- 2026年8月6日
【肝臓病専門医が解説】実は内臓脂肪を増やしているかも!?血糖値を急上昇させる「早食い・ドカ食い」のNG行動と対策

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
ウエストのサイズや健康診断の数値で気になり始める内臓脂肪。ぽっこりお腹の原因になるだけでなく、さまざまな生活習慣病や肝障害のリスクを高めるため、なんとかして落としたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
実は、いくら食べる量やカロリーに気をつけていても、日頃の食べ方のクセのせいで、無意識のうちに内臓脂肪を溜め込んでいる可能性があります。今回は、肝臓病専門医の視点からなるべく避けてほしいNGな食べ方とそのメカニズム、今日から実践できる改善ポイントを分かりやすく解説します。
■ 内臓脂肪を増やしてしまう3つのNGな食べ方

お腹の周りの臓器にたまる内臓脂肪は、皮下脂肪よりも健康リスクが高く、高血圧や糖尿病、さらには脂肪肝や肝硬変などのリスクをも高めるため、日頃からのコントロールが不可欠です。日常生活で特に注意すべきNGな食べ方は以下の3つです。
- 早食い
ゆっくり食べることで満腹感が得られやすくなるのに対し、早食いは食べ過ぎの大きな原因になります。満腹信号が脳に届くまでには食べ始めてから20分程度かかると言われており、早食いの方はその信号が出る前に必要以上の量を食べてしまいがちです。
- 夜遅くのドカ食い
寝る数時間前に大量の食事を摂ると、エネルギーの消費が追いつかず、脂肪として蓄積されやすい状態になります。特に夜間はホルモンバランスの影響もあり、脂質や糖質が多い食事を摂ると内臓脂肪の蓄積がさらに助長されてしまいます。
- 高カロリーな間食の習慣
砂糖やトランス脂肪酸を多く含むスナック菓子や甘い飲み物を頻繁に口にしている場合は要注意です。これらの食品は脂肪細胞の拡大や増殖を直接的に促進し、内臓脂肪を増やす大きな原因になることが分かっています。
■ なぜこの食べ方が内臓脂肪を増やすのか?メカニズムを解説

食事量やカロリーだけでなく、どう食べるかが重要な理由には、体の代謝システムや生体リズムが深く関係しています。特に「早食い」と「ドカ食い」が体に及ぼす悪影響について、さらに深く掘り下げてみましょう。
早食いがもたらす「血糖値スパイク」とインスリンの暴走

早食いの最大の悪さは、噛む回数が少なく、短時間で大量の栄養が胃腸に送り込まれる点にあります。これにより消化吸収が急速に行われ、食後の血糖値が文字通り矢のように急上昇する「血糖値スパイク」を引き起こします。
血糖値が急激に上がると、膵臓はパニック状態になり、血糖値を下げようとしてインスリンというホルモンを通常よりも大量に分泌します(インスリンの過剰分泌)。インスリンには、血液中の余分な糖をせっせと脂肪細胞に運び込み、内臓脂肪へと変換して溜め込む強力な働きがあります。つまり、早食いは自ら「糖を脂肪に変えるスイッチ」を激しく押し続けているようなものなのです。
ドカ食いが引き起こす「エネルギーの氾濫」と生体リズムの崩壊
ドカ食いの悪さは、体が処理できる限界を超えたカロリーを一度に摂取してしまうことにあります。特に夜遅くのドカ食いは致命的です。私たちの体は、夜間になるとBMAL1(ビーマルワン)という脂肪を溜め込む働きを持つタンパク質が急増し、逆にカロリーを消費する基礎代謝は低下します。
このエネルギー消費がストップしている時間帯にドカ食いを行うと、処理しきれなかった大量の糖質や脂質が「行き場のないエネルギー」として血液中に氾濫します。行き先を失った栄養は、最も蓄積しやすいお腹まわりの内臓脂肪、解毒の要である肝臓の細胞へとダイレクトに流れ込み、脂肪肝を急速に悪化させる原因となります。さらに、夜間の消化活動は自律神経を乱し、本来寝ている間に分泌されて脂肪燃焼を助けるはずの「成長ホルモン」の分泌を著しく妨げてしまうのです。
間食で摂りがちな甘い炭酸飲料やジャンクフードも、こうした血糖値の乱高下とエネルギーの氾濫に拍車をかけ、内臓脂肪の温床となってしまいます。
■ 内臓脂肪を溜め込まないための3つの改善ポイント

内臓脂肪の蓄積を防ぎ、健康な体を維持するために、今日から以下の3つのポイントを意識して習慣を変えていきましょう。
ゆっくりよく噛んで食べる
よく噛んで味わって食べることで、脳の満腹中枢が刺激され、自然と食べ過ぎを防ぐことができます。食後の血糖値の急上昇を抑えることにもつながります。
夕食は寝る2〜3時間前までに済ませる
体がしっかりとカロリーを消費できる時間帯に食事を終え、就寝時には消化活動が落ち着いている状態を作るのが効果的です。
間食の質を見直す
小腹が空いたときは、砂糖たっぷりの菓子類や清涼飲料水を避け、ナッツ類など、自然でヘルシーなものを選ぶ習慣をつけましょう。
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1. 早食いの癖が長年抜けないのですが、ゆっくり食べるための良い工夫はありますか?
A1. 一口食べたら箸を一旦置く習慣をつけるのが効果的です。また、「一口30回噛む」ことを目標にし、食材を大きめにカットしたり、根菜類など歯ごたえのある食材を取り入れたりするのも自然と噛む回数を増やす助けになります。
Q2. 仕事の都合で夕食がどうしても夜21時以降になってしまう場合はどうすればいいですか?
A2. 夕方(16〜17時頃)に和食系のおにぎりなどの主食(糖質)を軽食として摂っておき、帰宅後の夕食では「おかず(タンパク質や野菜)中心」の軽い食事にする「分食」がおすすめです。これにより、夜遅くのドカ食いや血糖値の急上昇を防ぐことができます。
Q3. 食事の最初に野菜から食べる「ベジファースト」は本当に内臓脂肪対策に効きますか?
A3. はい、非常に有効です。野菜に含まれる食物繊維が糖の吸収を緩やかにし、血糖値スパイクやインスリンの過剰分泌を抑えてくれます。野菜やキノコ、海藻類を最初に食べ、次にスープやメインのタンパク質、最後に炭水化物(お米など)を食べる順番を意識しましょう。
Q4. 内臓脂肪と皮下脂肪では、どちらの方が落ちやすいですか?
A4. 内臓脂肪の方が落ちやすいとされています。内臓脂肪は「普通預金」に例えられ、出し入れが激しいため、食事改善や適度な運動を始めると比較的早い段階で減少効果が現れやすい特徴があります(皮下脂肪は「定期預金」と呼ばれゆっくり落ちます)。
Q5. すでに脂肪肝や内臓脂肪蓄積を指摘されている場合、どのようなタイミングでクリニックを受診すべきですか?
A5. 健康診断でASTやALTなどの肝臓の数値が上昇している場合や、お腹周りのサイズが気になり始めた段階で一度ご相談ください。脂肪肝は自覚症状がないまま進行するため、早期に血液検査や腹部超音波検査で状態を把握し、正しい生活指導を受けることが将来の肝硬変予防につながります。
■ 肝臓病専門医からのメッセージ

内臓脂肪の蓄積は、糖尿病や高血圧だけでなく、脂肪から分泌される慢性的な炎症物質によって肝臓にダメージを与え、非アルコール性の脂肪肝(MASLD)から脂肪肝炎(MASH)、そして肝硬変へと進行させるドミノ倒しの引き金になります。自覚症状がないからこそ、日頃の食べ方という地味な習慣の見直しが最大の防衛策となります。
【肝臓病専門医の視点:体重よりも内臓脂肪の質】
私の研究では、見た目は痩せていても内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の方は、肝がん治療後の生存率や予後に悪影響を及ぼすことを明らかにしました。日頃の食べ方を見直し、内臓脂肪を溜め込まない習慣をつけましょう。
※出典:
J Cancer Ther 2015; 6: 1124-1136(Saito M, et al.)
当院では、健康診断の数値や生活習慣の改善に関するご相談はもちろん、すでに肝硬変へと進行してしまい、通常の食事・運動療法だけでは肝機能の回復が難しい患者様に向けて、ご自身の細胞を活用した最先端の肝臓再生医療(幹細胞治療)という治療選択肢もご提案しております。
遠方にお住まいで通院が難しい方のために、自宅にいながらスマートフォンで気軽に相談できるオンライン事前相談(Curon)も受け付けております。インターネットの操作が苦手な方は、診療時間内に当院までお電話をいただいても構いません。外来終了後に折り返し、お電話をかけ直させていただきます。肝臓の数値が気になり始めた段階で、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
- 院長
- 斉藤雅也 Masaya Saito
日本肝臓学会 肝臓病専門医 Hepatologist, The Japan Society of Hepatology - 所在地
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3
(駐車場18台あり) - 電話
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- 電話:078-967-0019
- 携帯電話:080-7097-5109
- アクセス
- 当院は、神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。
