• 2026年9月11日

【肝臓病専門医が解説】肝硬変の初期症状を見逃さない!早期発見のセルフチェックと最新治療ガイド

こんにちは。

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「最近、なんとなく体がだるい」

「健康診断で肝臓の数値が悪いと指摘されたけれど、自覚症状がないから様子を見ている」

このように思われていませんか?

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少のダメージを受けても自らSOSの声を上げません。しかし、知らない間に炎症が続き、肝臓が硬くなっていく病気、それが「肝硬変(かんこうへん)」です。

肝硬変は、早く気づいて適切な対策を取れば進行を食い止めることができます。今回は、見逃しやすい初期のサインから、知っておきたい重症度の見分け方、そして最新の治療アプローチまで分かりやすく解説します。

■ 1. 肝硬変とは?:肝臓が硬く縮んでいく病気

健康な肝臓は、スポンジのように柔らかく、食事から得た栄養を体に必要な成分に変えたり、アルコールや老廃物を無毒化(解毒)したりしています。

しかし、肝炎ウイルスや毎日の飲酒、脂肪肝などが原因で肝臓に慢性的な炎症が続くと、傷を修復するために「線維(コラーゲン)」という硬いタンパク質がどんどん増えていきます。

やがて肝臓全体がゴツゴツと硬くなり、小さく縮んで本来の働きができなくなってしまう状態が肝硬変です。

肝硬変には、大きく分けて2つの段階があります。

代償期(初期〜中期):

硬くなった部分はあるものの、残った元気な肝細胞が頑張って機能を補っている(代償している)状態です。自覚症状がほとんどありません。

非代償期(進行期):

残った肝細胞でも補いきれなくなり、黄疸や腹水、肝性脳症など、はっきりとした自覚症状が現れている状態です。

■ 2. 見逃してはいけない「12の初期サイン」セルフチェック

代償期の段階でも、体には小さな変化が現れています。当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

□ 1. 十分に休んでも抜けない慢性的なだるさ・疲れやすさ
□ 2. 食欲不振や胃のもたれ・吐き気(特に脂っこい食事の後)
□ 3. 右あばらの下(肝臓がある場所)の違和感や鈍い痛み
□ 4. 特にダイエットをしていないのに体重が徐々に減ってきた
□ 5. 手のひら(親指や小指の付け根)が赤くなっている(手掌紅斑)
□ 6. 首や胸、肩のあたりに、赤いクモの足のような血管が浮き出ている(くも状血管腫)
□ 7. 男性の胸が女性のように膨らんできた(女性化乳房)
□ 8. 爪が白っぽくなったり、割れやすくなったりした
□ 9. 太ももやふくらはぎが細くなり、筋力が落ちてきた(サルコペニア)
□ 10. 鼻血や歯ぐきの出血、身に覚えのない青あざができやすい
□ 11. 夜間や明け方に足がつる(こむら返り)
□ 12. 集中力や記憶力が落ちた、日中の眠気や昼夜逆転がある

※当てはまる項目が多い方や、健診で肝臓の異常を指摘されたことがある方は、早めに肝臓病専門医へご相談ください。

【専門医コラム:「なんとなくぼんやりする」を見逃さないで】

項目12のような軽微な認知・睡眠の変化は、「ミニマル肝性脳症(潜在性肝性脳症)」のサインである可能性があります。肝機能の低下によって血中アンモニアが増加し、脳の働きに影響を及ぼしている状態ですが、本人は「歳のせい」「疲れているだけ」と気づきにくいのが特徴です。院長の研究では、肝疾患に特異的なQOL問診票(CLDQ)がミニマル肝性脳症の早期スクリーニングに有効であることを国際医学雑誌で報告しています。外来での問診にも活用しています。

出典:

※当てはまる項目が多い方や、健診で肝臓の数値の異常を指摘されたことがある方は、早めに当院まで相談ください。

■ 3. 肝硬変の重症度を知る目安(Child-Pugh分類)

医療現場では、肝臓の残された力を評価するために「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」という指標を使います。以下の5つの項目を点数化して判定します。

検査項目良好(1点)要注意(2点)危険(3点)
アルブミン(肝臓が作るタンパク質)3.5 g/dL 超2.8〜3.5 g/dL2.8 g/dL 未満
総ビリルビン(黄疸の指標)2.0 mg/dL 未満2.0〜3.0 mg/dL3.0 mg/dL 超
プロトロンビン時間(血の固まりやすさ)70% 超40〜70%40% 未満
腹水(お腹の張り)なし軽度(飲み薬で調節可)中等度以上(薬が効きにくい)
肝性脳症(物忘れや意識の乱れ)なし軽度(昼夜逆転・物忘れなど)重度(錯乱・昏睡など)

グレードA(5〜6点):代償期

自覚症状はほぼありませんが、早期の治療介入でこの状態を維持することが目標です。

肝硬変の予後予測においてアルブミンとプロトロンビン時間の組み合わせが重要であることは、院長の国際医学雑誌での研究論文でも報告しています。

出典:

グレードB(7〜9点):中等度

症状が現れ始める段階です。合併症の管理と適切な治療が必要です。

グレードC(10〜15点):非代償期(重症)

専門的な入院治療や集学的治療が必要となる段階です。

■ 4. 肝硬変の治療:進行を食い止め、肝機能を保つアプローチ

肝硬変の治療は、「原因を取り除くこと」と「合併症をコントロールすること」が基本です。

原因に対する治療

ウイルス性(B型・C型):

優れた抗ウイルス薬(飲み薬)により、ウイルスを排除したり増殖を抑えたりすることが可能になっています。

アルコール性:

完全な「断酒」が何よりの特効薬です。

脂肪肝(MASLD / MASH):

食事の適正化(糖質・脂質の管理)、体重の5〜10%の減量、適度な運動を行います。

合併症の管理・栄養療法

腹水・むくみ: 塩分を控えめにし、利尿薬を活用して余分な水分を排出します。

食道静脈瘤: 定期的な胃カメラで血管のコブをチェックし、破裂する前に内視鏡で静脈瘤を結紮(縛る)したり硬化剤を注入したりするなどの予防処置を行います。

肝性脳症・筋力低下対策: 就寝前軽食(LES)やBCAA製剤(分岐鎖アミノ酸の補給)を取り入れ、体内のアンモニア処理と筋肉量の維持を図ります。

■ 5. 進行した肝硬変に対する新たな治療選択肢「肝臓再生医療」

「食事や運動に気をつけて薬を飲んでいるが、肝臓の数値が良くならない」

「一度硬くなってしまった肝臓を、少しでも元の元気な状態へ近づけたい」

従来の標準治療では、一度線維化して硬くなった肝臓を元に戻すことは非常に難しいとされてきました。しかし近年、再生医療技術の発展により、新たな可能性が開かれています。

当院では、国の安全基準を満たした医療機関として、患者様ご自身のお尻の皮下脂肪組織を採取し抽出して得られた幹細胞を用いる「自己脂肪由来幹細胞治療(自由診療)」をご提案しています。

  • ご自身の細胞を活用: お尻の皮下脂肪組織を採取し抽出して得られた幹細胞を培養して点滴投与するため、拒絶反応のリスクが極めて少なく安全です。
  • 抗炎症・組織修復への期待: 体内に入った幹細胞が傷ついた肝臓に集まり(ホーミング効果)、慢性的な炎症を抑え、肝組織の修復や線維化の進展抑制を促します。
  • 安全な培養体制: アレルギーや血管トラブル(塞栓症)のリスクを抑える完全合成培地(無血清培地)を採用した高度な培養施設と連携しています。

標準治療をしっかり行いながら再生医療を組み合わせることで、肝機能の維持とQOL(生活の質)の改善を目指します。

■ 6. まとめ:少しでも早い相談が未来の肝臓を守ります

肝硬変は決して「診断されたら終わり」の病気ではありません。代償期の段階で早く見つけ、適切な生活改善や治療を開始すれば、病気の進行を抑え、長く元気に過ごすことができます。

・健診で肝機能(AST、ALT、γ-GTP、血小板数など)の異常を指摘された方
・以前より疲れやすくなった、手のひらが赤いなど初期サインが気になる方
・肝硬変と診断され、標準治療だけではなく新しい治療選択肢も知りたい方

は、どうぞ一人で抱え込まずに当院までお気軽にご相談ください。

神戸市西区のさいとう内科クリニックでは、従来の標準治療だけではなく再生医療にも熟練している院長が、血液検査や腹部超音波検査、超音波エラストグラフィー検査といった詳細な検査をもとに、お一人おひとりの診療を誠心誠意行い、一番合っている治療法をご提案いたします。

遠方にお住まいで来院が難しい方のために、自宅にいながらスマートフォンで受診できる「オンライン事前相談(Curon)」を実施しております。また、インターネットの操作が苦手な方は、お電話でお問い合わせいただいても構いません。院長の外来診療が落ち着きましたら、こちらから折り返しお電話させていただきます。まずはお気軽にご連絡ください。

この記事の監修・執筆者

さいとう内科クリニック
院長:斉藤 雅也 Masaya Saito

  • 日本内科学会認定医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本超音波医学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
院長 斉藤雅也 Masaya Saito

神戸大学医学部附属病院等の最前線で長年消化器・肝臓内科の臨床と研究に従事。医学博士。 標準治療では回復が困難な進行した肝炎や肝硬変に対し、新たな選択肢としての「肝臓再生医療」にいち早く取り組む。また、肝硬変患者さまの中で合併症(潜在性肝性脳症)を有する割合を明らかにし、カルニチンによる潜在性肝性脳症の治療効果を世界で初めて報告するなど、国際的な英文医学誌への論文掲載実績も多数(代表論文:Hepatol Res 2016; 46(2): 215-224)。科学的根拠に基づいた高度な専門知識と精緻な診断で、患者様の肝臓を守るサポートを行っています。
≫ 詳しい経歴や全研究実績はこちら

さいとう内科クリニック
院長
斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology
所在地
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり)
電話
  • 電話:078-967-0019
  • 携帯電話:080-7097-5109
アクセス
当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。