• 2026年5月18日

【肝腎要】肝臓と腎臓を同時に守る!医師が教える「制限しすぎない」食事のコツ

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

昔から極めて重要なことを「肝腎要(かんじんかなめ)」と言いますが、これは人間の体において「肝臓」と「腎臓」が命を左右するほど大切な臓器であることを表しています。

肝臓は体に必要なものを取り込み、腎臓は不要なものを尿として出すという「出し入れ」の連携プレーを行っています。そのため、健康寿命を延ばすには、この2つの臓器をセットで守ることが不可欠です。今回は、肝機能と腎機能を守るための「制限しすぎない食事のコツ」をお話しします。

■1. まずは「食事量を落とさないこと」を徹底する

肝臓や腎臓の数値が気になり始めると、真面目な方ほど厳しい食事制限をしてしまいがちです。しかし、トータルの食事量を減らして食を細らせてしまうのは非常に危険です。

栄養が足りなくなると、体は自分の筋肉を分解してエネルギーを補おうとします。すると筋肉量が減り、フレイル(虚弱)のリスクが高まるだけでなく、筋肉が分解される過程で生じるアンモニアや尿素などの老廃物によって、肝臓と腎臓にさらなる負荷をかけてしまうのです。

【肝臓病専門医の視点:筋肉は第2の肝臓】

肝臓が悪くなると、本来肝臓で行われる「アンモニアの解毒」が追いつかなくなります。その際、代わりに解毒を担ってくれるのが「筋肉」です。私は臨床研究により、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を摂取してエネルギー代謝を維持することが、肝臓の負担を軽減する鍵であることを実証しています。食事量を確保し、筋肉を守ることは、肝臓を守ることに直結するのです。(出典:Intern Med 2014; 53(14): 1469-75

■2. たんぱく質は「質の良いもの」をしっかり摂る

「腎臓が心配だからたんぱく質を控える」という考え方もありますが、控えすぎは禁物です。大切なのは、量以上に「質」と「効率」です。

夜のメインディッシュには、必須アミノ酸が豊富な「肉」や「魚」を据えましょう。特におすすめなのが、タウリンを豊富に含むイカやタコなどの魚介類です。

【世界に先駆けた報告:タウリンとカルニチンの相乗効果】

私は国際医学誌において、血清タウリン値が高いほど、L-カルニチンによる肝機能(潜在性肝性脳症)の改善効果が高いことを世界に先駆けて報告しました。これらは筋肉のエネルギー代謝を助け、肝臓と腎臓の連携をスムーズにします。質の良いたんぱく質を賢く摂ることが、肝腎を守る近道です。(出典:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224

■3. 厳しい「塩分制限」で食の楽しみを奪わない

腎臓のために厳しい減塩を求められ、食欲を落としてしまうのは本末転倒です。血圧対策は塩分制限だけではありません。

たとえば、糖質(特に果糖など)を控え、内臓脂肪(脂肪肝)を減らすだけでも、血圧は安定してきます。無理な我慢を重ねるよりも、まずは「肝臓の脂肪を減らすアプローチ」から血圧を下げ、美味しく食べる喜びを維持するほうが、結果的に腎臓にも良い影響をもたらします。

■ おわりに:美味しく食べて、健康な肝腎を

肝臓も腎臓も「沈黙の臓器」です。症状が出てからでは、食事の選択肢がさらに狭まってしまいます。だからこそ、まだ美味しく食べられる今のうちに、正しい知識に基づいた食習慣を身につけることが、何よりの予防薬になります。

「自分の腎機能のステージで、肉を食べていいの?」「だるさがあるのは、肝臓と腎臓どちらのせい?」など、少しでも不安があればいつでもご相談ください。私は、潜在性肝性脳症の早期発見や、カルニチン補充療法による脳症の改善効果についても多くの実績があります。

患者様お一人おひとりの数値に基づき、「食べる楽しみ」を捨てない治療方針を一緒に考えてまいりましょう。

■肝臓と腎臓のトータルケアをご希望の方へ

当院では、肝臓病専門医による精密な血液検査・腹部エコー検査と、それに基づくオーダーメイドの栄養指導を行っています。腎不全により人工透析を行っている患者様の中には、肝硬変を合併している患者様がおられます。当院では、人工透析を行っている肝硬変患者様の再生医療も行っています。今まで透析の時に除水しても腹水の改善が見られなかったのですが、再生医療を行うことで、腹水の改善が見られています。数値が気になる方は、ぜひ一度、オンライン事前相談をご活用ください。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。