• 2026年5月26日

なぜ肝臓の病気で「足のむくみ」や「こむら返り」が起きるのか?見逃してはいけない危険なサイン

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「最近、朝から足がパンパンにむくんでいる」

「日中や夜中に足がつって(こむら返り)、痛みでつらい思いをすることが増えた」

こうした足のトラブルを感じたとき、多くの方は「立ち仕事のせいかな」「運動不足かな」と考え、マッサージや市販の着圧ソックス、あるいは整形外科での受診を検討されるかもしれません。

しかし、実はその「足のサイン」が、沈黙の臓器と呼ばれる「肝臓」からの重大なSOSである可能性をご存知でしょうか。今回は、肝臓病と足の症状の意外な関係性と、見逃してはいけない危険な兆候について解説します。

なぜ「肝臓」が悪いと「足」に症状が出るのか?

肝臓は全身の代謝や解毒を司る巨大な化学工場ですが、その機能が低下すると、全く関係がないように思える足の先にまで影響が及びます。

・足のむくみ(浮腫)の原因:アルブミン不足

肝臓は、血液中に水分を引き寄せて留めておく「スポンジ」のような役割を持つ「アルブミン」という蛋白質を作っています。肝臓の機能が落ちてアルブミンが十分に作られなくなると、血液中の水分が血管の外へ漏れ出し、重力に従って足に溜まってしまいます。これが、肝性浮腫(かんせいふしゅ)と呼ばれる頑固なむくみの正体です。

・こむら返りの原因:アミノ酸の代謝異常と神経の過敏化

肝硬変などの患者様は、非常に高い確率でこむら返りを起こします。肝臓の働きが低下すると、肝臓で糖をグリコーゲンとして貯蔵しておくことが難しくなります。空腹時には、グリコーゲンを糖に変換して全身に糖を供給することができないため、糖の代わりにアミノ酸を消費してエネルギーを得ようとします。そこで、筋肉のエネルギー源となる「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」や、筋肉や神経の働きを安定させる「タウリン」などの重要なアミノ酸が体内で極端に不足します。これにより、筋肉の収縮をコントロールする神経が異常に興奮しやすくなり、頻繁に足がつるようになるのです。

単なる疲れと「肝臓病」を見分けるチェックリスト

足の症状以外に、以下のようなサインが重なっている場合は、肝臓病専門医への受診を強くお勧めします。

□足の甲を指で5秒間押すと、跡がくっきり残って戻りにくい
□白目の部分や皮膚が心なしか黄色っぽくなってきた(黄疸)
□手のひらが赤くなっている(手掌紅斑)
□お腹が張っている感じがする(腹水)
□以前よりも疲れやすくなり、体がだるい

これらの症状は、肝臓の病気が「脂肪肝」や「慢性肝炎」の段階を超え、「肝硬変」へと進行し始めている際によく見られる特徴です。

肝臓病専門医による適切な診断の重要性

足のむくみやこむら返りの原因を特定するには、マッサージなどの表面的なケアだけでは不十分です。

精密な血液検査とエコー検査

血液検査でアルブミン値や肝酵素(ALT、γ-GTPなど)を確認し、さらに超音波(エコー)検査で肝臓の形や硬さを直接チェックします。

肝臓病専門医による栄養管理とBCAAの知見

当院の院長は、BCAAを補給することで、エネルギー代謝(非蛋白呼吸商)が有意に維持、改善することを国際医学誌で報告しています。それにより足のむくみやこむら返りが起こりにくくなります。

(出典:Intern Med 2014; 53(14):1469-75

このように、こむら返りなどの筋肉のトラブルに対しても、こうしたアミノ酸代謝の専門的な知見に基づき、不足している栄養素を補う最適な食事指導や内服治療を組み合わせて改善を図ります。

進行した肝硬変への新しいアプローチ「再生医療」

もし検査の結果、肝硬変などの進行した状態で見つかった場合、標準的なお薬の治療だけでは、肝臓の合成機能を元のレベルまで回復させることは困難となります。

そのようなケースにおいて、当院では新たな治療法として「幹細胞を用いた肝臓再生医療」を提供しています。ご自身のお尻の脂肪から抽出した幹細胞を培養して増やしてから投与することで、肝臓の炎症を鎮め、硬くなった肝組織の修復を促します。

肝臓そのものが元気を取り戻し、自力でアルブミンを作り出せるようになれば、利尿剤などに頼らなくても「むくみ」や「こむら返り」といった根本原因の解決に繋がります。

まとめ:足のサインを放置しないでください

「たかがむくみ」「たかが足がつるだけ」と放置してしまうと、気づいたときには肝臓の病気が手遅れに近い状態まで進んでいることも少なくありません。足は、あなたの全身の健康状態を映し出す鏡です。

少しでも違和感を覚えたら、まずは肝臓病専門医によるチェックを受けてみませんか。

今の治療に「限界」を感じて諦めていませんか?

日々の診療の中で、「これ以上、今の標準治療だけでは肝機能を回復させることが難しい」と告げられ、流れに身を任せて諦めかけている患者様を数多く診てきました。

しかし、まだできることは残されていると思います。標準治療を受けただけで、もうどうにもならないと早々に諦めないでください。

さいとう内科クリニックでは、標準治療ではカバーしきれない進行した肝炎・肝硬変の患者様を少しでもサポートしたいという強い思いから、新たな治療選択肢として「幹細胞を用いた肝臓再生医療」を提供しています。当院で幹細胞点滴をして半年から1年経った頃には、足のむくみやこむら返り、倦怠感といった自覚症状が改善するケースが多数みられており、とても勇気づけられるデータが得られつつあります。

「もう打つ手がないのだろうか」と一人で抱え込まず、まずは当院にご相談ください。遠方の方やご来院が難しい方でも、ご自宅からお話しいただける「オンライン事前相談」を受け付けております。また、パソコンやスマホの操作が難しい方は、お電話でお問い合わせいただくことも可能です。院長の診察が一段落した後、こちらからお電話をかけ直させていただきます。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。