- 2026年9月2日
【肝臓病専門医が解説】総ビリルビン(T-Bil)高値と黄疸のサイン|肝硬変の進行度から肝臓再生医療の可能性まで

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
血液検査で「総ビリルビン(T-Bil)」の数値が高く、「黄疸(おうだん)が出ているのではないか」「肝臓の病気が悪化しているのでは」と心配になっていませんか?
ASTやALTが「肝細胞のリアルタイムな炎症」を示し、アルブミンが「肝臓の合成力」を反映するのに対し、総ビリルビンは「肝臓が老廃物を正常に処理し、体外へ排出できているか(解毒・排泄力)」をダイレクトに映し出します。
特に肝障害が進行して肝硬変へと移行すると、肝臓の処理能力が追いつかなくなり、血中のビリルビンが上昇して皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れます。
今回は、肝臓病専門医の視点から、総ビリルビンの基礎知識や基準値、数値が上がる原因、肝硬変の重症度との関係、そして当院で提供している「肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)」における意義について詳しく解説します。
■ 1. 総ビリルビンとは:老廃物の処理状態を映す黄色い色素

ビリルビンは、寿命(約120日)を迎えた赤血球中のヘモグロビンが脾臓などで分解される際に作られる「黄色い色素(老廃物)」です。
体内におけるビリルビンの代謝は、次のようなステップをたどります。
・間接ビリルビン(処理前)
脾臓で作られたばかりのビリルビンです。水に溶けにくく毒性があるため、血液中ではアルブミンと結合して肝臓へと運ばれます。
・直接ビリルビン(処理後)
肝臓に取り込まれ、グルクロン酸抱合という解毒処理を受けて水に溶けやすい形に変換されたビリルビンです。胆汁の成分として胆管を通り、十二指腸へと排泄されます。
通常の血液検査で測定される「総ビリルビン(T-Bil)」は、この2つの合計値(間接ビリルビン + 直接ビリルビン)です。数値に異常がある場合は内訳を調べ、肝細胞の障害なのか、胆管の詰まりなのか、赤血球の破壊なのかを鑑別します。
■ 2. 総ビリルビンの基準値と黄疸(おうだん)の症状

血清総ビリルビンの一般的な基準値は「0.2〜1.2 mg/dL」程度です。
・1.3〜1.9 mg/dL:軽度上昇。自覚症状はほぼありませんが、肝障害や体質性の要因を精査する段階です。
・2.0〜3.0 mg/dL:眼球黄染の出現。白目の部分がうっすらと黄色く色づき始めます。
・3.0 mg/dL 超:明らかな黄疸。皮膚全体が黄色くなり、尿の色がウーロン茶のように濃くなる、皮膚の激しいかゆみ、全身のだるさなどを伴います。
■ 3. 総ビリルビンが上昇する3つの原因

ビリルビンが高くなる病態は、障害が起きている部位によって主に3つに分かれます。
① 肝細胞そのものの障害(肝細胞性黄疸)
肝細胞の破壊や機能低下により、ビリルビンの取り込み・抱合・排泄が滞る状態です。肝硬変をはじめ、進行した脂肪肝炎(MASH)、アルコール性肝障害、劇症肝炎、ウイルス性肝炎などが該当します。
② 胆汁の通り道の障害(閉塞性・胆汁うっ滞性黄疸)
肝臓で処理された後の胆汁が流れるルート(胆管)が、胆石や腫瘍(胆管がん、膵臓がんなど)で塞がれる状態です。この場合は直接ビリルビンが著明に上昇し、ALPやγ-GTPといった胆道系酵素も跳ね上がります。便が白っぽくなるのが特徴です。
③ 赤血球の過剰破壊や体質性の代謝異常
溶血性貧血などで赤血球が急激に壊れると、間接ビリルビンが過剰に産生されます。また、生まれつきビリルビンを処理する酵素の働きがやや弱い「ジルベール症候群」などの体質性黄疸もあります。体質性の場合は疲労や絶食時に一時的に数値が上がりますが、肝臓そのものは健康に保たれていることがほとんどです。
■ 4. 肝硬変の進行と「Child-Pugh分類」におけるビリルビン

肝硬変が進行するにつれて、残された肝細胞の絶対数が減少し、総ビリルビンを処理・排泄する力(肝予備能)が衰えていきます。
世界的に用いられる肝硬変の重症度指標「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」でも、ビリルビンは予後を占う重要項目です。
| 1点 | 2点 | 3点 | |
|---|---|---|---|
| 肝性脳症 | なし | 軽度(Ⅰ・Ⅱ度) | 昏睡(Ⅲ度以上) |
| 腹水 | なし | 少量(コントロール可能) | 中等量以上(コントロール困難) |
| 血清アルブミン値 (g/dL) | 3.5超 | 2.8〜3.5 | 2.8未満 |
| 血清総ビリルビン値 (mg/dL) | 2.0未満 | 2.0〜3.0 | 3.0超 |
| プロトロンビン時間 (%) | 70超 | 40~70 | 40未満 |
合計点による分類
| 合計点 | グレード | 状態 |
|---|---|---|
| 5〜6点 | A | 代償性肝硬変 |
| 7〜9点 | B | 中等度の肝予備能低下 |
| 10〜15点 | C | 非代償性肝硬変 |
・ビリルビン 2.0 mg/dL 未満:1点(代償期・良好)
・ビリルビン 2.0〜3.0 mg/dL:2点(要注意)
・ビリルビン 3.0 mg/dL 超:3点(非代償期・危険)
アルブミンの低下とともにビリルビンが2.0〜3.0 mg/dLを超えてくると、肝臓が本来の機能を補いきれなくなる「非代償期」へと移行しているサインです。黄疸だけでなく腹水や肝性脳症といった重篤な合併症が出現する危険度が一気に高まります。
■ 5. 肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)と総ビリルビン

「利尿薬や対症療法を続けているが、黄疸やだるさが抜けない」
「肝硬変が進み、これ以上悪化させないための手段を探している」
従来の標準治療では、ウルソデオキシコール酸の投与や減黄処置など対症療法的なアプローチが主となり、硬くなって働きを失った肝組織そのものを根本から回復させることは極めて困難です。
当院では、厚生労働省に治療計画を受理された医療機関として、進行した肝硬変や重度の肝障害に直面されている患者様へ「自己脂肪由来幹細胞治療(肝臓再生医療・自由診療)」をご提案しています。
・幹細胞が肝臓の組織環境を整える
患者様ご自身のお尻の脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、点滴で投与します。血管を通じて肝臓へと集まった幹細胞は、持続する慢性炎症を鎮静化させ、線維化の進行を抑えるシグナルを分泌します。さらに、幹細胞自体が肝細胞に分化することにより、肝細胞の修復環境を整えます。
・老廃物処理能力の回復を評価する指標
再生医療において、総ビリルビン値の推移は「肝臓の解毒・排泄システムがどれだけ健全さを取り戻しているか」を判定する大切な指標となります。肝組織の微小な炎症が治まり胆汁の流れが回復してくれば、血中のビリルビンが徐々に処理され、黄疸やかゆみの軽減へとつながっていきます。
■ 6. まとめ・受診のご案内

血液検査の総ビリルビン値は、肝臓が老廃物を正常にデトックスできているかを教えてくれるバロメーターです。
「少し白目が黄色い気がする」「健診でビリルビンが高いと言われた」という段階で早めに受診し、背景に肝硬変などの深刻な病態が隠れていないかを評価することが命を守る分岐点となります。
・健康診断で総ビリルビンの異常を指摘された
・肝硬変と診断され、黄疸やだるさに悩まされている
・進行を食い止めるために再生医療という治療選択肢を検討したい
神戸市西区のさいとう内科クリニックでは、詳細な血液データと高度な超音波(エコー・エラストグラフィー)検査を駆使し、肝臓の硬さや処理能力を的確に把握した上で、最適な治療プランをご提示します。
通院が難しい遠方の方には、スマートフォンでご自宅にいながら相談できる「オンライン事前相談(Curon)」体制を整えております。診療時間内にお電話でのお問い合わせも可能ですので、どうぞ一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。院長の外来診療が落ち着きましたら、こちらからお電話をかけ直させていただきます。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
