• 2026年5月18日

【肝臓病専門医が解説】便秘や歯周病が肝機能を壊す!?肝・腎・腸を同時に整える「内臓リノベーション」の極意

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「沈黙の臓器」として知られる肝臓と腎臓。これらは単なる独立したフィルターではなく、血液を通じて互いの不調を増幅させ合う「肝腎連関(かんじんれんかん)」という密接な運命共同体です。

最新の医学研究では、この負の連鎖を引き起こすトリガーが、食事や運動だけでなく「便秘」や「歯周病」にあることが明らかになってきました。今回は、肝・腎を同時に整えるための極意を、肝臓病専門医の視点で深掘りします。

■ 1. なぜ「便秘」が肝臓を直撃するのか

便秘が続いて腸内環境が悪化すると、腸内でアンモニアなどの有害物質が大量に発生します。これらは腸壁から吸収され、「門脈」という血管を通って真っ先に肝臓へと流れ込みます。

本来、肝臓はこれらの毒素を解毒しますが、脂肪肝や肝硬変で疲弊した肝臓に毒素が押し寄せると、肝臓は解毒に手一杯となり、本来行うべきエネルギー代謝やタンパク合成が後回しになってしまいます。これが「だるさ」の正体です。

【肝臓病専門医の深掘り:交通事故のリスクを減らすために】

肝機能が低下し、さらに便秘等も引き金になってアンモニアが脳へ回ると、集中力が落ちる「潜在性肝性脳症」を招きます。私は臨床研究により、肝硬変患者様の約37.5%にこの症状が見られることを報告しました。これは交通事故のリスクを劇的に高めます。

私は、L-カルニチンの内服治療により、その約45.8%で改善効果が得られることを世界に先駆けて報告いたしました。便秘の解消も、ひいては脳を守るための重要な防衛策なのです。(出典:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224

■ 2. 歯周病菌という「全身の炎症」の火種

歯周病菌やその毒素は、歯茎の血管から入り込み、全身に慢性的な炎症を引き起こします。

この炎症が、肝臓においては脂肪肝から「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」への進行を加速させ、腎臓においてはフィルターである「糸球体」を傷つけます。寝る前のフロスや起床直後の歯磨きは、内臓を炎症から守るバリアそのものです。

■ 3. 筋肉は「第2の肝臓」:効率的な代謝の助っ人

肝機能が低下した際、アンモニア処理を助けてくれるのが「筋肉」です。

【肝臓病専門医の深掘り:BCAAによる代謝サポート】

肝臓を休ませるためには、筋肉による代謝をサポートすることが不可欠です。実際に、肝がんの治療を受けた患者様に対し、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を補給することでエネルギー代謝(非蛋白呼吸商)が有意に維持・改善することを私は臨床研究で明らかにしています。(出典:Intern Med 2014; 53(14): 1469-75

激しすぎる運動は逆効果ですが、テレビを見ながら椅子の背もたれに手を添えて行う5~10分のスクワットといった「ながら運動」とBCAA補給のセットは、肝臓にとって最高の「助っ人」になります。

■ 4. 肝・腎を同時に鍛える!9つの習慣メソッド

  1. 総アルコール量で管理: 断酒よりも賢い総量規制。総アルコール量は、男性なら1日25g、女性なら1日20gまでに制限。
  2. 便秘を解消する: 質の良い血液を肝臓に送る。
  3. 口腔ケアを徹底: 炎症の火種を口から消す。
  4. 1日2〜3Lの水分補給: 腎臓の濾過をスムーズに。
  5. ながら運動: 激しい運動より、こまめな血流アップ。
  6. 安易な薬(鎮痛剤等)を避ける: 肝・腎の重労働を減らす。
  7. 自律神経を整える: 内臓への血流を守る。
  8. 入浴後に足を冷やす: 温度差刺激で全身の血流を促進。
  9. 就寝前のスマホ厳禁: 寝ている間の「内臓修理」を促す。

専門医からのメッセージ:諦める前に「肝臓」のフルリノベーションを

腎臓は一度壊れると再生が難しい「消耗品」の側面がありますが、肝臓は適切なケアによって再生が期待できる臓器です。ドミノ倒しの上流にある「肝臓」を整えることが、全身を守る最大の防波堤になります。

当院では、標準治療や生活習慣の指導に加え、自由診療として「肝臓再生医療」を提供しています。これは、炎症で硬くなった肝臓の線維化にアプローチし、肝臓そのものを根本から修復(フルリノベーション)しようという試みです。

「もう年だから」と諦める必要はありません。口、腸、筋肉、そして最新の再生医療を組み合わせ、あなたの肝臓と腎臓が再び力強く動き出すためのサポートをいたします。

■肝・腎・腸のトータルケアをご希望の方へ

当院では、今まで培ってきた臨床経験に裏打ちされた診療を実践しています。少しでも不安な症状がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
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さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。