣」と予防法

こんにちは。

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「お酒はほとんど飲まないし、脂っこい食事も控えている。それなのに、健康診断で『脂肪肝』を指摘されて驚いた」という経験はありませんか?

「脂肪肝=お酒の飲み過ぎや食べ過ぎ」というイメージを持たれがちですが、実は近年、お酒を飲まない人でも脂肪肝になるケース(MASLD:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)が急増しています。その大きな原因となっているのが、日常の何気ない「食べ方」や「食事のタイミング」です。

今回は、肝臓病専門医の視点から、お酒を飲まない人に脂肪肝が起こるメカニズムや、無意識にやりがちな「4つのNG食習慣」、今日からできる改善のコツを分かりやすく解説します。

■ 1. お酒を飲まないのに脂肪肝になる?意外なメカニズム

脂肪肝は、1日の摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、余ったエネルギーが肝臓に「中性脂肪」として蓄積することで発生します。

しかし、原因は単に「エネルギーの摂り過ぎ」だけではありません。近年注目されているのが、「血糖値を急激に上げる食べ物や食べ方(血糖値スパイク)」です。

  1. 糖質を一度に多く摂ると、血糖値が急上昇する。
  2. 血糖値を下げるために、膵臓から「インスリン」というホルモンが大量に分泌される
  3. インスリンには「余った糖を中性脂肪として蓄える働き」があるため、肝臓にも脂肪が溜まりやすくなる。

つまり脂肪肝は、「何を食べるか」だけでなく、「いつ・どのように食べるか」という毎日の食習慣が深く影響しているのです。

■ 2. 無意識にやっていない?脂肪肝を招く「4つのNG食習慣」

脂肪肝を引き起こしやすい食べ癖には、「エネルギーの摂り過ぎ」と「血糖値の急上昇」という2つの共通点があります。特に注意したい4つの習慣をチェックしてみましょう。

① 早食い

早食いは、脳が満腹感を得る前(約20分以内)に食べ過ぎてしまうだけでなく、一気に糖質が体内に入るため血糖値が急上昇します。その結果、インスリンが多く分泌されて脂肪が蓄積しやすくなります。

② 夜中のドカ食い

夜は日中に比べてエネルギーを消費しにくい時間帯です。遅い時間(就寝前3時間以内など)にボリュームのある食事をとると、使い切れなかったエネルギーがそのまま肝臓に中性脂肪として蓄えられてしまいます。

③ 甘い飲み物の習慣化

清涼飲料水や甘いカフェオレ、スポーツドリンクなどは糖質が多く、血糖値を一気に跳ね上げます。特にジュースなどに多く含まれる「果糖(フルクトース)」は、ブドウ糖と違って筋肉で代謝されず、ほぼ肝臓でのみ直接代謝されるため、ダイレクトに中性脂肪に変わって脂肪肝に陥りやすい性質があります。

④ 朝食などの「欠食」

食事を抜いて次の食事まで長い時間が空くと、体が飢餓状態だと勘違いし、その後の食事で糖の吸収が亢進して血糖値が急上昇しやすくなります。また、空腹感から次の食事でドカ食いしてしまう原因にもなります。

【肝臓病専門医の視点:見た目が痩せていても油断できない内臓脂肪リスク】

「自分は太っていないから大丈夫」という過信は禁物です。私の臨床研究では、見た目が太っていなくても内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の方は、将来的な肝がん治療後の生存率や予後に悪影響を及ぼすことを明らかにしています。体重の数字以上に、偏った食習慣によって肝臓の中身が「フォアグラ化」していないかを意識することが大切です。

※出典:

■ 3. 今日からできる!血糖値を急上昇させない食事のコツと「肝活」

食習慣を一気にすべて変えるのは難しいため、まずは「血糖値を急激に上げない工夫」から少しずつ始めていきましょう。

・清涼飲料水を「水・お茶・無糖」に変える

ジュースや甘い缶コーヒーを、水やお茶、無糖のブラックコーヒー、炭酸水などに置き換えます。果物を摂る際も、ジュースではなく生のフルーツとして適量(1日握りこぶし1個分程度)を食べると、食物繊維の働きで血糖値の上昇を抑えられます。

・「ベジファースト」と「一口30回」

食事の最初は野菜や海藻、きのこなどの食物繊維から食べましょう。そして、一口につき30回ほど噛むことを意識すると、満腹感を得やすくなり、血糖値の急激な上昇を防ぎます。

・夕食は就寝の「3時間前」までに済ませる

遅い時間の食事は控え、なるべく寝る3時間前までに済ませるのが鉄則です。仕事などで遅くなった場合も完全な絶食は避け、豆腐や白身魚など「低脂質で消化の良い軽めのメニュー」を選びましょう。

■ よくあるご質問(Q&A)

Q1. 朝食は手軽な「菓子パン」でも良いですか?

A1. 肝臓病専門医としてはおすすめできません。菓子パンの多くは精製された砂糖などの糖質と、マーガリンなどのトランス脂肪酸の塊であり、肝臓にとっては「大ダメージのセット」になってしまいます。朝食は抜かずに、卵や納豆、青魚などの良質なタンパク質を組み合わせたメニューを心がけてください。

Q2. 脂肪肝を治すために、糖質を完全に抜くダイエットをしても良いですか?

A2. 極端な糖質制限や過度な絶食ダイエットは避けてください。体に必要なタンパク質やエネルギーが不足すると、生命の危機を感じた体が全身の脂肪を肝臓へ無理やり集めようとし、かえって「低栄養性脂肪肝」という危険な状態を招いてしまいます。主食の量を半分にする「糖質ちょいオフ」など、バランス良く食べることが基本です。

Q3. 食後はすぐに運動して脂肪を燃やしたほうが良いですか?

A3. 食後すぐの運動は胃腸に負担をかけ、消化不良を起こすため望ましくありません。むしろ食後30分〜1時間は、体の右側を下にして横になる「ごろ寝(うとうとする程度の安静)」をおすすめします。横になる姿勢は立っている時よりも肝臓への血流量が約1.5倍に増え、エネルギー代謝や傷ついた肝細胞の修復がスムーズに行われるようになります。

■ 決して諦めない肝臓再生医療という選択肢

脂肪肝は初期症状がほとんどないため、放置されがちな病気です。しかし、「お酒を飲まないから大丈夫」と油断していると、気づかないうちに炎症を伴うMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)や肝硬変へと進行するリスクがあります。

まずは「甘い飲み物をお茶に変える」「夕食の時間を早める」など、無理のない一歩から試してみてはいかがでしょうか。

もし、生活習慣を改善しているにもかかわらず肝機能の数値が良くならない場合、すでに肝臓が硬くなる「線維化」が進行している可能性があります。当院では、標準治療だけでは改善が難しい進行した肝疾患に対して、「肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)」という新たな治療選択肢もご提案しています。ご自身の脂肪から取り出した幹細胞を培養し、点滴で体内に戻す治療です。

  1. 脂肪の採取:針を使って少量の脂肪を採取します。大きく切る手術ではありません。
  2. 培養:専門の細胞培養施設で幹細胞を増やします。1回の採取で、約6回分の幹細胞点滴に使える細胞を保管できます。
  3. 点滴:培養した幹細胞を点滴で体内に戻します。2回目以降は、保管した細胞から約8週間かけて新しく培養します。

ご自身の細胞を使うため、拒絶反応の心配が極めて少ない治療法です。また、体内に戻した幹細胞が肝臓の慢性炎症を抑え、線維化の進展抑制をサポートします。

実際に当院で肝臓再生医療を受けられた患者様(30名)で、幹細胞点滴後、半年から1年を経て、肝臓の数値の改善や、倦怠感、腹水、下肢のむくみ、黄疸、肝性脳症の改善がみられるケースを多数報告させていただいております。今後の肝臓再生医療による治療効果に大いに期待しております。

遠方にお住まいの方や、長時間の移動が体に堪えるという患者様のために、当院ではご自宅にいながらスマートフォンで受診できる「オンライン事前相談」を行っています。お手元にある直近の血液検査結果データや画像データ(CT・MRI・エコー等)をご用意いただき、現在の全身状態や体力を丁寧に伺った上で、再生医療の適応があるかどうかを肝臓病専門医である院長が総合的に判断いたします。

また、「インターネットやスマートフォンの操作が苦手」という患者様やご家族様は、どうぞ直接、診療時間内に当院へお電話をおかけください。お電話をいただきましたら、まずは再生医療に精通した専任スタッフが状況をお伺いし、院長から詳しくご説明をさせていただくお時間をご案内いたします。

他院で治療法がないと言われた患者様も決して諦めないでください。標準治療と再生医療の両方ともに精通している院長が、事前相談から検査、脂肪採取、幹細胞点滴、治療後のフォローまで⼀貫して行っていますのでどうぞご安心ください。豊富な診療実績に基づき、お一人おひとりの状態に応じた最適な治療方針をご提案いたします。未来の肝臓の健康を二人三脚で守っていきましょう。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。