- 2026年8月18日
【肝臓病専門医が解説】健康診断の肝臓の数値を正しく読む完全ガイド|ALT・AST・γ-GTP・ALP・アルブミンからわかる「肝臓のSOS」

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
健康診断で「ALTが高い」「γ-GTPが引っかかった」と言われたものの、具体的に何が問題なのかわからず不安を抱えている方は多いでしょう。一方で、「ちょっと高いだけだし、症状もないから大丈夫」と結果表を引き出しにしまってしまう方も少なくありません。
しかし、肝臓は「沈黙の臓器」です。症状がないからと放置している間に、脂肪肝から肝炎、そして肝硬変へと静かに病状が進行してしまう恐れがあります。
今回は、肝臓病専門医の立場から、ALT・AST・γ-GTP・ALP・アルブミンなど主要な検査項目が持つ本当の意味と、異常値が出た際に手遅れになる前に取るべき行動について、詳しく解説します。
■ 1. ALTとAST:肝細胞ダメージの最重要指標と「真の理想値」

ALTとASTは、肝細胞の中に多く含まれている酵素です。肝臓がダメージを受けて細胞が壊れると、血液中に漏れ出します。
一般的な基準値は「30 U/L以下」や「40 U/L以下」とされていますが、肝臓病専門医が推奨する真の理想値は「ALT 16 U/L以下」です。基準値内であっても、ALTが16を超えている場合は、肝臓に脂肪が蓄積し始めている「隠れ脂肪肝」の可能性があります。
また、AST/ALTのバランスも重要です。ALTの方が高い場合は脂肪肝(MASLD)や慢性肝炎、ASTの方が高い場合はアルコール性肝障害や進行した肝硬変などが疑われます。
【肝臓病専門医の視点:数値が正常でも隠れ肥満に注意】
私の臨床研究では、体重やBMIが標準であっても、内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の方は、肝がん治療後の生存率や予後に悪影響を及ぼすことを明らかにしました。ALTの数値が基準値内だからと安心せず、16 U/L以下を目標に内臓脂肪を溜めない生活を心がけることが大切です。
※出典:
■ 2. γ-GTPとALP:お酒を飲まない人も要注意なマーカー

γ-GTPは肝臓の解毒作用に関わる酵素で、アルコールに敏感に反応します。しかし、お酒を一滴も飲まない人でも、糖質過多や運動不足による脂肪肝(MASLD)、薬の副作用などで数値が上昇します。
ALPは、γ-GTPと同時に高い場合、胆道疾患(胆石や原発性胆汁性胆管炎など、胆汁の流れが滞る病気)を強く示唆します。
■ 3. アルブミン:肝臓の「合成能力」を測る生命線

アルブミンは、100%肝臓で作られるタンパク質で、血管内に水分を保つ「ダム」や栄養の「運び屋」の役割を担います。正常値は4.0〜5.0 g/dLですが、3.5未満になると、肝臓の製造能力が著しく低下しており、進行した肝硬変が疑われる非常に危険なサインです。腹水や足のむくみ、肝性脳症といった深刻な合併症のリスクが高まります。
肝臓の検査値の目安
- ALT:16 U/L以下が理想。30を超えると脂肪肝や肝炎などの疑い。
- AST:30 U/L以下が目安。心筋梗塞や筋疾患でも上昇する。
- γ-GTP:男性50 U/L以下、女性30 U/L以下が理想。飲酒、脂肪肝、胆道疾患で上昇。
- アルブミン:4.0〜5.0 g/dLが正常。3.5未満は肝硬変など肝臓の著しい機能低下を示唆。
■ 4. 肝臓を守る!今日からできる実践的な改善戦略
肝機能異常の多くは、生活習慣の見直しによって改善が期待できます。
糖質の「ちょいオフ」とベジファースト

脂肪肝の主な原因は脂質ではなく糖質の摂りすぎです。ご飯の量を少し減らし、野菜から食べることで血糖値の急上昇を防ぎます。
食後の「ごろ寝」習慣

食後すぐに30分〜1時間ほど横になって安静にすることで、肝臓への血流が1.5倍に増え、肝臓の修復やアルブミンの合成が促進されます。
筋肉(第2の肝臓)を鍛える

スクワットなどの筋トレを取り入れ、筋肉の代謝を上げることで肝臓の負担を減らしましょう。
禁酒・休肝日

お酒を飲む場合は適量を守り、休肝日(週2日以上)を設けることが必須です。
肝臓病専門医による正確な診断

血液検査だけでなく、腹部エコー(超音波)検査で肝臓の脂肪のつき具合や硬さ(線維化)を直接確認することが極めて重要です。
【肝臓病専門医の深掘り:肝臓の線維化を早期に察知する】
肝臓の硬さ(線維化)の進行度合いは、血液検査の数値だけでは見抜けないことがあります。私は、体に負担をかけることなく血液データから肝線維化の程度を正確に予測する評価モデルの研究・開発を行っており、エコー検査と組み合わせて精緻な診断に役立てています。
※出典:
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1. 筋トレを始めたらASTとALTの数値が上がったのですが、肝臓が悪くなったのでしょうか?
A1. 激しい筋力トレーニングを行うと、筋肉がダメージを受けて修復される過程で、筋肉にも含まれるASTやALTが一時的に血液中に漏れ出し、数値が上昇することがあります。しかし「筋トレのせいだから大丈夫」と自己判断するのは危険です。その裏に隠れ脂肪肝などの肝疾患が潜んでいるケースも多いため、一度肝臓病専門医にご相談ください。
Q2. お酒を一滴も飲まないのにγ-GTPが高いと言われました。なぜですか?
A2. γ-GTPはアルコールだけでなく、糖質過多(甘いお菓子やジュース、果物など)による脂肪肝や、肥満、運動不足によっても上昇します。また、服薬している薬の副作用や、胆道系の異常が隠れていることもあるため、お酒を飲まないからと安心せず、詳しい検査を受けることをお勧めします。
Q3. ALTの数値が「要経過観察(少し高い)」程度なら、放置していても良いですか?
A3. 肝臓は沈黙の臓器であり、数値が「少し高い」状態でも、肝臓の中では細胞が壊れ続ける「慢性的な炎症」が起きています。これを放置すると徐々に肝臓が硬く線維化し、肝硬変へと進むリスクがあります。早めの生活習慣の改善と、エコー検査での確認が大切です。
Q4. アルブミンの数値が下がってしまった場合、プロテインをたくさん飲めば上がりますか?
A4. プロテインを飲むだけでは上がりません。アルブミン低下の原因はタンパク質不足ではなく「肝臓の合成能力自体の低下」にあるためです。無理なタンパク質補給はかえって肝臓や腎臓に負担をかけるため、BCAAの活用や肝臓病専門医の指導のもとで治療を行うことが必要です。
Q5. 健診結果で「要再検査」や「要精密検査」が出たら、いつまでに受診すべきですか?
A5. 可能であれば1ヶ月以内、遅くとも3ヶ月以内の受診をおすすめします。放置している間にも静かに進行する可能性があるため、放置せず早めに肝臓病専門医のいる医療機関を受診してください。
■ 5. 頑張っても肝臓の数値が下がらない方へ——「肝臓再生医療」という新たな希望

食事や運動を見直しても肝臓の数値が改善しない場合、すでに肝臓が硬くなる「線維化(肝硬変)」が進み、自力での修復が難しくなっている可能性があります。
「もう治らない」と諦める前に、当院が提供する「肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞療法)」をご検討ください。患者様ご自身のお尻の脂肪から採取・培養した幹細胞を点滴で体内に戻すことで、肝臓の炎症を鎮め、硬くなった組織の修復を促し、本来の機能を根本から立て直す(フルリノベーションする)最先端の治療法です。
■ まとめ&今すぐ実行できるチェックリスト

健康診断の結果は、未来の健康を変えるためのスタート地点です。
□ご自身の「ALT」が16以下か確認した
□最後に腹部エコー検査を受けた日付を確認した
□糖質を少し減らし、食後のごろ寝を実践することを決めた
□肝臓病専門医への相談をスケジュールに入れた
神戸市西区のさいとう内科クリニックでは、肝臓病専門医の視点から、徹底した標準治療と最新の再生医療の両軸で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
遠方にお住まいで通院が難しい方や、まずは話を聞いてみたいという方のために、自宅にいながらスマホで受診できるオンライン事前相談(Curon)を行っております。インターネットでの操作が苦手な方は、診療時間内に気軽にお電話でご相談ください。院長の外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話をかけ直させていただきます。
大切な肝臓の未来を、私たちと一緒に変えていきましょう。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
