- 2026年9月2日
【肝臓病専門医が解説】アルブミン(Alb)低下は肝硬変の危険信号?数値の意味から肝臓再生医療の可能性まで徹底解説

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
健康診断や人間ドック、あるいは定期通院の血液検査結果で「アルブミン(Alb)」の数値が低く、不安を感じていませんか?
ASTやALT、γ-GTPといった項目は「今、肝細胞が壊れているか(リアルタイムの炎症度)」を示すのに対し、アルブミンは「肝臓が元気に働く力(予備能・合成力)」をダイレクトに映し出す鏡のような存在です。
特に慢性肝炎から肝硬変へと病状が進むと、肝臓はアルブミンを十分に作り出すことができなくなり、数値が大きく低下していきます。
今回は、肝臓病専門医の視点から、アルブミンの基礎知識や基準値の見方、肝硬変で低下する理由、そして当院が注力している「肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)」におけるアルブミン値の重要性について詳しく解説します。
■ 1. アルブミンとは:肝臓だけが作れる生命維持の要

アルブミン(Alb)は、血液中に溶け込んでいるタンパク質(総タンパク)の約6割を占める、最も主要なタンパク質です。アルブミンは、体の中で唯一「肝臓の肝細胞」だけで合成され、血液中へと分泌されます。体内では主に以下のような極めて重要な役割を果たしています。
・血液の浸透圧(コロイド浸透圧)の維持
血管の中に水分を引き留め、血液の量を一定に保つ役割です。アルブミンが不足すると、水分が血管の外へ染み出し、手足のむくみ(浮腫)や、お腹に水が溜まる「腹水」、肺の周りに水が溜まる「胸水」の原因となります。
・体内の運搬トラックとしての役割
血液中で脂肪酸、ホルモン、ビタミン、ミネラル(微量元素)、そして内服した薬剤などを吸着し、体内の必要な場所へ送り届けるキャリア(運び屋)として働きます。
■ 2. アルブミンの基準値と重症度の目安

血液検査における血清アルブミン値の基準値は、一般的に「3.8〜5.2 g/dL」程度です。
・4.0 g/dL 以上:良好な肝予備能が保たれている状態
・3.5〜3.9 g/dL:軽度の低下。低栄養や軽度の肝機能低下が疑われる領域
・3.5 g/dL 未満:低アルブミン血症。肝硬変への進行や明確な肝予備能低下を疑うサイン
・2.8 g/dL 未満:高度な低下。腹水やむくみなどの合併症が現れやすい非代償期の領域
加齢によってもある程度低下しますが、3.5 g/dLを下回る状態が続いている場合は、決して放置してはいけません。
■ 3. アルブミンが低下する3大要因

アルブミン値が低下する病態(低アルブミン血症)は、主に以下の3つに大別されます。
① 肝臓での合成能力の低下(最も重要)
肝細胞の線維化や破壊が進み、肝臓の工場としての機能が落ちてしまうケースです。肝硬変、進行した脂肪肝炎(MASH)、アルコール性肝障害、B型・C型慢性肝炎などがこれにあたります。
② タンパク質の摂取不足・低栄養
食事からのタンパク質摂取が足りない場合や、腸での吸収障害によるものです。極端な食事制限や加齢に伴う食欲不振、サルコペニア(筋肉量の減少)が背景にあります。
③ 体外への漏出や過剰消費
ネフローゼ症候群など腎臓の病気で尿中にタンパク質が漏れ出てしまう場合や、重い感染症・炎症などで急速に消費される場合です。
■ 4. 肝硬変の進行と「Child-Pugh分類」におけるアルブミン

肝硬変の重症度や予後を評価する国際的な指標として広く用いられているのが「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」です。
| 1点 | 2点 | 3点 | |
|---|---|---|---|
| 肝性脳症 | なし | 軽度(Ⅰ・Ⅱ度) | 昏睡(Ⅲ度以上) |
| 腹水 | なし | 少量(コントロール可能) | 中等量以上(コントロール困難) |
| 血清アルブミン値 (g/dL) | 3.5超 | 2.8〜3.5 | 2.8未満 |
| 血清総ビリルビン値 (mg/dL) | 2.0未満 | 2.0〜3.0 | 3.0超 |
| プロトロンビン時間 (%) | 70超 | 40~70 | 40未満 |
合計点による分類
| 合計点 | グレード | 状態 |
|---|---|---|
| 5〜6点 | A | 代償性肝硬変 |
| 7〜9点 | B | 中等度の肝予備能低下 |
| 10〜15点 | C | 非代償性肝硬変 |
ここでもアルブミン値は極めて重要な判定項目のひとつとなっています。
・アルブミン 3.5 g/dL 超:1点(良好)
・アルブミン 2.8〜3.5 g/dL:2点(注意)
・アルブミン 2.8 g/dL 未満:3点(危険)
合計点数が5〜6点であれば「代償期」(Child-Pugh A)と呼ばれ、肝臓がなんとか機能を補えている状態です。しかし、アルブミンが2.8 g/dLを下回り、Child-Pugh BからCへと進行して「非代償期」となると、頑固な腹水やだるさ、肝性脳症などの重篤な症状を引き起こし、生存率にも大きく関わってきます。
■ 5. 肝臓再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)とアルブミン値

「これまでの治療を続けているが、アルブミンの数値が上がらない」
「腹水やむくみが出始めて、肝機能の低下が止まらない」
従来の標準治療では、アルブミン製剤の点滴投与やBCAA製剤の補給によって数値を一時的に支えることが中心であり、弱った肝臓そのものの合成能を根本から回復させることは困難とされてきました。
そこで当院がご提案している新たな治療選択肢が、患者様ご自身の細胞を用いる「自己脂肪由来幹細胞治療(肝臓再生医療・自由診療)」です。
・幹細胞が肝臓の修復を促す
患者様のお尻の皮下脂肪から採取した幹細胞を培養し、点滴で体内に戻します。投与された幹細胞は傷ついた肝臓へと集まり(ホーミング効果)、慢性的な炎症を抑え、線維化の進展を食い止めるとともに、残された肝細胞の活性化をサポートします。
・アルブミン値は治療効果を測る重要指標
再生医療において、アルブミン値の推移は「肝臓のタンパク質合成力がどれだけ回復してきたか」を評価する最重要パラメータのひとつです。幹細胞治療によって肝臓の微小環境が整うことで、肝細胞が本来の活力を取り戻し、アルブミン合成能の維持・改善が期待されます。
・BCAAや栄養管理との相乗アプローチ
幹細胞が十分に力を発揮するためには、材料となるアミノ酸(特にBCAA)や適切な栄養管理が欠かせません。当院では再生医療単独ではなく、肝臓病専門医としての栄養指導(就寝前軽食:LES療法など)を組み合わせた集学的な管理を行っております。
■ 6. まとめ・肝臓病専門医からのメッセージ

血液検査のアルブミン値は、あなたの肝臓が今どれだけの力を残しているかを教えてくれる貴重なシグナルです。
「ASTやALTが落ち着いているから大丈夫」と思っていても、アルブミン値が3.5 g/dLを切っている場合、肝臓の内部では深刻な線維化(肝硬変)が進んでいる可能性があります。
・健康診断でアルブミンが低いと指摘された
・肝硬変と診断され、腹水、黄疸、肝性脳症といった将来の病状の進行に不安を感じている
・従来の治療だけでなく、最新の再生医療という治療選択肢を詳しく知りたい
という方は、どうぞ一人で抱え込まずに専門家である当院までご相談ください。
神戸市西区のさいとう内科クリニックでは、詳細な血液検査や腹部超音波検査、超音波エラストグラフィーのデータをもとに病態を正確に診断し、標準治療から最先端の肝臓再生医療まで、お一人おひとりに合わせた治療計画をご提案いたします。
遠方にお住まいで来院が難しい方のために、自宅にいながらスマートフォンで受診できる「オンライン事前相談(Curon)」を受け付けております。また、インターネットの操作が不慣れな方は、診療時間内にお電話でお問い合わせいただいても構いません。院長の外来診療が落ち着きましたらこちらからお電話をかけ直させていただきますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
-
- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
